主役・脇役

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造形大で学んだ事が「歪ハイツ」にどんな感じで活かされたと思いますか?
衣笠 
今回は主役でした。4年間で主役をやった事はなく、いつも脇役ばっかりだったんです。あんなに出ずっぱりなのはあれが初めてで。自分の中で、あれだけの台詞を言えるのか、2時間舞台に立てるのか。でも、主役も脇役もやる事は一緒なのでやり方を変えようとは思わなくて。で、目立とうとも思っていなかったんです。どっちもやりたいんですしね。今回の歪ハイツで言えば、主役と言えば主役ですけど、最後に生き残るのは他の人だったし。「歪ハイツ」は皆が主役だったのかなと思うようになっていて。
__ 
なるほど。
衣笠 
そういう意味で、オレが目立つぞというのはなくて。皆目立ってほしい、っていう気持ちがありました。ずっと脇役やってきたからというのもあったのかなと思います。結果的には目立ったのはあるかもしれませんが、脚本により焦点を当てられたんじゃないかと思っています。4年間の経験が、上手いこと還元出来たのかなと思っています。

タグ: オーガナイザーの企み 焦点を絞った作品づくり


観客の呼吸を掴む

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実は昔、shelfの作品を拝見した事があります。2009年のC.T.T京都でした。
矢野 
あ、そうなんですか。
__ 
「私たち死んだものが目覚めたら」のワーク・イン・プログレス作品でした。俳優が観客と向き合い、逃げない。そういう非常に緊張感のある作品だったと思います。一体、どのような経緯でそのような姿勢に辿り着いたのでしょうか。
矢野 
小説のような文字表現や、同じハコ型の(芸術)鑑賞施設である美術館や博物館と違う最大の点は、二人以上の多人数がいて、見る人と見られる人があって、そして一定時間をそこで過ごすということなのだと思うのです。であれば、そのことの何がいちばん面白いのかな、と。昔、札幌で学生していた頃、「キューブ」という映画をミニシアターで見たんです。お客さんは少なくって満員で50人ぐらい。みんな固唾を飲んで見ているんですが、それが、つまり呼吸とか皮膚感覚とかを共有する感じが凄く面白くて。緊張を強いられるシーンでは、皆が皆、息を潜めて。劇場って、そういうモノだと思うんです。
__ 
人が集まって、固唾を飲んでいる場所。
矢野 
だから僕はよく俳優に「先ず、観客の呼吸を支配してくれ」と言うんです。それは何も緊張感のあるシーンに限った話でなくて、例えば観客がどっと笑う。そのときに起こっていることというのは観客が全員、笑う直前に同時に息を吸っている間があるんですよ。そして同じタイミングで笑う=息を吐いている。客席で笑いがうねるということはそういうことなんでしょうね。大きな劇場でお客さんが一人しかいない、その状態は果たして面白いのか? 花火会場に行って、一人で花火を見たら楽しいのか? <場>を共有することで人と人との間で生まれる何かが劇場には、ある。それを最大限に引き出したいというのはありますね。だから、芝居の幕開けなんかでも俳優がまず最初の台詞を喋る、その発語のタイミングは基本的に俳優に任せているんですね、今は。昔は秒数で切ってたりもしたんですけど。
__ 
・・・。
矢野 
基本的に観客は、楽しもうとして劇場に来てくれている。だから、一番最初の時間が一番期待が膨らんでいる筈だと。その会場の全員の期待感や想像力がいい按配になったときにスッと言葉を差し出したら、きちんとそこから交流が始まるんじゃないかと思う。発語のタイミングが早過ぎるとお客さんが着いていけなくて戸惑っちゃうし、遅すぎると「まだ?」ってなってしまう。そのキワを攻めたいんですね。だから、その為の、<場>の呼吸を把握するための稽古を相当しています。今度ノルウェーに行くイプセンの「幽霊」、初演は2006年なんですけど、主演の川渕優子の冒頭のセリフが戯曲のト書きなんです。「イプセン 幽霊 三幕の家庭劇。」その発語の「イ」の稽古に2週間近く掛けた事があります。「違う」と言い続けて、周りの俳優が呆れちゃって。「こだわりたいところなのは分かるけど、取り敢えずちょっと先に進めてみようよ」って。当時の僕は、まだ今のような言葉も技術もなかったし、だから何が違うのかきちんと説明出来なかったんですけど、それでもそれは違う、と思ってたんですね。余談ですが、芝居を見に行くとだいたい最初の5分程度で、その芝居が面白いかどうかって分かるんですよ。うーん・・・と思ったのが、後から面白くなる事は殆どないんですよ。
__ 
観客の最初の印象って物凄く正確ですからね。開幕直後の観客の視線は、事件を出来るだけ早く理解するために、必然的に膨大な情報を取り込み、全く意識せずとも細かい部分を評定し、価値を判断しています。疲れも先入観もない、暗転の一瞬だけだけど社会と隔絶してコンテキストから切り離されるし、新しい世界を見るという立場上第六感も備えているんですよね。
矢野 
演出家的には、お客さんが一番期待してくれている瞬間に、期待に沿って、あるいはそれを裏切って、という心のやり取りで相手の心を掴まなければ、後はみんなだいたい引いていくだけなんですよね。
__ 
心を掴む。そこが今日一番話したかったことです。

