透明な壁を巡る旅

__ 
マイムって、演劇ともダンスとも違うジャンルですよね。だからまだ人類の知らない可能性があると思うんですよ。参入人数もまだそれほど多くはない。というか、歴史がまだ100年経っていない。
黒木 
そうですね。いいむろさんもおっしゃってるんですけど、マイムの良いところって、人生の長い時間を3分くらいの、いや、もっと短い時間で表現出来たりするんです。それが凄く魅力的かなと思っていまして。でも、一時間ちょっとの作品を作りたいんですけど、自分自身で作ろうとすると3分程の作品の方が作りやすくて見やすいし、一つ伝えたい事がドンってくるから。
__ 
最終的にはより深い印象を刻めるかどうか、ですよね。
黒木 
そうですね。
__ 
人生を凝縮して見せる事が出来る・・・ちょっと脇道にそれますが、マイマーってすごく俳優の人格が出ると思いませんか?
黒木 
出ますね。
__ 
これはもう、演劇よりもくっきりと出るんじゃないかと思う。会話ではなく、モノVS人物なので。さらに、触れている人物を見ている観客はどんな状態にあるかと言うと、動きの面白さはもちろん、この人はこれからどうなってしまうんだろうというワクワク感。
黒木 
そうですね。何でしょうか。それこそ、それぞれの人格も含め、役者が客席の地続きに存在しているような・・・それは一要素としてはあると思います。名前が付いていない、情報が少ないからというのもあるかもしれません。誰か分からない方が面白いというのはあるかもしれません。
__ 
しかも誇張された動きで。何故あんなに不自然なのに見せられるんだろう。見えない壁に当たったら絶対、離れますもんね。絶対に触らないと思う。スリル満点ですよね。
黒木 
そんな人がいたらビックリしますよね。
__ 
意外と、その姿が異様だからこそ、何かを感じているのかもしれない。
黒木 
ええ。
__ 
マイムの表現の原理に、何か、触るというアプローチがあって。あるかどうかも分からない透明を触るその者はその瞬間、個として完全なのかもしれない。何故なら彼はその時誰にも支配されず個としてそれに触れる事を選んでいるから。その時だけは確かに、見えない何かに触っている疑念の身体が明確に存在している。この特定によって、絶対に流れ去ってしまう時間や風景を空間にとどめようとする技術なんじゃないかと。凄くエンターテイメント性を持ちながらも、無常さそのものと相性の良い芸能なのかなと思うんです。そこで家族をテーマにした作品を行うというのは興味深いですね。

タグ: 演技の理解、その可能性 役者はノイズを産み出す機械? 役者の認識(クオリア) 瞬きの数をコントロールする俳優 コンセプチュアルな作品 一瞬を切り取る 愛情表現 新しいエンターテイメント パントマイムの話題 関係性が作品に結実する 俳優を通して何かを見る


わたしの役と相手の気持ち

__ 
呉城さんが演劇を始めたキッカケを教えてください。
呉城 
田中遊さんの劇研アクターズラボが最初です。あれが最初じゃなかったかな。平田秀夫さんのWSとかを週に1回受けてて、公演クラスに行ってて。それを2回ぐらい。
__ 
呉城さんは独特の存在感ですね。良く言われませんか?「春よ行くな」を引きずり過ぎてしまっているのかもしれない。まあいいや。今日聞こうと思ってたんですけど、俳優の仕事ってどういうところから始まると思います?
呉城 
えっ、何そんな。
__ 
例えば、良く言うじゃないですか「相手の気持ちを考えよう」って教訓。これはもの凄く難しい事だと思うんですよ。私は自分にはそういう才能は全く無い事を自覚していて。まあそれはホテルでバイトしていた頃に発覚したんですけど。
呉城 
ああ、サービス業だとよく言われますよね。相手の気持ちを察する。
__ 
でも、相手と同じ場所にいる時に、“自分の”気分には素直になれるじゃないですか。これはつまり、関係を連続していく内に、相手の気分と同調出来る可能性があるという事なんですよきっと。これは共感への道のりと言えるんじゃないか。気持ちに素直になるって、これはもう俳優の仕事の第一歩なんじゃないかなと。でも、その第一歩が分からない。
呉城 
相手の気持ちと同調する方法・・・赤色エレジーの稽古場では佐々木君と役について結構話していて。「この役はこの話が終わった後はどうこうするに違いない」とか。自分の劇団では良く、読みが浅いと言われているんですけど、今は読もうとしています。そういう話をした日の稽古は普段とはちょっと違う気がする。自分でもちょっと楽しいというのはありますね。
__ 
なるほど。
呉城 
役についての話が増えていくと自分も楽しいんですよね。今はまだ、辻崎さんの話はまだ理解しきれていないんですけど、それでもとりあえずやってみる、そういう姿勢です。今の稽古場はそういう人が多いですね。他の人の稽古をちゃんと見とかな、って人ばかりで。私も全体を見て、視野を広げていようとしています。そうしないと失敗するタイプなんで。

