満月動物園=アングラ?

__ 
満月動物園の、開園の経緯を教えてください。
戒田 
開園、初めて言われました(笑う)。元々は大学でやっていて、ぼちぼち外部でのプロデュース公演にも参加するようになっていって。けれどもその内、先輩を含め周りが卒業して会社員になっていく訳ですよ。芝居を続けたいけれど続けられるかしら、と不安になる。なら、一つ形にしてみようと。
__ 
ありがとうございます。いつも思うんですが、公演のタイトルが非常に魅力的な付け方ですよね。あんまり、お褒めの言葉としては違和感があるかもしれませんけど。
戒田 
いえいえ、ありがとうございます。
__ 
そして、今の満月動物園。サイトにあるコンセプトの文章には「ファンタジー」「メルヘン」とありますが、それよりもとても、人間の心にどこまでも迫った作り方をしているように思うんです。これは本当にほめ言葉にはならないんですけど、「演歌」に近いんじゃないかなと。
戒田 
ええ。
__ 
最近の二作は主人公が冒頭で自分の死に直面しますよね。そこから、観客が自分自身の世界に入っていってる気がするんですよ。死ぬなんて超個人的なテーマですからね。本編も家族と配偶者についてのお話が中心だし、最後には泣いてしまうぐらい感情移入しているお客さんがいるのは当然だと思うんです。自分の人生もいつか終わっていってしまう、というのを強く感じました。生きていて死んでいく、自分の物語だから。
戒田 
ありがとうございます。的確だと思います。まあ、死ぬというのも含めて、僕自身が無くすという事を恐れていると思うんです。例えば川を欄干から見下ろしている時とか、この眼鏡をもし落としたらもうずっとお別れだなとか思っちゃうんですよね。常日頃からそれを敏感に怖がっている。メガネに対してさえ、そういう意識がふと行ってしまうと怖くなってしまうんですよ。死神シリーズではそういうのがよく出ていると思うんです。劇団の紹介に関して言えば・・・最近の満月動物園は、もはやアングラとは名乗れないかも(笑う)。
__ 
いえ、私にとっては現役というか、最前線のアングラですけどね。
戒田 
あ、そうですか。嬉しいです。それを聞いて、嬉しいと思う自分が新鮮です。

タグ: 愛される劇団づくり ファンタジー 観客との関係性 タイトルの秘密 旗揚げ 意外にも・・・


「今あなたがわたしと指差した方向の行く先を探すこと」

__ 
倉田さんの個展作品「今あなたがわたしと指差した方向の行く先を探すこと」について。こちらは数年前から何度も上演されていて、独特の形式(会場内で過ごしている出演者たちと観客が交じり合う)が特徴ですね。この作品は、雑談の時間がとても重要な要素を占めているんじゃないかと思うんです。出演者とお客さん、あるいは出演者同士だったりの。
倉田 
こういう風に普通に話したり、ですね。
__ 
普通、「作品」って一定の時間にまとめるのが大事じゃないですか。でも「今あなたが~」はお客さんが見れない時間が大量にあり、それどころかパフォーマンスが行われていない時間も相当ある。いきおい60%ぐらいがそんな時間で、結構みんな雑談したりぼーっとしてたりする。でもその「あそび」は実はもの凄く重要な部分として存在している。
倉田 
あれはね、雑談はすごく大事なポイントで。あの展示で、お客さんが入ってきたからといって話すのを放棄すると、これは舞台と一緒なんですよ。客が見る人で、こっちが見られる対象として安定している、みたいな事は別にやりたくなくて。造形大のgraduates under 30 selectedで浅田彰さんが「倉田翠の作品もいいんだけど、裸で立ってるとかそういう事しろよ」って言われたんですけど私はそういう事をしたいんでは全くなくて。いやそれは舞台人なら誰でも出来るし客をびっくりさせるようなのは舞台で出来ちゃうしそこでやればいいんです。私がアホみたいに展示をやり続けているのは、現実に起こるヤバい出来事(パチンコを元気の象徴だと言う人に出会ったり、死ぬと思ってたお姉ちゃんが死なんかったり)とかの衝撃に劇場は勝てへんのじゃないかと思っててて。
__ 
ええ。
倉田 
なるべく、現実の事と、見る・見られるが曖昧になるような作品を、身体表現としてしたいなと思っているんですよね。
「今あなたがわたしと指差した方向の行く先を探すこと」
出演者(展示物)が会期中展示場に居続け、そこで生じる人と人との関係を作品とする身体展示。(公式サイトより)

タグ: 観客との関係性 自分は何で演劇を


vol.405 倉田 翠

フリー・その他。

2015/春
この人のインタビューページへ
倉田

私の観劇思考

__ 
でも、頑張って作った作品が面白くない事ってありますよね。
鳴海 
そうですね。コンディションもありますけど、でも、頑張らなくても上手くいくなんて事はないんですよ。残念ながら頑張っても良いものになるとは限らない。ただ、良いものをつくるためには努力する必要があると信じないといけない、私たちはね。
__ 
そうですね。
鳴海 
私の観劇思考でもあるんですが、もし観た作品が肌に合わなかったとして、その時お客さんが自分にはなぜいまいち面白くなかったんだろうと考えてくれるのなら、それは作品と同時に自分についても考えているんだと思います。それはつまり、他者について考えているんです。自分にはピンとこなかった観劇体験であっても、価値ある劇場体験につなげる回路も私たちは作っていかないといけないんだろうとも思います。「何故面白くなかったのか考えてみませんか」と。肯定も否定もしないですが、その話ができれば2500円は決して無駄じゃないですよ、と。そういう文化の利用の仕方ができると、人生をまちがいなく押し広げることができる。

