さよならのための怪獣人形劇『パフ』

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劇団しようよでは今年、『パフ』の再演がありましたね。東京、京都でツアー上演でした。その中の西村さんの演技で一番印象的だったのが、怪獣の鳴き声がですね、たまんない可愛さでしたね。「パフー」とかって。
西村 
ありがとうございます。良かったです。あれは何でやる事になったのかな、確か「おもちゃ箱をひっくり返したみたいな作品にしたい」と言われたからかな。内部でも評判が良くて、着信ボイスに出来たらいいねみたいな話になりました。
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素晴らしい。待っています。ご自身ではどんな経験でしたか。
西村 
初演から数えて3回の公演をやってきていて、これだけ長い時間を共にする作品は他になかったんです。作品が変わっていく流れが面白かったというのもあります。作家は苦しんでいて、でもその結果がきちんと出たというのを目の当たりに出来て。嬉しかったです。
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『パフ』は構成がとても面白かったですね。一つの楽曲のような戯曲でした。妄想の世界に逃げてしまった少年が現実の中に戻ってきてしまって、もう一度妄想の世界に旅立って、またもう一度現実と向き直すという。その構成自体が非常に美しくて、まとまっていました。
西村 
ありがとうございます。東京で色んな方に見て頂いて、構成に関するご感想も頂いて。思うのは、やっぱり別の地域の方に見て頂くのはすごく重要なんだなと。
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というと。
西村 
私は元々九州の生まれなんですけど、京都で作った作品を東京に見せに行くと、京都よりもさらに広く、色んな価値観の人と触れ合う事になるんですよ。俳優としても成長出来るし、人生が広がっていくような気がします。
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地方に行くって確かに大事ですよね。全然違う価値観の人に捉え直してもらう。というか、そうじゃなければ先入観がどうしても入ってきてしまうのかもしれない。
西村 
『パフ』では、描いていることのひとつに「災害」があるんですけど、京都と東京の受け止め方の違いはありますね。
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そうですね、かなりバックグラウンドの違う人達ではありますからね。
西村 
はい。面白い事だと思うんです。また色んな作品を、違う土地に持っていけたらと思います。
さよならのための怪獣人形劇『パフ』再演ツアー
公演時期:2014/8/15~18(東京)、2014/9/5~7(京都)。会場:王子小劇場(東京)、KAIKA(京都)。

タグ: 自分を変えた、あの舞台 外の世界と繋がる 遠征公演 王子小劇場 再演の持つ可能性について 人形劇にまつわる話題 妄想


北から南へ・・・

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どいのさんと五月さんがこれまで印象深かったのは。今回のツアーに限らず、これまでの旅公演でも結構です。
どいの 
今までで言えば、僕は釧路なんだよね。最北でもないけれど、寒い時期には寒い。まあ、毎年寂れていくわけさ、街としては。
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ああ・・・
どいの 
デパートが無くなって飲み屋ばかりになっちゃったねと思えば、今度は飲み屋までだんだんと少なくなっていく。元々は炭鉱で栄えた街だからしょうが無いかもしれないけど。郊外型の店舗がある地域は栄えてるんだけど、街の本体は寂れていて。夏に行ってもすごく寒いところだから、道の角を曲がったらもう死にたくなるわけ。
根本 
八月なのにそういう風情なんだよ。
どいの 
そうなのさ、でもそこに、物凄いエネルギーを持つ一群があって、そのエネルギーにやられちゃう訳さ。すっげえな、生きる力だと。
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釧路でのどくんご公演、行ってみたいです。五月さんは。
五月 
私釧路出身なので(笑う)どくんごで行くようになって、改めて釧路と出会う。そんな感触があります。ハタチまで居たけど大した知り合いもなく。芝居を通して、改めて関係を再発見していく感じでしたね。札幌も面白いです。最初にツアーから公演している土地ですが、長いことホンットにお客さんが入らない(笑う)演劇関係の公演に宣伝してもお客さんがさっぱり入らない。それで受け入れの方が色々悩んで、音楽関係だったり、映像だったり、人形劇だったりとか、面白い変わったイベントをやっている方に当たって、この3年くらいで客層が大きく広がりました。演劇関係にも宣伝はしてますけど、他にも色んな面白がりの方に根気よく宣伝してくださっています。去年で動員、270かな。
どいの 
札幌は最前線ですね。走ってます。
2B 
東京でさえ500人ぐらいなのに、割合的に物凄い事になってるね。

