向こう岸の影たちへ

__ 
非常に奇妙な空気感を持つ高田さん。俳優として、高田さんの事を色々伺おうとしても、ちょっと難しいなと思っているんです。この人の何が独特かなんて見て頂いた方が早いんだろうし・・・
高田 
いやあ、作り方が雑だからそんな言われ方に繋がっているのかもしれないと思っていて。不器用に不器用を重ねているから、そんな評価になってしまうのかなと。
__ 
いえ!?
高田 
違いますか?違ったらそれは嬉しいですけど。
__ 
いえいえ、上手ですって。独特な雰囲気なのに、「あ、これはこんな人だ」とすぐ理解しやすいって凄い事だと思います。「どくの沼地」で演じられた、泥団子を作る道しか無かった職人の姿が素晴らしかったです。
高田 
真面目な話していいですか。
__ 
もちろんです。
高田 
上手な演技をして上手く伝えたいみたいな欲求が全くないんです。
__ 
ほう。
高田 
上手な人を見ているとめっちゃ凄くて、僕はこれは一生出来ないだろうなと思うんですよね。でも、自分がこれをしたいかと思うとそうでもないんですよ。
__ 
上手な演技に憧れない?
高田 
ある一定以上の上手な人の、押し付けがましさとか全然出してこない演技で、それをやったら絶対感動するような芝居をみてさえ「何という押し付けがましさや」と思って見てしまうんです。自分の性格が悪いからなのか、ムカつくなあ・・・と思うんですよ。ナチュラルなテクニックの、上手に見えてしまう人って、何か押し付けがましいと思ってしまうんです。凄く、色んなものを疑ってしまうんで。乗せられたくない、みたいな。上手な人に対して。悪い風に言うと、自分が相手を乗せたくないみたいなところもあるのかなあ、と。心のどこかで思ってしまうんですね。悲しいですね。
__ 
それは、支配されたくない、という思いがあるんじゃないでしょうか。
高田 
一言で言うと。
__ 
ええ。観客席の中にいてさえそう思うのでしょうか。
高田 
思いっきり同意しますね。僕はあまり芝居を見に行かないんですけど、めっちゃ笑っていても受け入れていないんですよ。どこかで僻んでいたり。
__ 
まあ私も差別心ありますけどね。
高田 
駄目でしょう(笑う)。

タグ: 器用さ・不器用さ 演技それ自体への懐疑 奇妙さへの礼賛


逃げ水を追う人々

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舞台上の登場人物が不幸になる様、もしくは愚かしい行動を見て、なぜ観客は面白いと思うんだろう?
田中 
大人計画のドキュメンタリーで、宮藤官九郎が「松尾さんの芝居って、悪い人は出てこない、弱い人間とかダメな人間は出てくるけど、悪いことを考えてる人は出てこない、なのに、話はどんどん悪い方向に行ってしまう」と言ってて。それはかなり昔に見たんですけど、残ってる言葉です。自分も、悪人はそんなに可愛くないなあと。もし悪人を描くなら全員悪人にしないといけないかもしれない。
__ 
「可愛い」? ひどい目にあう・道を踏み外す人を見てそう思うのはどのような感性であるのか。
田中 
うーん・・・(照れ笑い)ちょっとずれるかもしれないですけど、今、先輩方の話を稽古後とかに聞いていると、すごく面白いんです。すると、やらしいんですけど、自分の中で脚本のネタというか残すものを探してしまうんです。けど、その思いがいろんな話を何度も聞くにつれて、段々と薄れていったんです。それはもちろん先輩の話がつまらないという事ではなく、その先輩たちがひどい目にあったり失敗したりしたらそこで学んで、次の為に対策を立てて生きていく、強い人たちだったからだと思うんです。自分は、そういう事が出来ない、ちょっと話したらすぐ解決するような問題をどんどんこじらせる、そんなマヌケな人が描きたいんだと思うんです。強い人達を描くなら、もっとリアルな芝居にしないといけないだろうし。
__ 
常識的に考えて、お話って行き着く先の答えが分かるものじゃないですか。でも愚かな彼らは迷走し続けていって、自覚なしに奇妙な方向にたどり着いてしまう。でも、僕ら自身も彼らと似たようなもので、どこか重ね合わせているんだろうなと思うところがあります。
田中 
そうですね、全く共感出来なかったら「なんだこいつらは」になるだけでしょうね。