タグ: ホテルの話 演技の理解、その可能性 俳優の「素」を生かす 舞台全体を見渡せる感覚 反応し合う 関係性が作品に結実する


「愛さないでくれよ」

__ 
ドキドキぼーいずの話からさせて頂ければと思います。まず、あの役はご自身ではいかがでしたか。まあ複雑な役柄だったとは思いますけど。
佐々 
僕は楽しかったです。これは本間広大とも言ってたんですけど、「ハムレットみたいなもの」の主人公が普通で、周りが変なんですよね。ただハムレットは外界からのストレスに敏感なだけで、だから一番普通な奴が一番おかしくなってしまった。なので僕は、自分は何も作っていかないように気を付けていました。舞台に上がるまでのあらすじで語られる関係性と「どう思っているか」だけを持っていくんです、するとホントに、全員がムカつく事してくるんですよ。そのムカつきを体で発散したんです。内に籠もらせないで。気持ちをすぐ体に出すなんて、普段やらないじゃないですか。貧乏ゆすりぐらいしか。
__ 
匿名劇壇だと、まあ確かに佐々木さんは止まってる事が多かった気がする。
佐々 
でも、すぐ動くのが求められてたんです。出来てるかは分からないですけど。僕的には楽しい、悲劇だから楽しいというのはおかしいかもしれないですけど。
__ 
いや評判でしたよ。私個人としては、普通の青年が日常に戻ろうとして、自棄になるというよりは壊れてしまった感じ。叔父さんが実母と結婚したり、かつての親友が、あえて昔と変わらない調子で声を掛けてきたり、しかもそれが母親の差し金とかだったり。
佐々 
そういうの、ちょっと嫌ですよね。合わせられるんですけどね。
__ 
何か、「愛さないでくれよ」とかいう気持ち。そっとしておいて欲しいというか。
佐々 
向こうの裏が見えてしまう感じ。まあ逆ギレなんですけどね。
ドキドキぼーいず
2013年、代表である本間広大の学生卒業を機に再旗揚げ。京都を拠点に活動する若手演劇チーム。虚構性の強い演劇を目指し、『リアル過ぎる嘘っぱち』の創作に挑んでいる。生み出されていく衝撃を、時に優しく、時に激しく、作品として観客に提示することで、人間の本質を描き出す。いつまでも青臭い、カワイイ奴らでいたい。(公式サイトより)
ドキドキぼーいずの大進撃#04『ハムレットみたいなもの』
公演時期:2014/10/3~6。会場:元・立誠小学校 音楽室。

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会話劇に興味あり

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
白井 
そうですね、今こうしているような会話を見せる芝居がしてみたいです。このテーブルを囲んでいるだけの関係性だけで見せられるような。
__ 
素晴らしい。会話劇。
白井 
会話劇といっても、面白くない会話劇というのはやっぱりあるんですよね。「これが面白い会話劇だろう」と思って作られた芝居が、本質を掴んでなくて面白くなかった、という事はあるので。それはエンタメでも同じなんですけど。
__ 
そういう、集中した空間ですね。

