決める
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- 西分さんが演劇を始めたのはどんな経緯があるのでしょうか。
- 西分
- 高校2年に、演劇部に誘われてお手伝いしたのが最初です。実はそこに四方さんもいて。四方さんは学校の有名人で、プレゼンテーション大会でクラスの代表として出てたんですが、明らかに四方さんだけ空気が違ったんですよ。お芝居をテーマにしたプレゼンで、良く言えば異色の、悪く言えば浮いてるぐらいの。変わった子おるなと思ってたら、演劇部の友達が人手がいないから手伝ってと言われたので。
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- なるほど。
- 西分
- でも、高校演劇の2年間で演劇は辞めようと思ってたんですよ。もう一度始めようと思ったのはピースピットのHYTですね。
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- 節目があるんですね。
- 西分
- 節目ごとに、何回も辞めようとは思ってるんですけどね。就職の途中でもう無理だと思った時もあったし。でも、壱劇屋に入って、今はもう続けようと決めましたね。
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- 壱劇屋に入ったのはどんな経緯が。
- 西分
- HYTのメンバーに竹村さん安達さんがいて、仲良くしてもらって。第7回公演に見に行って、面白くて。それで一緒にやらへんとなって。第9回公演からずっと出て、でも劇団員じゃないというポジションでしたね。普通に就職するつもりやったんで、自分はいつかやろうと思ってたんです。「新しい生活の提案」という作品の時に、同じような立場だった坪坂さんと話したんです。私たちは、このまま就職して壱劇屋に関わらなくなった時に、後悔するんじゃないかと。この人達は面白いし、上に行く人達だと思っているんです。どうなるとしても見届けられないというのは嫌だなあと。端っこでもいいから見ていたいと。坪坂さんとそういう話をして、腹を決めたんです。3年半ぐらい迷ってたんですね。最終的には見届けられる人になりたいなと。
- ※劇団 壱劇屋 第16回公演『新しい生活の提案』
- 公演時期:2012/2/10~12。会場:LOXODONTABLACK。
完全なる把握
- 小刀
- 高校演劇をやっていたとき、一度、作演出と主役をやった事があるんですよ。その時舞台全体をちゃんと見れたんです。ようやく。優れた役者って、そういう事が出来る人を指すんだろうなと思いますね。
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- 舞台全体を見回す。
- 小刀
- それが、こんなに大変なんや、と。
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- ちなみに、どんな作品だったんですか?
- 小刀
- 高校演劇らしい、学生の青春話みたいなやつでしたね。
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- なるほど。小刀さんが演劇を始めた頃に見た衝撃作を教えてください。
- 小刀
- ピースピットの「闇の猫」を見た時ですね。初めての演劇だったんです。時間の長さにまず驚いたんですけど、その舞台にないものを人で表現するのが迫力でしたね。風が吹いているのを旗を振る事で表現したり。
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- 人力ですものね。
- 小刀
- あ、こんなの見たことない、って。
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- こうして口に出すと陳腐な事をやっていると思われるかもしれないですけど、いざそれを、全てが揃っている舞台上でやると。
- 小刀
- そうなんです。
本当に追い詰められた時
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- 安達さんが、舞台で好きな瞬間はどんな時ですか?
- 安達
- 自分目立ってるなと思った時ですね。普段は大人しい自分なので。
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- これまでで一番、自分が輝いた瞬間はいつですか?