タグ: ドキュメンタリー 奇妙さへの礼賛 反復の生むもの


劇団 壱劇屋 第21回公演「6人の悩める観客」

__ 
そして、壱劇屋「6人の悩める観客」ですね。
丹下 
はい。
__ 
これ、丹下さん。
丹下 
はい。ぶっさいくな顔をしております。肌色のチラシなんですけど。
__ 
いえいえ。横の丸山さんが気になりますね。
丹下 
そうですね、凄い顔してますね。一応、悩んでいる顔を指定されたんですが、どう見ても私だけ怒ってるんですよね。
__ 
うーん?怒ってますね。
丹下 
そうなんじゃないかと言ってみたんですが、もうチラシ刷っちゃったので・・・。この作品、初演がものすごく面白かったんです。壱劇屋は作風が毎回違って、非日常を描く作品もあればファンタジーの時もある。私はどちらかというと奇妙な非日常を扱った壱劇屋が好きで、「6人の悩める観客」はそれだったんですよ。西分ちゃんとかに「再演するなら私出たい」とずっと言ってたんです。そしたら今回呼んでもらえて。
__ 
おめでとうございます。
丹下 
ありがとうございます。
__ 
壱劇屋。私もこれまで3回拝見したんですが、面白いですよね。チャンバラ時代劇の「タケミツナリタ」が本当にバカバカしくて、ずっと楽しんでみていられました。センスがいいんですよ、なんか。飽きずに見れましたね。
丹下 
私も何回か拝見はしましたが、これが一番好きな作品です。今回どうなるかは分かりませんが、頑張ります。
壱劇屋
2005年、磯島高校の演劇部全国出場メンバーで結成。2008年より大阪と京都の狭間、枚方を拠点に本格的な活動を開始。主な稽古場は淀川河川敷公園で、気候や時間帯をとわず練習する。マイムパフォーマンスを芝居に混ぜ込み、個性的な役者陣による笑いを誘う演技にド派手な照明と大音量の音響と合わせ、独自のパフォーマンス型の演劇を行う。イベントではパントマイムやコントをしたり、FMラジオにてラジオドラマ番組を製作するなど、幅広く活動している。(公式サイトより)
劇団 壱劇屋 第21回公演
公演時期:2013/10/11~14(大阪)、2013/10/25~27(京都)。会場:芸術創造館(大阪)、京都市東山青少年活動センター(京都)。

タグ: 非日常の演出 京都と大阪・大阪と京都 下らなさへの礼賛 再演の持つ可能性について 奇妙さへの礼賛 実験と作品の価値


vol.317 丹下 真寿美

フリー・その他。

2013/春
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丹下

純芸術

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私は小劇場を見る時に、納得出来なくても気にしないで見るという姿勢が身についていて。例えば言えてない俳優のセリフを無理矢理受け止めたり、間の不自然さに気持ち悪いと思ってもそこは目をつぶったりして、テンションを落とさずに見ているんです。そんな事を考えている時点で楽しんでいないのかもしれませんが。しかし、dracomを見る時は、そういう事はしなくていいんですよね、それはもう、上演する寸前に肌で感じるものがある。奇妙さが前提だったから?いや、それはもしかしたら、純芸術と呼べるようなものだからかもしれない。そう思います。
筒井 
うん。
__ 
純芸術と呼べる演劇は、dracomの形をしているのかもしれない。それは、「良いコンセプト」があれば、それを味わえるだけで良い。そうした力強い作品をdracomで拝見出来るのはとても嬉しいです。
筒井 
そうした反応を貰えるのは嬉しいですね。