タグ: 役者全員の集中が一致 いつか、こんな演技が出来たら 会話劇研究 関係性が作品に結実する


共作がはじまる

___ 
この作品・・・『ツー』?と読むんですか?
たみお 
ちょっと言いにくいので「ティーダブルオー」と呼んでいます。
___ 
ありがとうございます。いいチラシですよね。ビジュアル的に素晴らしいです。ここ3年ぐらいで見た中で一番、美しいと感じるチラシでした。
たみお 
あ、本当に?ありがとうございます!この遊園地の写真、全部切り抜いているんですよ。手伝ってもらったりして。
___ 
元は写真なのに、欄干の一本一本まで・・・凄いですね。さて、どんな作品になりそうでしょうか。
たみお 
照明デザイナーの魚森さんと、インターフェイスデザイナーの片山さんのお二人がお作りなったサギノモリラボというデザインユニットと一緒にやらせてもらうんですけど、面白い事を考えていらして。例えば、お客さん参加型のインタラクティブアートが演出として作品に組み込まれるという。
___ 
面白そうですね!
たみお 
それから、作品自体が移動し易いように作ろうと、
___ 
移動できる作品とは?
たみお 
海外にも持っていける。劇場を選ばずに出来る作品です。私の方は、暗転をしたいという気持ちがずっと強くて。この一年ぐらいはリーディング公演を主にしていたんですけど、会場の都合から暗転が難しくて。それを魚森さんにお話した時に、「一緒にしてみない」というお話を頂いたんです。暗転出来る、これはありがたいぞと思って。
___ 
面白い関係性ですね。
たみお 
ありがたかったです。

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「人格を消費する」

__ 
今回の最初のシーン、戦隊モノから入っていきましたね。もうこれはエンターテイメントであると宣言してくれていたような気がして、それを最後まで裏切らずいてくれて。俳優も全員面白かったです。まず伺いたいんですが、お客さんにどう感じてもらいたいですか?
福谷 
どう感じてもらいたいんかな・・・さっき言った事と矛盾してしまうんですけど、事実ではないと言いながらもやっぱり僕の作家性みたいなものは完全に入っているので、スタート地点は真実だったりもすると思うんですよ。スパイク・ジョーンズが好きなんですが、彼の映画には監督の苦悩が露骨に作品に出てきてるんですよ。僕はそれを見せ物として楽しんでもらいたいんですね。
__ 
苦悩?
福谷 
いじめられている俺を見て笑ってくれ、という気持ちですね。お客さんに対して。
__ 
それはつまり、自分に同調してもらいたいと思っている?自分をネタにして面白がってもらいたい?
福谷 
そうそう、そうですね。
__ 
それを面白いと思うようになったのはどこからですか?
福谷 
うーん、割と昔から、かな。作り込んだものよりも、ハプニングの方が面白いみたいな感覚ってあるじゃないですか。僕らのやっている事はそれではないですけど、僕の想像力なんて乏しいので・・・一番身近にある僕というコンテンツを消費してくれというスタンスですね。
__ 
なるほど。そういう企みに我々は見事に引っかかり、次も楽しみにしてしまうんでしょうね。その性向は、福谷さんにどのようにして備わったのでしょうか。
福谷 
僕、元々お笑い芸人になりたかったんです。小学生から高校までそう思ってたんです。全盛期から今でも好きなのがロンドンハーツなんですが、あれはものすごく人格を消費する笑いで、僕はそうなりたくないから止めた一方で、でもそれがあるんだろうなと思いますね。
__ 
ロンドンハーツ、面白いですよね。あれは普通の雛壇番組とは全然違って、そこにいる人達の関係性を駆使した笑いと、さらに尊厳を蹂躙する事で生まれる快楽。
福谷 
それはもう人気番組ですからね。みんな、それを求めてるんだろうなと。