タグ: 直接感想を聞きたい 観客との関係性


fukuiiiii企画「うねる物語と、お前とおれとおれの剣」

__ 
去年の夏に上演されたfukuiiiii企画「うねる物語と、お前とおれとおれの剣」これがですね、大変面白かったんです。
福井 
ありがとうございます。
__ 
この話の大きな特徴は転調でした。最初はジャンプ漫画だった劇中劇が、別の作者の手による創作になり、「あいのり」や「テラスハウス」のような恋愛番組に変貌してしまう。そのダイナミックな転変が素晴らしかったです。そのモチーフになった番組について考えたんですが、これら番組の違いは「距離」の性質の違い、なのではないかと。
福井 
はい。
__ 
恋愛と距離は非常に良く似た性質のもので、どちらも人間を困らせる問題です。恋愛を物語の中心に据え、距離を視覚化したのが「あいのり」だったのでしょうね。一方、「うねる物語」。芝居の最初は能力モノアクション漫画が多少のギャグを含みながら始まり、それがあいのりになってしまうと同時にギャグは一切入らなくなる。その落差に客席はずっと笑い続けている。しかし、僕ら観客が笑ってたものは純粋な恋愛そのものだった。そのおかしさに分かっていながら笑うのを止められない、その共犯関係。
福井 
そうですね、どう壊すかで行き着いたのが「あいのり」だったんですよ。「テラスハウス」も見たんですが、正直クソみたいだなと思ったんです。僕は「あいのり」をずっと見ていたんですが、あれは恋愛に器用じゃなかったんですよ。付き合うか付き合わないかのせめぎ合いが良かったんです。「テラスハウス」は付き合った後もずっといられるじゃないですか。あれはホンマくだらんなと思いまして。あまり参考にはしていません。
__ 
なるほど。あいのり、お好きなんですね。
福井 
僕はその、どちらかと言うと女の子の気持ちで見ていて。「なんで男が待ってんねん」て気持ちで見ていて。見返してみたらやっぱり面白いんですよね。主人公のかんすけという漫画家の作品を壊す材料として「あいのり」をもう一度見なおして。中学の3年間で見たあいのりがホンマに面白くて、その面白さを詰めた感じです。作品自体は賛否両論だったんですけど。
__ 
(笑う)
福井 
怒って帰る人もいれば、「『面白くない』言ってる人の気持ちがわからん」って言ってくれる人もいて。でも一番嬉しかったのは兄に褒められた事ですね。今までの作品で一度も褒められたことが無かったので。嬉しかったです。
__ 
去年の夏に拝見しましたが、内容を結構覚えてるんですよ。船に集められたダークヒーロー達が、暗転と同時にあいのりを始めるんですからね。
福井 
僕も漫画家を目指していて、ずっと読んでもらっていた親友に「ストーリーは良いけど絶望的に絵は下手」と言われて諦めた事があって。まあそこも下敷きに。ジャンプにも、たまに面白くない作品がありますよね。こうすればもっと面白くなるのに、とか思う経験もあって。
__ 
なるほど。
福井 
実はこの作品の出発点は下北沢で見たお芝居でした。それがですね、「何でみんな笑わんの」ってぐらい面白かったんです。いや、コメディではないんです。「うねる物語」の前半でやってたような、「あ・・・頭が!頭が疼く!」みたいなノリの芝居で、お客さんがずっと黙って見てたんですよ。僕は見ている内に、「10秒後こいつの頭にトマトが降ってくる」とか勝手に想像しちゃうわけですよ。ずっと僕だけ顔を隠して笑ってたんです。今思うと最低の客やったと思うんですけど。その作家さん的には、あの芝居で真剣に感動させようと思ってたんでしょうけど、その能力が稚拙やと凄い事になるんやなと。僕が親友に言われたように。周りのお客さんも「なんやこれ」と思ってた人はいるんじゃないかなと。その経験を3年ぐらい寝かして作った作品でした。まあ、役者さんの中には「この芝居の何が面白いのか分からない」と思っている人もいたと思います。物語を壊すことに面識がない人からすれば当然だとは思いますけど。
__ 
悪趣味ですね。
福井 
最初は結構、濃いジャンプ漫画から入って。稚拙なジャンプみたいなシーンが続いて「この芝居ヤバい」「おいどうした」って思わせて、そこでさらにあいのりが始まって、ついてきてくれるかどうか。あいのりを見る感覚、つまりキャラクターに感情移入出来る人はきっとすごく楽しめたんだと思うんです。でも客観的に全体の構成を考えながら見る方は、何やこれと思われたのかもしれないです。
__ 
私は・・・どうでしょうね。感情移入もしたけど、構成が壊れている作品は大歓迎なので。
福井 
自分の作品を成功・失敗では考えないですけど、この公演は失敗だったのかなと。でも自分の糧になる作品になったと思います。
fukuiiiii企画「うねる物語と、お前とおれとおれの剣」
公演時期:2014/8/1~4。会場:人間座スタジオ。