タグ: 奇妙さへの礼賛 筒井潤


冨士山アネットpresents[八](エイト) JAPANTOUR2012

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なるほど。さて、6月の初めですが冨士山アネット「八(エイト)」福岡公演が終わりましたね。改めてですが、どのようなお話なのでしょうか。
関  
ある心理療法士のもとに、本が書けなくて苦心している作家が訪れるんですね。治療を続けるうちに、作家の書く本に心理療法士の生活が綴られていく。チラシのキャッチコピーに、「あなたには何に見えますか?」とあるように、個を失って揺らいでいく様が、夢の中の出来事のように描かれる作品です。
__ 
ダンス作品なのに、台本があるそうですね。
関  
ありますね。かっちりあります。特に今回は、10年前に演劇として上演された作品だったんですよ。しかも今回の為に、稽古して振付しながら台本を改編していく進め方だったんですね。
__ 
まるで演劇作品の作り方ですね。でも、本番でやるのは言葉を使わない。
関  
そうなんです。だから、相当、俳優としても即戦力が必要だったんですよ。セリフを覚えて、具体的なシーンを作って、それを振り返りつつ動きに変える作り方をしていました。私はダンサーなので、相手との関係性から生まれた動きがだんだん振り付けになっていってしまって、ダメ出しされたり。単に踊るのではなく、物語とかキャラクターを染みつけて動かないといけないんですね。そんな時、ガイドとしての台本に戻ることで、本来の関係性を取り戻すことができる。私にとっては新鮮な感覚でした。
__ 
しかし、無言劇ではない。
関  
そうですね。マイムとして動いてはいけないし、かといってダンスとして派手な動きでも、それではあまりにもダンス過ぎて意味が分からなくて却下になるし。それが、冨士山アネットの独特のコードというか、面白いところだと思います。
__ 
これまでの手応えは。
関  
今年の一月に東京で初演したんですけど、作品の完成がかなり直前で。鮮度でお届け!みたいな感じでした。、今回はブラッシュアップする時間もあり、会場も広くなって、より進化した形で、自信をもってお届けできると思います。
__ 
伊丹の公演も盛り上がるといいですね。
関  
そうですね。私にとっては地元でもありますし。昨年の大阪公演を見て衝撃を受け、京都芸術センター通信「明倫art」に評論を書かせていただいたのが、アネットとの最初の出会いで。観客から出演者への転身、奇妙な感覚を抱きつつ、私と同様に前作に感動された方にもより良いものをお届けしなければと、プレッシャーも感じています。7月14~15日の三回公演です。挟み舞台になっているので、何度かご覧いただいても楽しめると思います。是非いらして下さい。
__ 
もちろんです。楽しみにしております。
関  
あっ、その前に7月7日、七夕特別企画として、神戸アートビレッジセンター(KAVC)で、一日限りのクリエーションワークショップ&ショーイング「milky way」があり、私も参加させていただきます。こちらも是非。
冨士山アネット
2003年活動開始。類稀な空間演出と創造的なヴィジュアル、身体性を強く意識したパフォーマンスにて創造的な空間を描き出す。近年は、戯曲から身体を立ち上げるといった、ダンス的演劇(テアタータンツ)という独自のジャンルから作品を制作。(公式サイトより)
冨士山アネットpresents[八](エイト) JAPANTOUR2012
公演時期:2012/6/1(福岡)、2012/7/14~15(兵庫)。会場:イムズホール(福岡)、AI・HALL(兵庫)。

タグ: その人に出会ってしまった 奇妙さへの礼賛 無言劇


vol.246 関 典子

フリー・その他。

2012/春
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関

やっぱり通じているんですね

__ 
キャラ作りではなく役作りについて。どのようなアプローチがご自身にあると思われますか?
織田 
僕は、演じている役の気持ちというのは見ているお客さんには分からないんじゃないかと思っているんです。僕もお芝居を見るときは、こういう気持ちなのかなというのが分からなかったり。でも、「林檎の木」で上の世代の方々の芝居を見ると、気持ちで立っている事の安心感があるんですよ。あ、立っているって。僕も、そうした安心感を持てるようにしたいなと。
__ 
逆に言うと、織田さんの持ち味である不安定感や奇妙さというのとは相反するかもしれませんね。客席から見ていると、対象が人間である以上、どこか気持ちというのは見える事もあるかなと。
織田 
気持ちが見えるんですね。
__ 
ええ。
織田 
それは、僕にとっては結構嬉しい事ですね。いや、僕が出来ているとかではなくて。やっぱり通じているんですね・・・大丈夫なんですね。
__ 
いえ、やっぱり分かりますよ。本当に。

