ディテール

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したための作品、gate#11で上演された「ここ」が面白かったです。自己紹介を発話する身体が、段々と浮かび上がっていく感覚。あの面白さは男性ならでは、って感じ何故かしたんですよ。その前に出村さん・飯坂さんと作られた作品は冗長さが気になったのもあって。ご自身としてはどうでしたか。
和田 
それまで男性の出演者だけで作品を作ったことがなかったんですけど、「ここ」は田辺泰信さん・七井悠さんの男性二人に出ていただいて。男性ってどういう目線で生活をしているのか、それって女性と違うのかな、って考えてたんですけど、そこまで大きな違いはなかったです。
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ええ。
和田 
でも、うまく言葉にはできなかったんですけど、女性が持っているユーモア、男性が持っているユーモアは質が違うなあという感触はあったかも。
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なるほど。したための作品って、私小説的な雰囲気があると思っています。自己紹介する身体に興味がある?
和田 
そうですね。私は作家ではないので、誰かがすでに書いた既存のテキストを使うのでなければ、目の前にいる俳優しか素材がなくなるんです。そこで、俳優に自分のことをしゃべってもらって、それを作品の要素にしたりする。でも、俳優に自分のエピソードを語ってもらう時は、その人の部屋に何がどういう配置であって、何に囲まれて生きているのかを尋ねます。自分自身に対する自己評価でもなく、経験した事件でもなくて、部屋のレイアウトや持ち物が、その個人のパーソナリティとか歴史とか生活を支えているんじゃないかと思っているんです。
__ 
パーソナリティ・・・。ちょっとセクハラしますが、私の部屋のベッドはロフトになっているんですが、部屋の柱とベッドを橋渡しする形でトレイが置かれていて、その橋の上にエロ本を山ほど積んでいるんです。およそ異常な重量になっていて、トレイが撓み、ベッドがへこみ、柱が非常に傷付いています。つまり、そういう事ですよね。
和田 
そうそう。その様子がすでになにかを暴露してる。どこにでもあるようなフォーマットの賃貸のワンルームとかに、自分が選んだもしくは貰ったものを持ち込んで、自分の部屋とする。その巣作りの仕方自体が雄弁に人の事を語るんじゃないかと思うんです。たとえば、どの本をどういう組み合わせで持っているか、または持っていないかとか。
__ 
それはペレックの作品にも通じている?
和田 
そういう側面もあると思います。ペレックには、あくまで物の記述や列挙に徹した作品があるんですが、それは一つ一つが特別なもののわけじゃない。でも、その配列からにじんでくる何かがあるんですよね。私個人は劇的な出来事も特にない平凡な人生を送ってきたので、わざわざ人に言うような物語の持ち合わせはないんですが、自分の周囲に積み重なっている他愛のないものたちを挙げていくことはできる。それを俳優にも期待しているのかな。
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なるほど。私はまあ物語よりの人間なので、本を棚に置く時、背表紙を壁側に向けるみたいな描写に惹かれますね。

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笑の内閣VSネトウヨ

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さて、「ツレがウヨになりまして。」の韓国公演を画策されているそうですね。大変興味があります。やったら絶対面白いと思うんですよ。
高間 
いやー、実現出来たらハクが付くと思いますわ。劇団としてというのもありますけど、ネトウヨというのが日本でも笑われているよという事を示せるんですわ。だって、向こうでだってネトウヨなんて一部のバカで、大半の冷静な人たちは日本に対しては是々非々でやってるんですよ日本人と同じように。そういう話をですね、日本と韓国で真面目にやっている人たちは沢山いるんですけど、僕らのようにギャグでそれを示せる存在があってもいいと思うんですね。
__ 
それが実現すれば、日韓関係については大いに革新的な事件になると思うんですよ。ネット右翼・・・個人的な認識ですが、正直、日本のネトウヨは全然気合が入っていない腑抜けだと思っている。あれは日本という勝ち馬に乗りたいだけの野次馬に過ぎないと思う。昆虫だと言い切ってもいいかもしれない。そういう彼らを笑ってあげる事は、彼らにとって救いに繋がるんじゃないか。それが出来たら・・・。ネトウヨにひとこと、言いたいことはありますか?
高間 
一言では済まないですね。ま、ツレウヨを見て欲しいです。あれだけtwitterで、チョンだなんだと言ってきて結局一人も観に来てないんですよ。いや来てるのかもしれないですけど、観たという事を表明してほしいですね。そうじゃないと意味がない。要するに、そんなに熱心じゃないんでしょうね。
__ 
上皇とネトウヨとの戦いは、始まってもいない。
高間 
ネット上で散々、「高間は在日だ、反日だ」と煽られましたけど、僕は日本人です。でも両親は日教組です。それはネットを使えば5分で出てくる事実なんですけど、「高間響は在日だから反日なんだ」だという明らかなウソと、「高間響の両親は日教組だから反日なんだ」という本当の事(いや反日なのは本当じゃないけど日教組の息子ってのは本当ですからね)、どちらが説得力があるかは一目瞭然なのに、その手間を掛けられない人たちなんだと思うと全然怖くないです。一人、熱心に調べた人がいてその人はちょっと根性あるなとは思いました。
__ 
それ以外は怖くないと。
高間 
怖くないというより、面白くないですね。靖国参拝批判の時の「オバマは在日」は面白かったですけどね。あのね、表現規制派の人とかは頑張ってますもん。アグネス・チャンとか、僕から見れば方向性は間違っているんですけど、もの凄く頑張ってます。表現規制するために。反対派より努力してるんです。
__ 
内閣は努力しないネトウヨが嫌い?
高間 
いや僕は努力嫌いなんで・・・。面白くない人が嫌いですね。
第18次笑の内閣「ツレがウヨになりまして」
公演時期:2013/12/19~22(東京)、2014/2/14~16(北海道)、2014/2/28~3/4(京都)。会場:こまばアゴラ劇場(東京)、シアターZOO(北海道)、アートコミュニティースペースKAIKA(京都)。