タグ: ジャンプ!についてのイシュー 器用さ・不器用さ ラブストーリー 観客との関係性 悪意・悪趣味


映画と演劇の二択

__ 
fukui企画を立ち上げた経緯を教えてください。
福井 
立ち上げたというより、僕一人のユニットで。名前にもずっと(仮)が付いてる感じなんで。そもそも説明させて頂くと、僕は映画監督になりたかったんですよ。造形大にも映画学科はあるんですけど、舞台の演出の方が役者の動かし方が分かるようになると何かの本で読んで。それを鵜呑みにして舞台芸術学科に入ったんですね。それは僕は全く後悔してないんですけど。
__ 
なるほど。
福井 
脚本にしても、映画と演劇のそれって決定的な違いがあると思うんですよ。映画は、物語の核心を隠していくために描写を削る事が正義で、舞台はそれを出す事が正義だ、と学んでいったんです。隠すという事は、多分もう、何回もやれば上手になっていくと思うんですよ。緻密さは映画の方が絶対あると思う。物語の求心力も強いと思う。一方演劇は役者のものと言われていますよね。
__ 
役者が支柱となって物語を支える、というより、一体になっていると。
福井 
そうですね、俳優の一挙手一投足に集中してみているお客さんに、しかも彼らは向き合っているじゃないですか。演劇は衰退しているんですけど、そういう面では優れていると思うんですよ。優れた演劇を見た時の発見は凄いものがあって。そういう思いがあって、回り道かもしれないですけど、演劇学科に入ったんです。出す事を学んで、その後、隠していけばいいや、と。戯曲を書く事を始めて、上演しないと意味がないと学んで、それで始めたのがfukui企画です。
__ 
なるほど。ちなみに、最初に書かれた作品はどのような。
福井 
かいつまんで言うと、ミュージシャンを目指して東京に出てきたヒモとその彼女の話で、最終的にヒモがオカマになる話です。というか、ニューハーフとしてゲイバーで働き始めるんです。上演時間は2時間10~15分ぐらいありました。僕は遺作にしたいなと思うぐらい、思い入れは強いですね。2回生の時に上演して、手探りで演出していました。
__ 
素晴らしい。
福井 
最初の作品で、根を詰めて書いたものなんです。面白いなんて言ってくれる人は限りなく少ないんですけど、僕は大好きです。「不肖死スベシ」という作品でした。
__ 
気持ちは良く分かります。自分が作ったもの、というのがありますしね。

タグ: 役者全員の集中が一致 今の作品に集中する エネルギーを持つ戯曲 映画の話題 舞台にいる瞬間 観客との関係性 つかこうへい


脚本家としての変化

__ 
今回の東京公演、企画のきっかけは。
野村 
オパンポン創造社が10年になりまして。一度、5年を迎えた日に東京に行ったんです。その時は公演する事自体が目標だったんです。
__ 
10年!
野村 
というか、元々の始まりは16歳の頃から芸能事務所に入ってて。25ぐらいの時に辞めて、何も仕事がなくて。でも芝居がしたいと思った時にどうするべきかと思って、まずは一人芝居から初めたんです。10年経ってがむしゃらに走ってきたんですが、それが東京ではどう評価されるんだろうか、試したいんです。記念という意味もありますが。
__ 
では、去年の「曖昧模糊」はどんな手応えがありましたか。
野村 
何よりも、自分が面白いと思って書いているところでちゃんと反応が返ってきたんですよね。昔は自分のやりたい事しかやってこなくて、それがズレているという事もあったんですけど。(良いか悪いかはともかく)お客さんとの感覚が一致してきている感触があります。これは別に妥協している訳じゃないですけど。
__ 
はい。
野村 
しょうがなしに始めた脚本が、やっと楽しくなってきた気がします。
__ 
身について来た?
野村 
いや、身に付いたと言ったら勘違いした人みたいな感じですけど(笑う)なんだか、自分なりに形というか方程式が出来上がってきた気がします。
__ 
なるほど・・・去年、BLACK★TIGHTSの桜×心中ですごいカッコ良く主演されてたじゃないですか。
野村 
あ、ありがとうございます。
__ 
何かその時も感じて、今も改めて感じたんですけど、野村さんの作るものって気合を入れて“パッケージング”された手作り品って感じで好きです。
野村 
いやでも、まだまだ全然分かってない事は多くて勉強中なんです。今までは見ていただく時は不安だけだったんです。でも、今は見ていただきたいという欲が出てきましたね。楽しくはなってきたんですかね。
__ 
素晴らしい。
~BLACK★TIGHTSpecialnights vol.6~「桜×心中」
公演時期:2014/2/20~24。会場:世界館。