タグ: 観客の呼吸 それを揺らしてはいけない リアルに相対し戦慄する 事件性のある俳優 見えないぐらい濃い交流 オーガナイザーの企み 舞台が始まる直前の緊張感


集団になりつつある、がっかりアバター

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次のがっかりアバター「あくまのとなり。」とても楽しみです。昨日乾さんと夢子オンデマンドさんにお話を伺えて、色んな事が分かりました。
松下 
そうなんですね。何を言ってましたか・・・?
__ 
まず、がっかりアバターはロックバンドである事。
松下 
たまにアンディが言ってますね。
__ 
そして、アンディさんにみんな賭けてるというような言い方をしていて。今の、全速力でやっていっているという勢い、その正体を知りたいです。
松下 
結構、毎公演、本番2週間前ぐらいに通せるぐらいにしてしまうんですよ。バーっと作ってしまって。それをその段階で全部壊すみたいな事をするんですね。今までの演出を全て変えたり、脚本の大部分をカットしたり差し替えたりとか。私が出た「啓蒙の果て、船降りる」ではラストのページが差し替わったんですよ。
__ 
なるほど。
松下 
変化球じゃないですけど、シフトチェンジしていくんですよ。アンディはそういう事をするので、キャストはこなせないんですよね。こなしてる感で演じられない。アンディはキャストのエネルギーってよく言ってるんです。宗教っぽいですけど、目に見えないエネルギーが必要とされる作品を作る劇団なのかなと思います。今までの自分を壊さないと出来ないのかなと。
__ 
改めて。がっかりアバターって、どんな劇団だと思いますか?
松下 
これまでのがっかりアバターは、皆が言っているみたいにアンディありきで坂本君に付いて行ってたんですね。それはこれからも変わらないし、みんな完全に大好きなんですけど、最近やっと、劇団として、それぞれの役割が決まりつつあるのかなと。まとまりつつあるのかなと思います。劇団の旗揚げが1年半前なんですけど、ようやく。
__ 
なるほど。
松下 
これまでは作品を作る度に集まって、公演してという感じだったんですけど。今はきちっと将来の事を考えだしたりしていて。集団になりつつあるんだと思います。
__ 
すばらしい。私は、がっかりアバターが生き残っていくなら、どんな形でもいいですけどね。
がっかりアバター第二回公演「啓蒙の果て、船降りる」
公演時期:2012/11/10~11。会場:ウイングフィールド。

タグ: ユニークな作品あります 私の劇団について オーガナイザーの企み


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演劇を始めた経緯を教えて下さい。
市川 
アルベール・カミュが好きで、カミュになりたかったんですね。どうすればいいかというと、カミュがしていた事をすればいいと。どうやらカミュは演劇をやっていたらしい、と。大学入学と同時に、演劇を始めました。西一風に入りました。その時は演出という役割があるとは知らなかったですね。佐々木君や築地さん、先輩に高田ひとしさんがいました。
__ 
いつか、どんな演劇を作りたいですか?
市川 
「ルーペ/側面的思考」という6時間ぐらいの作品を、出町柳のカフェギャラリーで上演したんです。俳優6人でシフトを組んでやっていたんですが、ほとんどお客さんが来なくて。僕はそこでコーヒーを飲みながらずっといて、すごい時間だなと思っていました。
__ 
素晴らしい。
市川 
地下でやっていたんですが、もう皆が普通の生活を送っている地上と全く無関係の、何か異様な時間が流れていたんです。あれはあれで、一つのやりたかった事だろうと思っています。何からも隔絶しているけれど何故かあるもの。それを、ちゃんと客が来る状態でやりたいですね。
__ 
隔絶したものをお客さんに見せて、どう感じてもらいたいですか?
市川 
何もしなくて良かったんだ、かな?いや、何かしなくちゃ行けない必要な事、それは何もなくて偶然ここにいるだけなんだなと。ただそれだけの事だと考えてもらいたいのかなあ。でも、あまり、どう感じてもらいたいとかはあまり無いですね。同調も求めないし啓蒙もしないし。でも、空間として美しいものを欲望されたら、いいなあと。
デ・3「ルーペ/側面的思考法の発見」
公演時期:2012/6/8~13。会場:Gallery near。