タグ: 僕を消費してくれ 書いてみたいと思った わたしとわたしの矛盾 新しいエンターテイメント 関係性が作品に結実する 単純に、楽しませたい


青が繋がっていく

FJ 
言ってみれば、青い話なんですよ。「お母さんとファック」は。それをごまさんが果実にした、そんな感じです。
__ 
お客さんに、どう感じてもらいたいですか?
FJ 
何というか、思い出話を盛っているような気がして、少し警戒してはいるんですよね。普通にやりたいんです。とか言って当日はノリノリで感傷的なお芝居しているかもしれないけど。とにかく、思い出話をするという事で閉じた世界じゃないですか。それをもうちょっと公にするために、色んな人物を通して僕の話になるんじゃないかと思います。僕の話をごまさんがグレードアップして(いっぱい嘘も入って)、サリngROCKさんの絵にも引っ張られて、一日演出家のドラマベラーターの方にもお話を聞いて。それを僕が思い出して喋ると。
__ 
深みが出るでしょうね。
FJ 
出たらいいですよね。
__ 
そうして積み重ねた全ての関係性が出るんじゃないでしょうか、きっと。色んな人の仕事や意見が入っているものだと思います。
FJ 
大体、5~60分程度のお芝居になります。横山ショーキーさんに生演奏をお願いしていて、僕は出演者なんですけど音響や照明の操作も同時にやります。自分だけいいカッコしたいんちゃうかという気分になってきますけど、でも、面白いと思います。僕の青さの全てを・・・全てじゃないかな、一部を詰め込んだ話になっていると思います。
__ 
楽しみです。

タグ: 生演奏のある作品 関係性が作品に結実する 俳優を通して何かを見る


話してみよう

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
西尾 
仲間を増やすこと、かな。
__ 
劇団員を増やす?
西尾 
という事じゃなくて、約束を決めていくより、もっと沢山話そうと思うんです。言ってみたら、結構なんとかなる事が多いんですよ。例えば、こちらの準備が整うまで話してはいけないとか、どんな条件を出してあげられるだろうか、とか。でもそれより、会って話した方が良いんですよね。
__ 
関係性を深めたい、紐帯を強めたい。
西尾 
そうですね。それと、さらけ出すって感じですね。整ってからじゃないと話してはいけないと思っていたんですけど、「こんな事をしてみたいんだよね」みたいな状態で話したら「じゃあ、こういうのはどう?」って言ってきてくれる。生煮えの状態で話した方がいい流れになる事もあるんですよね。
__ 
突然ですけど・・・最近、「黒子のバスケ」脅迫犯の陳述書を読んだんです。彼が本当に求めていたのは、憂さ晴らしではなく「誰かと話す事」だったそうなんですね。いま彼は留置所仲間とおしゃべりしているらしいんですが、ものすごく心が穏やかになっているそうなんです。気を許せる人と話が出来るという、自分の存在を許してくれる、そんな関係性が欲しかった、らしいですね。
西尾 
私も許容してもらわなくちゃ、と思ってたんですけど。許させるというと言葉が強いですけど、やはりこちらから積極的に関係性を作っていかなくちゃいけないんですね。まず、私が相手に何をもたらせるか・・・
__ 
与える自分になる?
西尾 
というと偉そうなんですけど、引き出しを全部使うという事ですかね。今持っている引き出しを使い尽くすと次が大変かと思いきや、むしろもっと入ってくる。今回の「緑子の部屋」は、キャストもスタッフも、それぞれがそれぞれに全部使い尽くした感じですね。
__ 
最後に、「緑子の部屋」。ご自身としてはどんな作品でしたか?
西尾 
すごく楽しくやれた作品でした。全般的に、エネルギーが上手く流れていたと思います。去年、9月10月と連続で作品を上演したんですが、かすかすの雑巾みたいになるまで自分を絞ってたんです。そうじゃなくて、自分も潤す時間があって、それが返ってきて、みたいな感じで回せたかなと。
__ 
循環型鳥公園ですね。
西尾 
サスティナブルな(笑う)。
__ 
そう、持続的発展可能な。