- 安達
- ピースピットのHYTに出させていただいた時ですね。いい役をもらいまして。
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- なるほど。
- 安達
- 大変でしたけどね。壱劇屋の第9回公演の時、私が主役だったんですけどずっとテンパってて。しかも会計・制作・衣装もやってて。
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- きついですね。
- 安達
- 飽和した!みたいな。でも、もっと上手くやれたなと思いますけど。
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- 今まで犯した最大の失敗を教えてください。
- 安達
- さっき言った第9回公演で、覚えきれない量の長台詞が本番の2日前に来た事ですね。それ以外にもチケット作ったりしなくちゃいけなかったのに。覚えたんですけど、案の定詰まって。パンッと飛んだんですよ。目の前のぶんちゃん(西分さん)が、安達さん台詞飛んだんやわって気づいたらしくて。その時間が永遠に感じましたね。真っ白になるって、これの事なんやと。
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- それは観客も気づいていますでしょうね。
- 安達
- あのときはちょっと程度が強かったですね。その映像はどこかにあるんですけど、それは絶対に流さんどってと言ってます。
「呪いの姫子ちゃん」→壱劇屋入団の流れ
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- 坪坂さんが演劇を始めた経緯を教えて下さい。
- 坪坂
- ピースピットの「呪いの姫子ちゃん」という作品を見たんです。偶然。その日に友達とHEPに来ていて、何かやっていると。何の気なしに見てみたらもの凄く面白くて。チラシを見たらHYTのワークショップの募集で、半年間一緒に作ってみませんかという。そこで、壱劇屋の竹村・安達、まだ壱劇屋じゃなかったんですが西分がいて。僕はそのHYTだけのつもりだったんですが、次回公演に誘われたんです。そこから、ずっとという。縁ですね。
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- 坪坂さんにとって、壱劇屋はどんな存在ですか?
- 坪坂
- うーん・・・今の僕の生活サイクルにはなくてはならないですね。
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- 壱劇屋のしんどさが組み込まれている生活とは・・・
- 坪坂
- それがですね、マイナスのしんどさじゃないんですよ。もしマイナスだったら、外に向けて「いやあしんどくて」なんて明るく言えないと思うんですよ。段取りしんどいとかめちゃくちゃやでと明るく言える、そんないい関係なんじゃないかなと思いますよ。
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- 羨ましいですね。
春先の暑い昼 2
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- 森口さんは最近、いかがでしょうか。
- 森口
- この間パプリカン・ポップの本番が終わって。次は石原正一ショー※さんに客演させてもらうんですけど、その準備期間です。
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- 「筋肉少女」※ですね。
- 森口
- 4年前※の作品の再演ですね。前回は私、ウォーズマンの娘役でした。
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- それを見ていました、というか、私は舞台での森口さんを以前からよく拝見していまして。ピースピット※とか。でもその石原正一ショーの森口さんは特別印象的だったんですよ。あんなポーズで空中を一瞬飛んだじゃないですか。一瞬とはいえ、あんなポーズで。
- 森口
- ありがとうございます。このお茶、おいしいですね。飲みやすい。苦くもないし。
- ※石原正一
- 演劇人。石原正一ショー主宰。1989年、演劇活動開始。1995年、"石原正一ショー"旗揚げ。脚本演出を担当、漫画を基にサブカル風ドタバタ演劇を呈示。関西演劇界の年末恒例行事として尽力する。自称”80年代小劇場演劇の継承者”。外部出演も多数。肉声肉体を酷使し漫画の世界を自身で表現する"漫画朗読"の元祖。"振付"もできるし、”イシハラバヤシ”で歌も唄う。(公式BLOG『石原正一ショールーム』より)
- ※ピースピット
- 劇団「惑星ピスタチオ」(2000年解散)に所属していた役者・末満健一により、2002年に旗揚げされた。特定のメンバーを持たず、公演毎に役者を募る「プロデュース」形式にて、年1~2本のペースで公演を行う。作品的な特徴としては、作りこまれた世界観、遊び心に満ちた演出ギミック、娯楽性を前面に押し出しつつ深い哲学性に支えられたストーリーなどが挙げられる。作風は多岐にわたるが、「街」などの外界と区切られた括りの中で物語が進行されたり、終末世界が舞台となることが多い。また作中に必ず「猫」が登場することも特徴のひとつとして挙げられる。(wikipediaより)
- ※第27回石原正一ショー「筋肉少女」
- 公演時期:2013/5/1~3(東京)、2013/7/5~8(大阪)。会場:こまばアゴラ劇場(東京)、in→dependent theatre 1st(大阪)。
- ※石原正一演劇生活20周年記念 第20回石原正一ショー「筋肉少女」
- 公演時期:2009/9/14~30。会場:in→dependent theatre 1st。
101股
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- ざくっとした伺い方なんですが、小劇場に入ってから、特にこの作品や企画は私を変えた、というものはありますか?