タグ: 観客への思い ファンタジー オーガナイザーの企み


許し

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「LIFE」を見ていて、どこか浮遊感があったんですよ。次に何が起こるか分からない事による浮遊感。実はこの間、舞台映像家の方にインタビューしていたんですが、記録映像にした演劇と生の演劇とでは、その情報のあり方が全く違うという事が分かりました。過去の記録映像はその戯曲の物語性が浮かび上がり、生の演劇は俳優が放つ衝動を受ける事が出来る。しかし、戯曲の俳優は何も知らない体でありながら物語の結末を知っている・予定された未来を持っている。であれば、演劇の映像作品とインプロショーは逆の関係にあるなあと。インプロは観客はもちろん俳優も次に何が起こるか知らない。
木村 
ほんとに、何が起こるか知らないからこそ面白いと思います。一緒に発見していく面白さというのでしょうか。
__ 
怖いですけどね。何が起こるか分からない。
木村 
前のめりになって見てしまうお客さんもいますよね。
__ 
俳優が失敗するかもしれなくて、心配になってしまう。
木村 
失敗も見せどころなので、そこも楽しんでもらいたいです。皆が心の中に持っていないといけないのは、「失敗しても良い」という事なんですよ。
__ 
「失敗しても良い」?
木村 
シアトルにいた時、ランディさんという方にインプロを教わっていたんです。「君たちがどんなに失敗してもシアトルの市民にはなんの関わりもないから、どんと楽しんでおいで」と言って下さって。それが凄く素敵だなと。そうあれたらと思います。だいたい、即興の舞台に立つだけで凄い勇気なんですよ。みんな、よくぞ立ってくれているなと。
__ 
そうですね。
木村 
日本は失敗を許さない意識が結構社会に根強くあるけれど、人間は失敗して成長するものだと学んできました。そのような社会であればいいな、って。全部まとめて見せられればいいなと思っています。
__ 
失敗を許す。
木村 
失敗したね、あははって。自分自身を許すし、誰かの失敗も許すし。失敗を楽しんでいくというか。だってそれは面白い事だから。失敗も含めて、その人自身を見せるのが面白いんです。
__ 
素晴らしい。「失敗してもいい」か。
木村 
それは凄く大きなインプロのメッセージで、失敗出来るのであれば役者さんはチャレンジ出来るし、失敗出来るという事は進化のスピードも違うんです。失敗を許されないと、いつの間にか果敢なチャレンジが出来なくなってしまう。失敗を楽しめるのは、ワクワクする環境なんじゃないかと。まあこれはインプロの基本的な考え方なんですが、そういう意識をお客さんが感じて帰ってもらえたら、それが最高ですね。失敗した場面をプププって笑ってほしいし、そうしたらきっと豊かになるんじゃないかなって。

タグ: 相互承認 オーガナイザーの企み 失敗を許容する社会


不親切グラフ

辻  
他にも色々なWSを展開していきたいんですよ。
__ 
例えば。
辻  
ソーシャルであるとか、町づくりであるとか、そうした方向です。テーマはまちまちで演劇とはあまり関係ないんですけどね、そこでもやっぱり、コミュニケーションってWSには重要な要素なんだなと考えさせられます。日本人の会議って、喋る人と黙る人に二極化するんですよね。
__ 
そうですね。
辻  
言わない人の話をどうやって引き出すかを意識します。それは個人の特性であると片付けるのはカンタンなんですが、その上で、どうやって聞こえるようにするかが重要なんじゃないか。
__ 
うーん、私は黙ってしまう方ですね。会議の性格によっては、私も喋りますけど。
辻  
話合う前に、この会議の方向性や、どういう事が課題として残っているのか。を見えるようにしたら。講師としての課題は、結論へ持っていく道筋やポイントの置き方。もっと言えばそのバランスですね。僕は、WSを受けに来た人たちに白地図だけ渡して「好きな進み方をしてみてください」という事はしたくないです。不親切グラフというものがあるんですが。
__ 
ある程度までしか案内しない?
辻  
そうですね、考えが発展しやすいように、もしかしたら目的と逸れてしまうかもしれませんが、色んな考えが道すがらにあって、オリジナルな結論が(あわよくば意図していた結論に近い)生み出されたらいいですね。
__ 
なるほど。
辻  
演劇もそれと似ているように思うんです。演出の操り人形であるうちは、その俳優の芝居は面白くない。役者が自分の考えた演技を稽古場に持ってきて、「あ、それ面白いじゃん」って笑ってくれる瞬間が、やっぱり一番気持ちいいと思うんですね。初めての子ならなおさら。WSって、それが簡易に短時間で出来る場なんじゃないか。皆が笑い合う、それでやったーと思う、そういう承認しあう空間が作れるんだと思っています。