タグ: 北海道出身 土地の力 人形劇にまつわる話題 その題材を通して描きたい


「戦う」

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さきほど、「戦う」という表現を使われましたね。兵頭さんにとって、「戦う」というのはどういう感覚を指していますか?
兵頭 
作品を作るという事自体が、私にとっては戦いなんです。
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というと。
兵頭 
悔しいんですが、どうしても出来ない事が出てくるんですね。自分の限界を思い知るんです。その場で泣いてやりたくなるくらいに悔しい。自分より上手に表現する人がいたら、やっぱり悔しいと思う。出来るようになるまで頑張るんです。お芝居には点数は無いんですが、やっている本人たちが一番分かるんです。この人が舞台に出てきただけで持って行かれた!って思ったり。
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なるほど。
兵頭 
それから、いまギアの現場に参加していて、やっぱり周りの出演者がすごく戦闘力が高いんですよ。
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そりゃあそうですよね。日本のトップが集まってる訳ですから。
兵頭 
人を惹きつける力が強いという事ではなくて、戦い方を知っているんですよね。苦しい戦いも、楽しんで戦う事も。違うジャンル同士が、リハーサルで調整しながら戦っているんですよ。私は演じる事は出来るけど、頭で回る事は出来ないし、バトンを操る事も出来ないし、何かを隠す事も、見えない壁を作る事も出来ない。だから、守っていてもつまらないんですね。だからみんなと仲良くするポジションで、劇場ごと元気にしていきたいです。
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私は何回かギアを拝見しているんですが、兵頭さん演じるあの人形は引きこまれますよね。4月から無期限上演ですね。
兵頭 
そうですね。とりあえず3ヶ月上演はするんですが、私たちは今後1年、2年、10年と代替わりしていくのを夢見ています。もちろん、お客様の応援が絶対必要なんですけど、京都のお客さんに元気を与えられたらいいな。
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頑張って下さいませ。

タグ: 泣く観客 お客さんに元気になってもらいたい 人形劇にまつわる話題


指一本一本まで、意識して動かしてみたい

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どこかで聞いたのですが、殿井さんはアニメーションが作れるらしいですね。
殿井 
(笑う)技術は全然ないんですけど・・・。針金が入った人形をちょっとづつ動かしていくんです。
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おお、クレイアニメみたいな。
殿井 
簡単な動作でも、いざ人形を動かしてそれらしくみせるとなると難しいです。普段自分がどうやっていたかを改めて思い返さないと。歩くことひとつとっても、膝が先だったかな?かかとかつま先か?と、改めて考えてみるとこんがらがってきます。
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難しいですね。
殿井 
演劇やダンスの稽古エクササイズでもゆっくり歩く、動いてみる。というのがあるんですが、同じように難しいです。そういえば「教育」や、「文化祭」のときも、稽古のはじめの頃に「ゆっくり動く」ワークショップがありました。
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はい。
殿井 
普段無意識にしていることが実は、難しいというか奥が深いというか、思い知らされます。
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面白いですね。
殿井 
ロボットの開発みたいですが、常々指一本一本まで意識して動けるようになったらいいなあと思います。自分でできたら、人形でもできそうな気がするので・・・。
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クレイアニメで日常の動きを作るには、自分の筋肉を人形に延長させて動き方を発見していかなくてはならない。制作するとき、人形を通して自分の演技を同時に見るという、普通ではありえない体験が出来る。
殿井 
そうですねぇ、いや、本当に拙くて私には演技というほどのことを人形にさせるだけの技量、人形作りの技術がまだないのですが・・・。ちがう分野をいったり来たりするというのは、何かしらの肥やしになってきたように思いますので、アニメーション制作もつづけていきたいですね。

タグ: 人形劇にまつわる話題 ロボット演劇


vol.165 殿井 歩

フリー・その他。

2011/春
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殿井