タグ: 目を引く役者とは 出立前夜 「変身願望」 手作りのあたたかみ 作家として不安はない 観客との関係性 作家としての課題


ク・ビレ邸”で「青蛾の夜會」

__ 
わたしがせんのさんに初めてお会いしたのは、「青蛾の夜會」でした。毎月、ここク・ビレ邸で開催されるダンス・演劇・演奏等々のLIVEで、アバンギャルドな顔ぶれが印象的です。ク・ビレ邸の雰囲気もあってか、とても成熟したイベントというイメージがあるんです。
せん 
ク・ビレ邸は築40~50年の長屋をリフォームした空間なんですよね。ここ、北加賀屋は50年代から70年代あたりまで、造船業が盛んで栄えていたんです。でも時代が流れて、段々と廃れて行って。ご老人が多く、空家も多くなる。景気も悪くなってしまって、だから誰も使っていない建物が増えていったんです。
__ 
そうですね。
せん 
町を再生するのだったら、普通は古いものを壊して新しいものを作るのかもしれません。でも、それでいいのか。もっと面白い有効活用はないのか。そこで、北加賀屋の土地をもっている千島土地という不動産会社が、アートのチカラで町を再生しようというプロジェクト「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ(KCV)構想」を立ち上げたんです。空家や廃工場なんかをリノベーションして、アーティストの活動拠点に変えて行く、たとえばギャラリーとかアートスペース、カフェやアトリエなどです。その中でク・ビレ邸は、LIVEバーという形を取りながらも、KCV構想の中でのインフォメーションセンターを担う場所でも実はあって。
__ 
なるほど。
せん 
色んな事をしている人がそこらにいるので、ここに来れば誰が何をしているのかが分かる、という場所なんですね。まあ、このあたりに住んでいる人たちはみんな、千島土地から土地を借りてますので、貸し手と借り手の関係にありますから、そういい関係とは言えませんよね。極端に言えば、「アートなんかに金を使うんだったら、土地代を安くしろ」みたいな感じ。そういった声に対して、ク・ビレ邸では、「若いアーティストが北加賀屋で作品を創ったり、発表したりすることで、町が生まれ変わるかもしれませんよ。一緒にやりませんか」って話したりしてるんです。だから近所の方々とアーティストとの架け橋と言うべき場所になっています。もちろん、ここでって、表現活動も行うので直接の交流もありますし。
__ 
ここでのイベントに何回か来た事がありますが、観客の年齢層が高いのって、もしかして近所の方が。
せん 
はい、近所のおじいちゃんも見えていますね。もちろん出演者のファンもいますけども。この間のイベントで大衆演劇の役者さん、青山郁彦さんが参加されたんですけど、やっぱりウケてましたね。大衆演劇が大好きみたいで。
ク・ビレ邸
「ク・ビレ邸」は、北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想のインフォメーション・センターとして、2010年10月、アートプロジェクト集団「鞦韆舘」のプロデュースのもとオープン。北加賀屋エリア(大阪市住之江区)の空き家や廃工場をセルフ・リノベーションするアーティストやクリエイターが増える中、同構想の詳細を紹介し、最新情報を発信していく拠点として注目を集めています。(公式サイトより)
「青蛾の夜會」
第一回の公演時期:2014/1。会場:ク・ビレ邸。

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精神性

__ 
いつか、どんな演劇を作りたいですか?
矢野 
これはある現代美術作家の受け売りなんですけど、「子供が見て喜んで、且つ同時に批評家が唸ってしまう。」そんな作品。もっと欲をいえば、海外に上演に行ったときに、字幕なしでも分かるような、そんな面白い作品を作りたいですね。それはノンバーバルな、身体表現をやるという訳じゃなくて、発語された言葉と、発語という行為をせざるを得ない人間の身体と、人間の身体そのものや関係性の変化、あるいはそれら全部の相互作用でもって、観客の想像力をあらん限り喚起する。そんな作品を作りたいです。
__ 
それはきっと、お客さんとの間に濃いコミュニケーションを生むのでしょうね。私が昨日見た作品もそうでした。まあ、一見退屈なので眠っているお客さんが大半でしたが。
矢野 
パッケージ化された商品を受け取ることに慣れすぎてしまっているお客さんは、どうしてもより強い刺激を求めてしまうと思うんです。お出汁をちゃんと取った日本料理と、お吸い物のもとの違い。どっちもどっちで、それはあってもいいんですけど、日本人はもともと持ってたと思うんですよ、野趣そのままの素材の味を、奥の方まで理解しようとする心を。つまり、楽しませてもらうのではなく、自分から楽しみに行くという精神性を。