タグ: 奇妙さへの礼賛


トランクはなぜ吊られたのか

水沼 
逆に聞きたいんですが、僕の作品を見て、どういう印象でした?
__ 
「象を使う」です。アトリエ劇研に行くと、いつも「アルカリ」のセットを思い出します。舞台上の大量のトランクと、天井に一つだけつり下げられたトランク。あれがずっと引っかかっているんです。何かがそこから出てくるわけでもなく、照明も当たらないし言及もされない。後日、出演者の方に聞いても、あそこにセットされていた明確な理由は返ってこない。水沼さんの作品を見る度に、あのトランクのような、飄々しながら確固としてあり続ける存在を思うんですよ。
水沼 
(笑う)
__ 
こっちが認識したらずっとそこに残り続けて、こちらを見返してくるんですよね。そういう奇妙なものを見たくなったときに、丁度よくやっているのが水沼さんの作品なんです。もちろん、演技のあれこれですとか、そういうのはもちろん見事ですし。
水沼 
まあ、そういう意味では、あのトランクもあまり理由はないですね(笑う)。一つの空間を遊び尽くしたいというのが、自分が作っている時の目的なんだと思います。トランク、上にもあっていいんじゃない、と。そういうのはこれからも続けていきたい。
「象を使う」
公演時期:2005年9月17~25日。会場:京都芸術センター フリースペース。
壁ノ花団第四回公演『アルカリ』
十三夜会奨励賞受賞。演出・水沼健。京都・東京にて公演。初演:2008年11月20~24日(京都)。

タグ: 奇妙さへの礼賛 会場を使いこなす


村井さん

___
私はその、何色何番さんがどういう経歴を持っているのか知りませんでして。
たかつ
大学が精華大だったんですけど、私は1、2回までフリーで役者をやっていて。で、村井が円劇飴色というサークルを作っていて。2回の時に観たものがキッカケで、一緒にやろうと。大学で演劇をやる場も欲しかったので、ちょうどいいやと思って。でもたまたま、村井さんはその時に演劇をやめるつもりだったらしいんですよ。でも、一回だけやったら面白かったんですよ。で、まあ、二人でやっていこうとなって。4回の時に、円劇飴色から何色何番になって、大学を卒業しても続けていく事になりました。それから、年に一回か二回公演してます。
___
いつも、前回公演のような、ナチュラルな会話と差し挟まれる奇妙さ、みたいな芝居をされるんですか?
たかつ
どうなんですかね。いつも、色を決めていて。こないだのは「残色企画(のこりいろきかく)」。あれは、初めて恋の話を書こうと思って。それが何故か切なくなっちゃって、で「残り色」になったんですけど。でもめっちゃアホな奴もあります。
___
確か、アンケートにそれらしいタイトルが。
たかつ
恋色企画『美少女戦隊!ドキレンジャー』というのがあって。あれはですね。演劇における笑いは主に男の人が取っていくじゃないですか。それを、女の子でも力技で取れないかと。セーラームーンのパロディをやりつつ、女の子だって変態だぜっていう感じでやってたんですよ。
___
素晴らしい。毎回毎回、違うんですね。
たかつ
でも、根底に流れているのは同じだって言われた事はあります。
___
そうでしょうね。
たかつ
でも、それは私には分からない。
___
それは重要な事ですよね。自分の物が分かんないというのは。
恋色企画『美少女戦隊!ドキレンジャー』
その後、再演した。公演時期:2008年1月13~14日。会場:人間座スタジオ 。

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