タグ: エネルギーを持つ戯曲 関係性が作品に結実する


長い付き合いになるんです

__ 
山本さんがお芝居を始めたのは、どんな経緯が。
山本 
高校演劇から、ですね。中学生まで人前に出るのが苦手だったんですが、そういう自分を変えようと演劇部に入りました。そこで演劇楽しいなと今に至る訳です。
__ 
なるほど。
山本 
高校時代に大熊さんと竹村さんに出会いまして、一緒に舞台に立たせてもらって。その後も一緒に作品作りをしています。
__ 
山本さんにとって、壱劇屋は正直、どんな集団なのでしょうか。
山本 
高校時代からつきあいが長いんですよね。僕も劇団員なんですけど、先輩後輩という関係性は強いですね。仲が良くて、感覚が合うというのは長所だと思います。芝居の感想とかも、結構合うんですよ。

タグ: ヘラヘラ笑う俳優 その人に出会ってしまった 関係性が作品に結実する


質問 竹村 晋太郎さんから 丸山 真輝さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせていただいた、竹村さんから質問です。「壱劇屋に入る前と入った後のイメージを教えて下さい。」
丸山 
いつも、チラシの壱劇屋の紹介文で「高校演劇部のメンバーが今も続けている団体です」みたいに書いてあるんですけど、それは今でも同じですね。
__ 
というと。
丸山 
長い間お互いの気心が知れたメンバーでやっていて。その雰囲気が作品から伝わるんじゃないかなと。そこを感じてほしいですね。本編のスタイリッシュなイメージは、実はないです。実情は、もっと泥臭いやり方。スタイリッシュになれる方法を泥臭く探す人たちなんですよ。いいものを作ろうと足掻いて足掻いた結果、あそこに行けているんじゃないかなと思います。
__ 
その関係性が素晴らしいですね。
丸山 
大熊君が作演出で出演もする。だから王様扱いかというとそうではなく。いい意味で王様としては考えなく、みんなで作っているんですよね。最終的に決めるのは大熊さんなんですけど、そこに至る経緯までは好きな事を言わせてもらう。納得のいく組み方を最後まで続けるのが、壱劇屋の良いところなんじゃないかと思います。

タグ: 関係性が作品に結実する


夕焼け

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
危口 
今は、先程も話題に出た「注文の夥しい料理店」を12月に横浜で再演するので、その準備と、来年作る作品の準備を並行して進めています。父親と二人芝居をしようと考えています。
__ 
おお。何故お父様と。
危口 
うちの父親は画家をやっていて、抽象画を描くんですけど、かといって、ポロックなどの、戦後アメリカの抽象表現主義などには全然興味がないしそれほど勉強もしてないんです。絵画の歴史を、ある程度のところ、セザンヌ、マティス、クレー辺りでストップさせているんですよ、あえて。絵とはこういうものだと定義して、自分なりに活動してるんです。
__ 
アップデートをしていない。
危口 
一方僕は何やら、新しい世代というところにカテゴライズされているみたいで。果たして自分は、新しさや驚きを提供し続けるタイプなのか。それとも、これだと決めたらそれを追求し続けるタイプなのか。ある程度スタイルを固定化して、バリエーションを作り続けるのか。親父とそういう話をしてみたいです。

タグ: 関係性が作品に結実する 今後の攻め方 家族という題材


野生に僕らは逆らわない

__ 
そういう意味では、「俺ライドオン天使」ではかなりスカッとしました。坂本さんにとってはどんな作品でしたか?
坂本 
楽しかったです。演劇って毎回、違う体験を得られるんですよね。退屈しないんです。例えば、キモオタが女の子のヒップラインを全身を使って見るシーンがあったんですけど、そこが僕の人生の中で5本の指に入る楽しさでした。彼とは「あなたが一番気を付ける事はなんですか?」「お尻を目で追いかける事です」「それは役者として役を演じる事以上に大切ですか?」「役者として役を演じる以上にお尻を目で追いかける事が大切です」こんなやり取りを30分くらいして、周りの人は全員引いていたんですけど、そういうコミュニケーションは大切にしたいです。
__ 
なるほど。しかし、過激な下ネタが予想されるチラシだったにも関わらず女性客が大変多かったですね。
坂本 
そうですね。もしかしたら女性的なのかな?意外と、男性より女性にウケるのかなあ?
__ 
小手先ではない品性下劣な下ネタを、もしかしたら女性こそ求めているのかも?
坂本 
ちょっと、話を聞いてみたいですね。次回公演はレディースDAYを作ってみたいですね。