タグ: 日本人の美意識 オーガナイザーの企み


vol.270 辻 悠介

フリー・その他。

2012/春
この人のインタビューページへ
辻

「劇団福耳presents『第六回 赤坂炎上』」

__ 
今回は、東京の劇団ロロの脚本・演出をされている三浦さんにお話を伺います。どうぞ、宜しくお願い致します。
三浦 
宜しくお願い致します。
__ 
先日は、赤坂L@Nのイベント「劇団福耳presents『第六回 赤坂炎上』」でコントを拝見しました。非常に面白かったです。
三浦 
ありがとうございます。
__ 
従来の演劇にカテゴライズされにくいような作品だったように思います。今でも、人にどう説明すれば通じるのかちょっと分からなくて。何というか、これまで小劇場が生み出してきた様々な表現を把握した上で、その影響下にない表現を行っているというか。
三浦 
今の小劇場のお芝居からの影響はかなり受けていると思います。好きなんですよ。たとえばチェルフィッチュだったり五反田団だったり。快快(ファイファイ)っていう劇団があって・・・。
__ 
快快。よく伺います。確か、もともと小指値という・・・。
三浦 
そうです。改称して快快ですね。あのノリでお芝居をやっているという空気が凄く好きで。皆が集まって、こんな動き方面白そうだよね、じゃあやってみようか、という。その感覚、凄く共感が持てるんです。結構チェルフィッチュぽかったりとか、身体がダンサブルだったりするんですけど、それが意識的にされている感じがしないんです。
__ 
あ、ちょっと分かる気がします。
三浦 
ファンなんですけど、さて自分はどうしようかと考えながら作っています。大学に入ってから今の小劇場が好きになったんですけど、確かにそこが出発点ではあるのかな、と思います。
劇団ロロ
2009年結成。主宰・三浦直之氏。脚本・演出をつとめる三浦直之が第一回作品『家族のこと、その他のたくさんのこと』で王子小劇場「筆に覚えあり戯曲募集」“史上初”の受賞を果たし、結成。物語への愛情と敬意を込めつつ、演劇で遊びまくる。(公式サイトより)
劇団福耳presents「第六回 赤坂炎上」
開催時期;2009年9月18日。会場:L@N AKASAKA。ライブ、インプロ、コント、演劇など、いわゆるショーケースとして楽しめるイベント。

タグ: カテゴライズされる俳優 オーガナイザーの企み


おいアップされてるぞ!!

___ 
ニコニコ動画から引っ張ってきたネタが多かったように思いますが、好きなんですか?
二階堂 
あ、普通に好きです。
___ 
おはぎライブ見ながら、これ組曲・ニコニコ動画だ!とか思っていました。たぶん、皆が知っているものをみんなで見るから共有感があるんでしょうね。
二階堂 
そうですね。全然飽きないし、ずっと面白いし。
___ 
動画のアップロードもされているようですが。
二階堂 
あ、上げているのは私たちじゃないんですよ。ファンの人が勝手に。
___ 
怒ったりしないんですか?
二階堂 
全く。ありがたいですね。「おい、アップされてるぞ!」って騒いだり。ハルヒの踊ってみたの動画が角川認定動画になってて、嬉しかったですね。
___ 
「踊ってみた」、ありますね。私も好きなんですよ。
二階堂 
私たちもめっちゃ参考にしてます。
___ 
誰が好きですか?
二階堂 
ブログもあって、凄い人気があるんですけど、愛川こずえっていう。
___ 
あ! 私も好きです。正直ファンです。
二階堂 
どれが好きですか?
___ 
「青春バスガイド」ですね。毎日見てます。
二階堂 
あ、Berrysの。いいですねー。コピーしよう。
___ 
こずえはいいですよねー。あの、サービス精神というか。自分の全力をぶつけてくる感じが、他の踊り手と一線を画しているように思う。言ってみれば「おはぎライブ」も、そういう情熱の塊そのものだと思うんですよ、根本的には。熱いんですよ、だから。
愛川こずえ
動画投稿サイト・ニコニコ動画の「踊ってみた」カテゴリで活躍する踊り手。
参考:



タグ: オーガナイザーの企み