- 大塚
- 仕事の幅を広げてくれたのはアクトリーグ※ですね。関西の有名な小劇場の方たちがぎゅっと濃縮された感じだったので、人脈は広がりましたね。それから、ピースピット※の『風雲! 戦国ボルテックス学園』※もそうですね。そこで山崎氏にもあったし。個人的に、役者として影響を受けたのはつかこうへい追悼企画「飛龍伝」です。
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- 一心寺プロデュースの飛龍伝※ですね。拝見しました。
- 大塚
- ありがとうございます。それまでは飛び道具的なキャラクターが多かったんですけど、玉置玲央君と一緒に、がっしりとやらせてもらいました。新しい自分を発見するキッカケを頂きました。それから、一人芝居。
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- あ、independentの。拝見出来なかったんですが、タイトルから非常に惹かれますよね。「101人ねえちゃん」。
- 大塚
- 見た目がやはりチャラいので(笑う)101人股掛けていたので全ての女性のお客様に嫌われました。しかも、30分で次々に振っていくんです。
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- 嫌われるという事は、心に残ったという事ですよね。
- 大塚
- 僕もそういう風に取るようにしています。これで全国各地を回ったんですが、やっぱりどこの都市でもチャラ男だと思われてます(笑う)。日本全国で糞野郎の冠を頂いたんですが、役としては可哀想な奴なんですよ。
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- 悪名が高すぎますね。
- 大塚
- はははは。あれ以降、僕の発言が信ぴょう性を無くしているような気がします(笑う)。
- ※アクトリーグ
- アクトリーグは、世界中の俳優および俳優を目指す全ての人たちに平等なチャンスを与え、映画、演劇に続く第3のエンタテインメントを目指すものです。ルールは、3分×4ステージというシンプルなもの。その空間の中で、何を演じても良いし、何を表現しても良い。全ては「自由」なのです。私たちは、世界中の全ての俳優、俳優を目指す人たちに門戸を開いています。何ひとつ制約するものはありません。最高のプレイヤー(俳優)が何の制約にも阻まれず集える場であること。最高の観客と感動をシェアすること。最高の競争の場であること。この3つを常に念頭において、私たちはアクトリーグを世界中の人々とシェアしていきたいと考えております。(公式サイトより)
- ※ピースピット
- 劇団「惑星ピスタチオ」(2000年解散)に所属していた役者・末満健一により、2002年に旗揚げされた。特定のメンバーを持たず、公演毎に役者を募る「プロデュース」形式にて、年1~2本のペースで公演を行う。作品的な特徴としては、作りこまれた世界観、遊び心に満ちた演出ギミック、娯楽性を前面に押し出しつつ深い哲学性に支えられたストーリーなどが挙げられる。作風は多岐にわたるが、「街」などの外界と区切られた括りの中で物語が進行されたり、終末世界が舞台となることが多い。また作中に必ず「猫」が登場することも特徴のひとつとして挙げられる。(wikipediaより)
- ※ピースピットVOL.12『風雲! 戦国ボルテックス学園』
- 公演時期:2010/7/21~25。会場:HEP HALL。
- ※一心寺シアター倶楽 つかこうへい追悼企画「飛龍伝」
- 公演時期:2011/6/23~26。会場:一心寺シアター倶楽。
春までもう少しのある日
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- 今日はどうぞ、宜しくお願い申し上げます。最近は、春野さんはどんな感じでしょうか。
- 春野
- ピースピット「TRINITY THE TRUMP」※が終わって、ほっとしています。お料理なんかもしちゃったり。基本的には、浪曲のお稽古が中心ですね。それから、3月に出演するお芝居、女性芸術劇場「光をあつめて」※の稽古なども始まりました。
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- あ、3月の。色んな方が出演されますよね。楽しみです。
- 春野
- 全然ジャンルの違う方がたくさん集まっているんですよ。それぞれ、アプローチの違っているんですよね。稽古に参加しているだけで、すごく勉強になります。演出の深津さんもどんな演出がされるのか、とても楽しみです。頑張ります。
- ※ピースピット2012本公演「TRINITY THE TRUMP」
- 公演時期:2012/1/22~1/30。会場:HEP HALL。
- ※第17回女性芸術劇場「光をあつめて」
- 公演時期:2012/3/23~3/25。会場:ドーンセンター (大阪府立男女共同参画・青少年センター)。
「猿に恋」~進化Ver.~※
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近はいかがですか?