タグ: B級の美学 ファンタジー 関係性が作品に結実する 役者に求めるもの 女性的、それはなにか 女性と下ネタ


質問 山口 惠子さんから 丹下 真寿美さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた山口惠子さんから質問です。ちなみに、丹下さんと面識はあるみたいです。壱劇屋の稽古に来られた時に会った事があるそうで。
丹下 
分かります!ご無沙汰しております。
__ 
壱劇屋の愛しい部分と憎い部分を教えてください」。
丹下 
愛しい部分。どこか一つの場所にみんなで向かっていくところです。未だに枚方の河川敷で稽古しているというのが半ば信じられへんけど。
__ 
丹下さんもそのうち行く事になるのでは?
丹下 
いやそれは断固拒否したいですね、嫌だなあ河川敷。
__ 
いや河川敷でしか生まれないものもあるんじゃないかと思いますよ。
丹下 
河川敷でしか生まれてないんじゃないか・・・。どうなんですかね。
__ 
区民センターとかでも稽古はしてるみたいですけどね。でも、BBQしてる家族連れが密集している横での稽古、ですよ。その微妙な外の世界との緊張感が彼らの作品世界を育んできたんじゃないかと。町中でパフォーマンスをしたり、みたいなあのワクワク感が。芝居が関係ない世界へのサプライズ。
丹下 
それを聞くと、行った方がいいのかなと思いますね。
__ 
でも徹夜はやめた方がいいかもしれませんね。
丹下 
せめて終電で帰りたいですね。憎い部分。美味しいとこ取りするとこかな。
__ 
おおっ。

タグ: 徹夜 壱劇屋の無謀さについて 関係性が作品に結実する


vol.317 丹下 真寿美

フリー・その他。

2013/春
この人のインタビューページへ
丹下

歯車がぴたっと合った瞬間

__ 
舞台の上で演技をした時。「この演技が上手くいった」という時があると思うんですが、その条件は何だと思いますか?
丹下 
それは私個人では絶対出来ないんです。相手ありきというか。全ての歯車がぴたっと合った瞬間。その確率を上げるのが稽古なんだなと思います。全ての関係者とも、その日のコンディションも合わないと上手くいかないと思います。
__ 
確率を上げる。その言い方、凄く面白いですね。
丹下 
エンタメ系だと、それはパフォーマンスに当てはまるんですけど、会話劇だとそれは当てはまらなくなるんですよね。

タグ: 一人では何も出来ない 揺らぎ、余白 引き出し合う 舞台にいる瞬間 関係性が作品に結実する 自覚的になりたい


vol.317 丹下 真寿美

フリー・その他。

2013/春
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丹下

この生きづらい世界で

__ 
かのうとおっさんの作品、とても好きです。何というか、性悪説を体現したかのような登場人物たちの放埒な姿を見ていると、人間そのものを許せるような気がするんですよね。その奥に、地獄を肯定してやるんだ、的な姿勢を感じるんです。
嘉納 
ありがとうございます。そういう事だと思います。
__ 
クズばかりが出てくる芝居だと思うんですが、書いている方からしてはいかがでしょうか?
嘉納 
特にここ2・3年はそういう方向になってきている気がしますね。それまではちょっとおかしい人々を書いていたんですけど。
__ 
なぜそのような人物を描くようになったのでしょうか?
嘉納 
生きづらい世界だと思うんですよ。ちゃんとしないといけないんですが、そうしたくないなあという気持ちがどこかにあって。立派にいようとすると、ちょっとしんどい。
__ 
成長したくないというのは大変文学的なテーマだ、みたいな評論がどこかにあったような気がします。そういう気持ちが嘉納さんにはある?
嘉納 
20代の頃、立派になろうと振る舞っていた時期があったんです。いい人であろうと、自らを演出しようと、例えば相談されたら「大丈夫だよ」とか答えたり。しばらくして、このままだとつまらない人間になりそうな気がして辞めてしまったんですよね。3ヶ月くらいで。立派な事を言ったりしてたらああこれクソつまんねえなと。