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ふたりの会話

__ 
2年、学んだ中で一番ショックを受けた事は何ですか?
西岡 
一番最初の演技の授業。イギリスのRADAでも教えられているローナ・マーシャルさんの授業ですね。二人一組のダイアローグを、とりあえず貴方たちの思ったように作ってきて、と課題を出されまして。ペアの子と試行錯誤して作って、実際見て頂いたら、「お芝居をしているわね」と言われたんです。
__ 
なるほど。
西岡 
それまでやってきた事を根底から覆された気がして。私、今まで何をしてきたんだろう・・・いや、芝居をしているわねって言われたけどそれはどんな事なんだろう? 一年目は、演じるというよりも、まず自分が何者か、どこに立っているのか、その上で自分の癖を見直す、とかそういう、パーソナルな部分に触れる授業がほとんどでした。1年目の授業は、ほぼ毎回ショックを受けまくりでした。こんなにも、自分の体はコントロール出来ないものか、こんなにも私は人の話を聞いていないのか、というように。
__ 
自分の事を見つめる一年だったんですね。
西岡 
私はすごく、怖がりだという事が分かりました。
__ 
怖がり?
西岡 
芝居を始めた頃に自分がどういう演技の作り方をしていたかはあまり覚えてないんですけど・・・パッケージングするのが得意だったんじゃないかと思ってます。パッケージするというのは、例えばいまここで喋っている時、お互いに刺激を感じていますよね。
__ 
ええ。
西岡 
でも、会話している役を演じるとなると、相手からリアルタイムで刺激を受けている事実を忘れてセリフを吐いていたんです。しかも、やりたい絵を最初から決めてしまっていて、そこに向かう為にはどうすればいいのか?というのがある程度「かたち」として出来てしまう。
__ 
会話の交流を予測したり決めたりする事は、安心ですね。たしかにその意味では怖がりと言えるかもしれない。
西岡 
けれども、それはもう相手が誰であっても良いという事なんじゃないかと。多分、講師が言いたい事はそういう事だったんじゃないかと思います。人とどうやって対話するべきかと、それを考えるようになりましたね。
__ 
異なる存在と接する時の、エモーショナルな瞬間、ですね。
西岡 
そうですね、そういう、エモーショナルな状態のフリをしていたんだと思います。本当にそういう状態になる前に、まず「かたち」を作ってしまった。会話先行、頭先行だった。本来なら、もっと何が起こるか分からないのが演劇と交流の醍醐味なんですけど、私は多分それを見過ごしたまま、無自覚に絵を作って出来た気になっていたんです、きっと。でも、そういう事じゃなかったみたいだと。
__ 
それはきっと、舞台と観客席の間でも起こるべき事で。例えばいい映画って、全部の動きにワクワクするじゃないですか。一つ一つの動きや曲線が目に入る度、その効果が純粋に心に響く。意味や意図さえ伝わる。あれは舞台でも起こる。
西岡 
はい。
__ 
とにかく、一年目のスタート地点から、「交流」が本来持つべき価値が見えた。
西岡 
もしかしたらそうかもしれません。今まで関わった戯曲に対しては失礼な事をしていたのかも。答えを一つに決めて掛かってしまうなんて。それが、スタート地点に立つ上で一番大切な事だったのかもしれないなと。
__ 
なるほど。

タグ: 俳優の提案作業 演技それ自体への懐疑 見えないぐらい濃い交流 相互承認 観客との関係性 SeizeTheDay


涙の落ちた谷

__ 
この作品、あらすじを読む限りでは自分の中にある悪意に苦しめられるというお話なのかなと思いました。夢子さんは、見た人にどう思ってもらいたいですか?
夢子 
楽になってほしい。
__ 
・・・。
夢子 
普段生きていて、辛い事やイヤな事あるじゃないですか。今回の作品、痛いシーンが多いと思うんですけど、でも見るとスッってなる作品だと思います。アンディさんの演出、前回までとすごく変わっていて。下ネタをしない以上に、作り方自体も上手になってるというか。
__ 
「元気になる」とかじゃなくて、「スッとする」「楽になる」。観客席にいる人の人格が抱えている抑圧を、舞台が代弁する事で逓減するという事なのかな。(舞台上の俳優が観客に共感するという構図が成り立つ?)
夢子 
元気出すってしんどいと思うんですよ。感情を上げさせられる。無理した状態だと思うんです。
__ 
ええ。
夢子 
いや本当になんかこう、痛々しい表現が多いですけど。同じ痛々しさを持つ人がもしお客さんの中にいたとしたら、その人のツボに入ったとしたら、スッとなってくれるんじゃないかなあって。

タグ: どう思ってもらいたいか? 観客との関係性 心を揺さぶる


交錯する視線が生み出す

__ 
今回、残念ながら伊藤さんのお芝居は最後。終わった後にもっと残念に思うんだろうなあと思います。さて、豆企画ですね。延命聡子さんが演出という事ですが、これまでにも出演はされていますよね。
伊藤 
そうですね、3回ほど。座組も見知った人たちばかりで、ホントに気楽に稽古出来ています。人間関係で悩む事が一切ないですね。
__ 
あの時代のケッペキメンバーですよね。素晴らしい。寮食とかでやっている人たちの気を使わなくて良さ、これが存分に味わえますよね。敷居が低いというか。
伊藤 
テキトーっていう感じですけどね(笑う)悪く言うと。
__ 
楽しみですね。「2001人芝居」。
伊藤 
演出の延命さんが、もう知り合って10年ぐらい経つんですけど、僕の良いところも悪いところも分かってくださっていて。どうすれば人に受け容れられるかという演出もしてくれます。
__ 
伊藤さんの長所、それがどう受け止められるべきか。それを発見して更新し続ける努力がきっと必要ですね。では、見に来たお客さんにどう感じてもらいたいですか?
伊藤 
最低限、出演者一人で芝居が出来るんだと。そういう事を証明したいんです。今回セットも小道具も少なくして、役者一人だけでこれだけ演劇を成立させられるんだ、と。
__ 
頑張って下さい。成立していない瞬間はきっとあると思うんです。その期間はつまり、観客席と舞台の関係がブレた状態だと思う。その時、伊藤さん個人の味がテキストの下から這い出して、観客の価値観に掛けられる筈なんですよ。一人芝居ならなおさらそういうシーンが大事なんだと思う。大丈夫だと思いますよ。
伊藤 
大丈夫ですかね。
__ 
あとは体調次第じゃないですかね。