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僕たちは幸福だ

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下ネタは闇じゃないですからね。汚いかもしれないが、醜い闇の部分ではないはずだ。では、なぜそれを描こうと思うのでしょうか?
坂本 
旗揚げの段階から説明したいんですが、元々通っていた高校がフリースクール系で。アーツエンターテイメント学院という、名前こそ芸術系なんですけど実体は学校にほとんど来てない子らが籍をおいて卒業出来るようにしてあげるトコで。そこに来てる人らと旗揚げしたのががっかりアバターです。
__ 
なるほど。
坂本 
それこそ、一緒に芝居をやってた中から水商売に行く人もいて。最初はショッキングだったんですが、それもまた面白いのかなと思えるようになったんです。ホストにハマって風俗で働き始めるようになっても、それはそれで面白いのかな。みんな、悲惨がらずにもっと面白がっていったらいいんじゃないか、って。
__ 
世間的な価値観と対立する形ではなく、個人の価値観が存立していますからね。
坂本 
元々音楽が好きで、大槻ケンヂさんの曲を聞いていて。筋肉少女帯を好きになって、その流れです。専門学校では、劇団ZTONの河瀬さんが先生でした。
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芝居を始めた頃に衝撃を受けた劇団は何ですか?
坂本 
大人計画です。松尾スズキさんの本ですね。

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劇団ZTON「天狼ノ星」を終えて

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天狼ノ星を終えて。ZTONの傑作として記憶に新しいですね。大変面白かったです。私の考え方だと、傑作って作品だけではきっと成立しなくて、客席も含めた劇場が置かれている時代背景がかなり影響していると思うんです。そうして初めて演劇は必然性を持って現在の我々の前に現出しうるのではないか。天狼ノ星は、多文化共生社会の到来と東アジアとの国際関係に悩む現代日本を背景に、他国の国民とこれから向き合うであろう世代の横顔を、ループ状の物語構成を借りた演劇作品として鮮やかに表現されていました。もちろん芝居としても非常に完成度が高く、素晴らしい演劇になりました。為房さんは、一人の役者として、どのような経験でしたか?
為房 
ありがとうございます。お芝居を作るにあたって何が一番大事かって、話が一番大事だと思っていたんです。僕が何かお芝居やパフォーマンスを見る時、やっぱりお話を見るんですね。脚本家が書いたものの起承転結がきちんと魅せられるか。そこに徹するあまり、自分が演技をする時も「色がない」「安定感が凄いよね」「もっと余分な事をすればいいのに」と言われる事があって。
__ 
そんな事を言われますか。
為房 
安定はしているけどね、って。でも今回に関して言えば、早い段階で稽古が回ってこなくなって。つまり殺陣指導をはじめ稽古を見る時間や、自分自身のプラスアルファを考える機会が多かったんですね。さらに、団員の平均年齢があがるにつれ、僕が、絶対的に話を魅せる側に回らないといけないと自覚したんです。地の章では割と、一本の柱としての役なので、もっと我を張らなくてはならないと。今までは誰がメインなのかによって、そこに意識を集中させるために考えて、それはもちろん大切なんですけど、その中でも我を持つようになったというのが個人としては大きい変化でした。
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話を律する立場を意識するようになった。
為房 
そうなるのが遅すぎると言われそうですけど。ホントに極端な事を言うと、話が壊れてもいいから僕が目立てばいいかなというぐらいの気持ちになった、というのが大きいですね。