タグ: 性悪説 「かのうとおっさん」という特異点 相互承認 自由自在になる 受け入れる・受け入れられる 成長拒否 関係性が作品に結実する ロックな生き方


「我ら役者は影法師」

__ 
色んな人がいて、それで良いと。
藤本 
シェイクスピア作品には様々な解釈を許す多面性があるというか。どういう風な切り口をしても、結構通るんですよね。無理矢理でも。現代の役者に役を振った時に出てくるものには、現代人の彼が反映されている訳ですよ。そこを活かしたいですね。その人ならではの読み方を。
__ 
なるほど。
藤本 
もちろん演出もやっているので、こうしたいというコンセプトはあるんですけども、役者さんに委ねて出てきたものをどう活かせるか。それがどうしたら面白くなっていくのか、役者さんたち全員と共同で作っていくのが理想です。僕が一方的に指示したりする関係性は、なかなか良い秩序を産まないので。お互いに掛け合う。「こんなのはどうだろう」、「うん駄目や」と言いながら、この座組でしかできない、交換不可能なものを作って行きたいですよね。
__ 
ありがとうございます。この「真、夏の夜の夢」、作品としてはどのようなコンセプトがあるのでしょうか。
藤本 
戯曲の最後のセリフが印象的で、「我ら役者は影法師」、私達の芝居は大したことはありませんけれども、夢だと思って下さいというメッセージで締めくくる。まず夢である事が大切で、その世界を描こうというのが一つ目の指針でした。もう一つはやっぱり恋愛モノですので、「夢」と「愛」がコンセプトとして作っています。夢にしても、寝ている時の夢でありながら、実現出来る夢として描きたいですね。愛も、間違っていても構わない、色んな愛の形があっていいという事を舞台上で描けたらと思います。欲張りですけど、そういう風に膨らんでいけばいいなあと思います。
__ 
このお芝居を見たお客さんに、どう思ってもらいたいですか?
藤本 
人が人を好きになるって、いい事だと思ってもらいたいですね。そう思ってもらえなければ駄目だなあと。それは男女間の恋愛だけではなく、男が男に惚れる場合もある訳ですよね。年齢差も関係ない。それが素晴らしいという事を伝えたいですね。ニコニコとした気持ちで見て貰えたらと。