タグ: この座組は凄い 観客のクオリア 鍵山千尋さん 観客との関係性 観客席との対立論


vol.353 伊藤 泰三

フリー・その他。

2014/春
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伊藤

デ・フォ・ル・メ

__ 
Q本さんにとって、素敵な演技ってなんですか?
Q本 
テクニックのある人に憧れます。私、憧れの役者は福田恵ですって言ってるんですけど。
__ 
なるほど。
Q本 
演出のオーダーに、ぽんと答えられる。そういう引き出しの多さが凄いんですよね。「芝居上手いな」っていう感じが好きみたいです。
__ 
ご自身がそうなるためには何が必要だと思いますか?
Q本 
基本的な事ですけど、発声ですね。声が小さいと絶望的だなと思っていて。それと・・・人間関係を記号化して理解して、それにリアリティを付加して、アウトプットする力・・・?観察力かなあ。あとは、デフォルメのバランス感覚。
__ 
デフォルメのバランス感覚・・・
Q本 
レトルト内閣に入って、そのまんまリアルにするんじゃなくて、お客さんに伝えないといけないんだってことを教わって、それってどこかを強調するってことかなと思うんですけど。その時の、バランス感覚。強調しすぎるとダサいししらけるけど、ちゃんと伝えないといけない。
__ 
そこはトレーニングするのが難しい技術ですね。そこに自分から行けたら凄いですよね。
Q本 
カッコいいなと思いますよね。
__ 
思い通りの演技じゃなくて、色んなところの兼ね合いを考えていないと行けないんでしょうね。
Q本 
あとは、お客さんの空気を感じながら舞台に立っている人はカッコいいですよね。そう思ったのは、「ゴシップ」で共演させていただいたデス電所の丸山さん。みたいになりたいです。ナチュラルな・・・
__ 
ナチュラルな人気者みたいに?
Q本 
でも、おこがましいんで・・・(笑う)。

タグ: 観客との関係性


・ - ・

市川 
これは最近の問題じゃないですけど、「客が生きる」という事を考えています。上演時間が6時間の作品を以前作った事があります。それは、お客さんに何をしてもらっても良いんですね。
__ 
というと。
市川 
劇場にお客さんが来る訳じゃないですか。そこに携帯を切れとか喋るなとか、横暴じゃないですけど、何か死ねと言っているような気がする。だから、生きるという事を考えたいなと思ったんですよね。俳優に与えられる二択が、観客にもあるんじゃないかなという気がします。喋るか、黙るか。一番いいのは、客席でも何かが作られ、舞台が客によって作られていくという事態が生まれれば、自由さに行きつけるんじゃないかという気がします。

タグ: 観客との関係性 会場を使いこなす


ジャムゥ石鹸

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
坂本 
ありがとうございます。
__ 
どうぞ。
坂本 
えっ、これは、石鹸?あ、ハートマークですね。
__ 
それはですね、ニオイの気になる女性の為の石鹸です。
坂本 
?あ、裏に「私のニオイとシマリは大丈夫?」って書いてますね。しかも、タンポンみたいな形してる。紐も付いてるし。入れて使うんですかね?
__ 
さあ、でも、普通のセッケンとしても人の役に立つらしいですよ。
坂本 
なぜ、これを僕に?
__ 
今回のプレゼントは、至上最もコンセプチュアルでした。以前の炎上騒ぎの時の「観客席を一掃し・・・」という下りが気になったので、その意趣返しという事になりますが、面白半分ですね。
坂本 
ありがとうございます!ちゃんと拾ってくれて、嬉しいです。

タグ: プレゼント(化粧品系) 観客との関係性


主体が動かされる時

__ 
「TEA×HOUSE」の時、町家の一部屋で上演されていましたね。出演者はもちろん、観客席がお互いの顔が見える状態でした。「ハシ×ワタシ」も挟み舞台でしたし。そうした距離感を意識されているのでしょうか?
山口 
観客席と舞台を出来るだけ分けないやり方が好きなんです。高校卒業後、演劇を学ぶためにイギリスに留学してたくさんの舞台を観に行っていたんですが、気に入った作品のほとんどは舞台と客席が分かれていない形式が多かったんですよ。観客が舞台と同じ高さで知覚し、体験する。私も、自分の作品を通してそのリミットを広げたいと思うようになりました。
__ 
舞台で起こっている事を体験する。
山口 
同じ空間で観劇するという事。それだけがやりたいわけじゃなんですけどね。変な形にすれば巻き込めるとは一概にいえないし。安易には言えないですけど、意識として、どういう形が合っているのかは考えますね。
__ 
では、山口さんは具体的にどんな面白さを大切にしたいと思いますか?
山口 
何かに動かされている人が、踊りでも演劇でも好きですね。表現する力よりも、キャッチする感度が高い演者がいる作品を作りたいです。
__ 
感度が高いとはどういうことでしょうか?
山口 
演者が表現する内容の完璧さを追求するのではなくて、どれだけ主体が外部のものによって大きく動かされるか、です。
__ 
外の世界というのは、何を指していますか?
山口 
例えば、「TEA×HOUSE」ではブリジットという他者の言葉を通訳して演じてもらいましたが、俳優が置かれているその状況、です。英語から日本語に通訳していくことによって、その俳優が元々の話者に浸食されていく。もちろん俳優は俳優のままで、ブリジット・スコットになってしまうという訳じゃない。影響されているという事(つまり演技ですね)を見せたかったんです。「私はブリジットなんだ」って言い聞かせるみたいなのじゃなくて、あくまで通訳として「私はブリジット・スコットです」と口から言った時に、感度が高ければなってしまう。知らぬ間に徐々になってしまった、そんな瞬間が見たいです。
__ 
主体が動かされる時。
山口 
主体が動かされてしまう時、を見たい。普段もそうじゃないですか。こうして喋っている時も動かされている訳であって。演技はその再構築だと思うんです。私はそれを極端にしてみようと思っているんですね。それを、出来れば面白く見せたいですね。
__ 
主体は主体としてあるけれども、それが何かによって反応する。
山口 
取り憑かれる、乗っ取られるというのに近いクオリティを目指しているのかもしれませんね。
__ 
それは何というか、私があまり触れて来なかった領域かもしれません。具体的にそれがどんな面白さを見せてくれるのか未知数なんです。でも、それがそれだと分かったらものすごく興奮させられると思う。突き動かされている主体の向こうに、大きな力を目にするから。
山口 
その通りだと思います。「動かされる主体」は、受動的に動かされるんじゃなくて、そこには必ず完璧な能動性が必要なんですよ。主体が反応して動かされる、その感度ですよね。どれだけそれに対してクリアに反応できるか。それは「この演技が面白い」という邪念ではなく、素直に反応するのが面白いんだと信じてやっていきたいですね。とても難しいんですが、反応する人間が面白いんだという信念です。そうした事象が起こっていて、観客に体験を与える。
__ 
形骸化からは最も遠くあってほしいですね。
山口 
そうですね。そうありたいです。どうしても、「これだ」と思った瞬間にそれでなくなってしまう。型を作って、それを突き進むという芸術もあるんですが、その瞬間に何かを失うんだと思う。