タグ: 傑作の定義 背景が浮かびあがる 自分の演技を客観的に見る 世界がズル剥け 役者に求めるもの 殺陣の話題 劇団ZTON、参る


泣ける下ネタ

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結局下ネタが入るというのは、失敗ではないのですか?
西  
前回公演の「キャプテンクトゥルー年代記」では、最初はナシで行こうとしていたんです。でも、途中からすごく遣る瀬無い気分になってきて。結局は「泣ける下ネタ」を目指していました。
__ 
泣ける下ネタ! 最高じゃないですか。
西  
下ネタには、まだまだ可能性があると思うんです。
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WillBeの作品「猫型ロボット」を拝見したんですが、よく西さんが舞台上でオナニーシーンを見せていましたよね。TENGAを使った。もちろんギャグとして、笑い易いようにして。男性の内向きの性欲が強烈に切り出されていたように思います。西さんにとって、下ネタはどのような存在であって欲しいのでしょうか。
西  
人間性を極端に表現する有効な方法だと思っています。僕はここまでさらけ出しました、もう丸腰です、かかって来なさい、そう叫ぶような表現です。
__ 
「猫型ロボット」では、西さんはTENGAをご自身の周囲に並べて叫んでいましたね。お尻を出しながら。当然、露出狂的な快楽とは違うと思いますが、では、舞台上で精神的にも肉体的にも裸になる事についてはどのように思われますか?
西  
実は、ちょっと性描写は苦手なんですよ。
__ 
ええっ。
西  
今は分からないですが、客席から見ていて、舞台の上の人が裸になると凄く生々しくて、直接的で、引くと思います。それは、僕の中に性描写についての文法がないからなんですが、「本当に?」って思っちゃうんですよね。
__ 
というと。
西  
それが本当に人間なんだろうか、って思うんです。セックスは人間性からは独立した現象なんじゃないか。アプローチとしての下ネタの方が、人間性を表現するのに適切ではないだろうか、って。
Will Be SHOCK Entrance Gate「さらば彼女の愛した海底都市 或いはキャプテンクトゥルー年代記」
公演時期:2011/2/12~14。会場:京都市東山青少年活動センター創造活動室。
Will Be SHOCK Entrance Gate 3rd OPEN「猫型ロボット~青いベストフレンドの伝言~」
公演時期:2009/6/12~14。会場:人間座スタジオ。

タグ: 性欲 世界がズル剥け 下ネタを考える 女性と下ネタ


柿喰う客第16回公演「露出狂」

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さて、次は露出狂ですね。
中屋敷 
はい。
___ 
東京公演は5月19日から、大阪は6月8日からですね。
中屋敷 
GWにトルコで公演するので、帰ってきてからすぐですね。
___ 
みどころは。
中屋敷 
群像劇ですが、よくある集団の中でのぶつかりあいじゃなくて、集団の中で個人がつぶされていく様を描きたいと思います。
___ 
チラシによると女子高サッカー部の話らしいですね。登場人物はすべて女性、しかも女子校の部活。
中屋敷 
そうそう。女集団のルールの中で、個人がどのように生き抜くのかという。けして可愛い女の子が集まってルンルンする芝居ではないです。
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素晴らしい。
中屋敷 
集団て何だろう。そんな事を考える作品です。女同士のドロドロしたぶつかりあいとか、そんな浅いものではないですよ。あるいは青春もので、部活で空気が悪くなってだんだんとみんなの心が離れていくみたいな展開あるじゃないですか。でも現実はそんな事ないんですよ。3年間過ごすんだから。
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そうですね。結局数日後には元通りになったりしますからね。心に何かを抱えながらも。
中屋敷 
もっとじっとりした何かですね。集団の中で個人の意志がなあなあになっていく。集団からは逃げられないですから。
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尊重されるべき個人の人格が集団によって狂わされる。あー、それ、凄く見たいです。楽しみです。
柿喰う客第16回公演「露出狂」
公演時期:【東京公演】2010年5月19日(水)~31日(月)・【大阪公演】2010年6月4日(金)~8日(火)。会場:王子小劇場(東京)・精華小劇場(大阪)。

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