タグ: この座組は凄い どう思ってもらいたいか? ラブストーリー 恋愛至上主義 相互承認 関係性が作品に結実する


人の欲とか打算、面白いですよね

__ 
さて、なぜかのうとおっさんではそのような人々を描くのでしょうか。たとえば移り気で打算的で目先の利益に弱い人々を。
有北 
人は本質的に嫌なところを持っていて、でもそこだけを強調したい訳ではないんです。本気の部分、素の部分が好きなんですよ我々は。
__ 
なるほど。
有北 
僕の周りにいい人が沢山いたら、今頃そういう芝居を作っていたのかもしれません。
__ 
そうではなかった?
有北 
(笑う)そうですね、いやいるんだけど、剥いていくと悪い部分があるんです。僕は、人の欲とか打算とかが大好きなんですよ。
__ 
人間の皮を剥いていく事に興味がある。それは、いつ頃からでしたか。
有北 
それはもしかしたら、高校ぐらいですかね。周りにロクでもない奴がいて、彼らとは今でも仲が良くて季節の変わり目には集まって飲んだり遊んだりしています。あいつらも大概アカンですね。そこに原体験があるのかもしれません。
__ 
人間には色々な面というか、悪い・しょうもない人格をその内に抱えていて、それも人間だといいう事を友人関係を通して自然に学んでいくのも一つの教育なのかな、と思っています。学校では教科としては教えられてはいないけれども、集団生活を通して自然と身に付いて行くのが理想でしょうね。
有北 
そういう訳で僕はナイーブなんですが、何故いま人を傷つけてえぐるような事をしているのか、自分では分かりません。ただ、凄く楽しいんですよ僕は。
__ 
楽しみたいんですか?
有北 
例えば稽古場で、僕らはとても笑うんですよ。ひどい事を演技してもらうととても楽しいんです。我々が楽しくなければ意味がないと考えていて、それを追求した結果、酷い人々ばかりが出てくる作品になりますね。
__ 
遠坂さんが年下の女の子に「バーカバーカ」とか言ったり。
有北 
唾吐いたりしてましたね。
__ 
それに、最後の最後に佐々木ヤス子さんが低級妖怪を演じる、不要なシーンもありました。
有北 
あれは彼女が八木進さんの代役をしていた時の演技をそのままを再現してもらっただけなんです(笑う)一応設定はあって、30cmくらいの大きさでお墓のお供えモチを食べる。あと、水も飲んでくれと。
__ 
「悪魔くん」のピクシーみたいな。
有北 
そんなイメージでしたね。
__ 
しかも、不要なシーンでしたしね。

タグ: 人脈・コネクションの大切さ 優しい嘘 「かのうとおっさん」という特異点 関係性が作品に結実する ロックな生き方


人間が見れる

__ 
では、稲森さんは弱男のどういう所が魅力だと思われますか?
稲森 
人間。
__ 
おお。
稲森 
人間が見れる所だと思います。人間像という意味ではなくて。私にとって弱男の舞台は、演じる場所というよりは、現実の地続きなんです。
__ 
地続き。
稲森 
私と向井さんは割と長いことやってるんですね。その二人の感じって、私達にしかたぶん出せないんですよ。舞台上にまで二人の関係性が延長している、という事ではなくて。阿吽の呼吸でもないんですけど、ノリですかね。
__ 
ノリが舞台に持ち込まれている?
稲森 
そうですね。関係性とか言っちゃうと、具体的になってしまうので。
__ 
分かる気がします。クセというか、セッションというか。
稲森 
そうですね。音楽みたいな。
__ 
触れ合いみたいな・・・つまり、関係性みたいな高レベルな層じゃなくて、もっと低レベルな、もっと深い層での接触があるんですね。
稲森 
そうですね。頭で考えたコミュニケーションじゃないんですね。
__ 
そういう関係を舞台で見て、我々自身の、リアルタイムな実生活を却って思い出すという事なのかな。ふれあいの記憶が呼び出されるような。だから、役者が不器用だというのは必要な条件なのかもしれませんね。

タグ: 舞台に立つまでの葛藤 器用さ・不器用さ 内輪ウケの・・・ 地続き 劇団力 関係性が作品に結実する


フレキシブル

__ 
役者として普段、心がけていることは何かありますか?
高杉 
走るぐらいですかね。あとは、常に相手の演技をよく見る事に気を使いますね。やっぱり、関係性というのが凄く大事だと思っているんです。相手の演技が変わる事によって、自分も変えていかなくては独りよがりになってしまうので。相手がこういう人だったら、僕はこういう感じでやってみようと。
__ 
相手の役作りを反映して、演技を作るという事でしょうか。
高杉 
そうですね。元々、あまり役作りをガチガチにやっていくタイプではないので。
__ 
フレキシブルにしていくと。なるほど。でも、やっている人は同じクールキャッツ高杉さんなのであまりブレているようには見えない、のかな。
高杉 
どうですかね。分からないんですよね、ブレているかどうか、というのは自分ではなかなか。でも、ブレないほうが良いですよね。
__ 
そうですね。さて、高杉さんは、役者として今後どんな感じで攻めていかれますか。
高杉 
色んな役がやれる役者になりたいですね。こういう役が似合う人だというんじゃなくて。色んな役をやっていきたいですね。
__ 
分かりました。ありがとうございます。

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