タグ: 外の世界と繋がる 難しくて、厳しい 会話劇研究 「目の前で起こっている」 反応し合う 観客との関係性 留学して表現を学ぶ 海外で出会ったハコ


バカ正直な人間

__ 
嵯峨さんのプロレスを、西部講堂で拝見した事があります。ブレーンバスター三連発がとても美しかったです。嵯峨さんが空手をされているうえ、演じられていたリッキー・クレイジーという役も空手出身というキャラクターだったからかもしれないですけど、型の美しさというものがあるプロレスだったんじゃないかと思うんですよ。
嵯峨 
よくご存知で(笑う)そうですね、型は大事にしています。バカ正直な人間なので、自分がやってきた事をしか反映させられないんです。ストロングな、意地を張る、アスリートのキャラクター。僕も笑いを取れるような怪奇キャラやりたかったんですけどね。
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笑いが主体の内閣プロレスで、正統派のシモンさんの試合がとても見応えがあって好きです。格闘をやっている人はやっぱり違うなと思います。嵯峨さんは空手の有段者なんですよね。
嵯峨 
初段です。子供の頃から高校二年までやっていました。大学受験までやってたんです。実は高校演劇をやっていたので、大学に入ってからはずっと演劇部でした。いまお世話になっている道場に入ったのは2年前なんです。だから、ついこないだ再開したばかりなんですよ。
笑の内閣
笑の内閣の特徴としてプロレス芝居というものをしています。プロレス芝居とは、その名の通り、芝居中にプロレスを挟んだ芝居です。「芝居っぽいプロレス」をするプロレス団体はあっても、プロレスをする劇団は無い点に着目し、ぜひ京都演劇界内でのプロレス芝居というジャンルを確立したパイオニアになりたいと、06年8月に西部講堂で行われた第4次笑の内閣「白いマットのジャングルに、今日も嵐が吹き荒れる(仮)」を上演しました。会場に実際にリングを組んで、大阪学院大学プロレス研究会さんに指導をしていただいたプロレスを披露し、観客からレスラーに声援拍手が沸き起こり大反響を呼びました。(公式サイトより)

タグ: 自分を変えた、あの舞台 観客との関係性 西部講堂 会場を使いこなす


オカシナアナタ

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お客さんが何かをしたいと思うパフォーマンス。それはご自身のどこから発していると思われますか?
中西 
・・・答えになってないかもしれませんが、人の事を知りたいんだと思います。以前、We danceという企画で福井さん以外の人に振り付けたんです。その二人にはずっと質問していて。何を考えているのか知りたいんですね。理解出来る事もあれば、出来ない事もあるんです。理解と無理解を描きたいのかな。誰かと誰かが話して、理解し合える部分とそうでない部分を描く事で、架け橋を作りたいんです。
__ 
架け橋。作れるでしょうか。
中西 
この間、隣のギャラリーで公演した時。お客さんと舞台の距離がほとんど無かったんですね。客席のライトが消えずに丸見えだったんです。舞台からダイレクトに見れるんです。「共犯関係にあるようだ」とか、「部屋に来たみたいだ」って言われたんですけどね。すごく居心地が悪いというお客さんもいて。あまり不快にはしたくないんですけど、出来るだけフラットに、近づけられないかなと。だから、劇場以外の場所でやることにも意味があるのかなと。
__ 
観客参加。
中西 
そうですね。もっと、楽しいとか、ポジティブな感情でお客さんを巻き込んで行けたらなと思っています。
__ 
あー、ウォーリー木下さんが京阪とやったサーカストレインとか、そんな感じで成功していましたね。観客席はその前提として安全なんですけど、同時にフロンティアでもありますよね。そして危険。
中西 
そうなんですよね。この前のKAIKAのgateでやった「オカシナアナタも客席に行ったんですよ。若干不快にさせるのも目的だったんですけど、怒るお客さんもいて。お客さんを巻き込むには、そうじゃない、楽しいやり方もあるかもしれない。今後は、そこを探りたいですね。