- 植田
- 最近は、悪い芝居の「猿に恋」の再演と、ピースピットの「TRINITY THE TRUMP」の稽古ですね。
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- ピースピット。植田さんが大阪で芝居をするのは初めてだと思うんですが、稽古場の雰囲気はいかがですか?
- 植田
- そうですね。意外にも大人しい人が多くて、稽古場では僕が一番うるさいぐらいです。芝居では元気いっぱい演技されると思うんですが、そのギャップが面白いなと感じました。
- ※悪い芝居
- 2004年12月24日、旗揚げ。メンバー11名。京都を拠点に、東京・大阪と活動の幅を広げつつある若手劇団。ぼんやりとした鬱憤から始まる発想を、刺激的に勢いよく噴出し、それでいてポップに仕立て上げる中毒性の高い作品を発表している。誤解されやすい団体名の由来は、『悪いけど、芝居させてください。の略』と、とても謙遜している。(公式サイトより)
- ※本当に悪い芝居vol.2「猿に恋~進化Ver.~」
- 公演時期:2012/1/7~2012/1/9。会場:下北沢駅前劇場。
- ※悪い芝居vol.12「駄々の塊です」
- 公演時期:2011/11/2~2011/11/9(京都)、2011/11/17~2011/11/21(東京)。会場:ART COMPLEX 1928(京都)、王子小劇場(東京)。
「こんなこと、百年掛かっても私には思いつけない!」
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- 最近ご覧になって、印象深かったものはありますか?
- 吉永
- 今年に入ってから良い芝居は多いんですよね。千年女優※とか。
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- あれは素晴らしかったですね。あ、最近というか昨日なんですけど、東京から来た柿喰う客の「恋人としては無理」※はいかがでしたか? 非常に稽古量を感じさせる完成度の高い作品だと感じましたが。
- 吉永
- 勢いがありましたね。全体的に演技というよりは、振り付けに近かったように思います。私が行った回のアフタートークでは、フランスで初演した時に現地の観客から「君たちはドラッグをキメてから舞台に立っているのか?」みたいな質問をされたという話をしていました(笑う)。
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- あはは。
- 吉永
- あのテンションの入れ方はやっぱり異常だし、何より私には一生掛かっても出来ないものを見せて貰えました。
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- というと。
- 吉永
- 芝居を観る上で、「ああ、これには絶対勝てない」というものが好きなんです。そういうのにもっと遭いたくって芝居を見続けているんです。例えば観ている時に「ここもっとこうしたらいいんじゃないかな」と思わせて貰いたくないですね。「こんなこと、百年掛かっても私には思いつけない!」とビビらせてくれないと満足できない。
- ※千年女優
- 同名のオリジナルアニメをピースピットの脚本・演出家である末満健一氏が演出。出演はTAKE IT EASY!。公演時期:2009年1月16~18日。会場:HEP HALL。
- ※柿喰う客
- 東京の非常に勢いのある若手劇団。このインタビュー実施前日に大阪・精華小劇場で公演「恋人としては無理」(公演時期:2009年3月25日~29日)を行った。