アートコミュニティスペースKAIKA
四条烏丸に産まれるふたつの新しいアートスペースアートコミュニティスペース「KAIKA」・アトリエ「AKIKAN」。KAIKAの運営はフリンジシアタープロジェクトが、芸術監督は劇団衛星の蓮行が務める。(公式サイトより)
gate#7
公演時期:2012/5/19~20。会場:KAIKA。

タグ: 客席と舞台の共犯関係 観客との関係性


マレビト・ライブ

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今後、どんな感じで攻めていかれますか?
松田 
攻め・・・。分からないですね。ただ、今、マレビト・ライブというのをやっています。その延長線上に何があるのか分からないんですが。
__ 
私はマレビト・ライブを、芸術センターの講堂でしか拝見していないのですが、それこそまさに時間流れの違いを感じていたんです。俳優の周りにだけ、円状に違う空気が流れているような。もしかしたら、街中ではなく屋内だからそう感じたのかもしれませんが。
松田 
劇場では常に、新しい時間が観客との間で流れるんですけど、例えば過去のような、異なる時間を流す事はなかなか難しいんですよね。
__ 
しかし、その体験は観客にとっては非常に刺激的かもしれませんね。だって、それは現在ではないのですから。東京でそれが、一つに作品になる事をお祈りしております。
松田 
そうですね。これからいろいろ、細かく試していこうと思います。
マレビト・ライブ
2012年の新作発表の為に、継続的な習作の発表と試演会を「マレビト・ライブ」と題し行う。初演時期:2011年~。会場:京都・東京各所。

タグ: 観客との関係性 今後の攻め方


引き込む力

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さっきおっしゃられた「説得力」について。浪曲も落語も、複数人の会話ではなくたった一人で全てを演じる訳ですよね。では、どのような演じ方が説得力を持ちうるのでしょうか。
春野 
いま語っている物語に、どれだけ聴いている人を引き込めるかどうかが勝負だと思うんです。例えば、私の師匠の二代目春野百合子という人は凄く物語にお客さんを引き込む引力を持っているんですね。それはもう、「演じる」という枠を越えて、何者にも負けない引力で。今は現役ではいらっしゃらないんですが、口演を拝見した時の事。お客さんが完全に引き込まれていたんです。会場全体を掌握して、お客さんを物語に引き込んでいる。その様子が目に見えるんですよ。そういう空気感があったんです。
__ 
凄い。そういうお言葉を伺っているだけで、凄さを感じます。
春野 
きっと、声だけではなく色んな要素があるんでしょうけど、そういう芸人になりたいですね。
__ 
浪曲で観客を引き込む。舞台上では、どのような実感がありますか。
春野 
例えば、「あ、このお客さんは前のめりになって聞いてくれているな」って、そういう事が分かるんですよね。浪曲だと、その時その時の反応によってどう演るかを変える事もあるんです。ライブの面白さですよね。お客さんがノってきているなと思ったら、このあたりはタップリ間をとってやってみたり。ダレてきちゃったなと感じたら、少しペースを上げたり、聴かせたい部分はあえて声を小さくして耳を寄せてもらったり。
__ 
お客さんと会話するみたいな。
春野 
やっぱり、その日その時に来て下さっているお客さんにインスパイアされる部分があるんです。もちろん、ステージによっては真剣に聴いて下さる方だけではないんです。でも、最初はあまり興味がなくても、いつか聞いて頂けるように頑張ります。
__ 
本当に興味がなくても、観客席とコミュニケーションを取ろうとしている人に、心が惹かれるんじゃないかなと思いますね。もちろん、芸はしっかりと披露しながら。
春野 
そうなんです。でもやっぱり、覚え立てのネタだとそういう事を考える余裕はないんですね。ところが、何十回も上演したネタだとまた違う。お客さんと気持ちが通わせやすかったりするんですよ。

タグ: 舞台全体を見渡せる感覚 観客との関係性


vol.217 春野 恵子

フリー・その他。

2012/春
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春野

アンケートの不要さ

井村 
批判の話の続きで言うと・・・演劇の人がお客さんにアンケート配るでしょう、あれ僕気になっていて。何か、必要なのかなと。
__ 
不要という事ですか?
井村 
作品が良かったら集客に出るんですよ。アンケートで評判が良かった所で、京都の小劇場で友達知り合いばっかりの客席で、どういう意味があるのかなと。アンケート用紙は無くても、拍手の大きさや、お客さんの表情で分かるのでは。
__ 
弁解という訳じゃないですが、演者側としてはやる気の原動力になり、観客席に存在するリアクションへのニーズを満たすメディアでもあるんですよ。まあ、感想欄のないアンケートもあったんですけどね。辻企画という京都のユニットで、京都芸術センターで上演した際DM送付欄しかなかったという。
井村 
僕はそのやり方がスマートだと思います。感想を書きたかったら空いた所を使うわけですし。若造の、コンシューマーの意見かもしれませんが、客席からの応援で左右されないような、それぐらいのテンションを公演期間保っていないと、と思っています。
辻企画
京都造形芸術大学出身、作・演出の司辻有香によって2002年に旗揚げ。(公式サイトより)

タグ: 観客との関係性