死神シリーズの正体(?)

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世界における満月動物園の位置付けについて、伺っても宜しいでしょうか。
戒田 
ちょっと前から、演劇業界を引退したって言ってて。プライベートが忙しすぎて。一時期、付き合いが全く無くなってたんです。公演はしてたのに。
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公演しながらプライベートが忙しいって相当忙しいですよね。
戒田 
だから、つい最近まで、自分が満月動物園をどう世界に位置付けて作品作りをするかにまで手が回っていなくて。・・・俳優が、役を、もっと生きるようであって欲しいと思っています。でもそれは他の演出家の下では全く違う意味合いになると思いますし。
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ええ。
戒田 
僕たちの中で、ちょっとずつでも前を向いて進んでいく事で、やりたい事はどんどん増えていくんだろうとは思っています。元々は凄く実験的な事をやってたんですよ。満月動物園と言えば「実験」だったんですよね。
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やっぱり前衛だったんですね。
戒田 
死神シリーズは、そんな実験を繰り返していた僕が、どこまで分かりやすいものを書けるか、という、自分なりの実験、挑戦でもあるんです。
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死神シリーズ。本当は具体的な作品の筈なのに、ものすごく抽象的な感覚があります。そして、演歌の世界に入っていく。改めて言うと、観覧車が倒れるというのもとても象徴的なモチーフと言えるでしょう。不条理さすら覚えるほどの事故と、そこから始まる怒濤の残りの人生。それは観客個人の物語を語る事でもあり、輪廻を暗示する幕切れは、白幕の向こうの世界を黙示することでもある・・・かもしれない。

タグ: 観客に血を流してもらいたい 信頼のおける演出家 実験と作品の価値


村川さん

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村川さんの作品で最後に見たのは「エヴェレットゴーストラインズ」だったかな。私はKEXで拝見しました。
倉田 
私は劇研の初演を見ました。カッコイイんですよね。村川さんは元々映像作家なので、編集をめっちゃこだわってするじゃないですか。1秒とかの単位で登場したり退場したりを組むんですよ。そのこだわりは映像的で、「このシーンでバンと人が登場しなければ意味がない、それまでやってきた事が無意味になる」とかのレベルで。「エヴェレット」もかなり緻密で。まあ、出演者が来なかった時もありましたけど。
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作品の性質上ね。
倉田 
『瓦礫』って作品で、野渕杏子さん・中間アヤカちゃんと私が参加した村川さんのダンス作品、ものすごく細かかったんですよ。これまでの振付家の中で一番細かったと思う。ちょっとした出ハケを1時間ぐらい練習したりして。よく分かんないんですけど、もうそこは何かがあるんだろうって信用してるので任せられます。好きだからかな。
__ 
なるほどね。
倉田 
でも、村川さんはあの村川拓也感とは裏腹に普通の男の子やと思うんですよ。だからすごい。
__ 
笑顔の似合う、ね。
倉田 
でも編集は細かいところまでこだわる。異常なところまでね。この間「沖へ」という映像作品を見たんですけどめちゃくちゃ面白くって。カット割りとか区切りとかを細かくこだわっているってのが伝わって。村川さん、コンセプトを重視するタイプだと思われがちですけど、私は、コンセプトとかよりも技法寄りの人やなと思いますね。それは和田さんに関しても同じで。変なこだわりがあるんですよ。
村川拓也 『エヴェレットゴーストラインズ』
公演時期:2014/10/2~5。会場:京都芸術センター 講堂。

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vol.405 倉田 翠

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2015/春
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倉田

dracom Gala公演「たんじょうかい」

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次回に出演される作品、意気込みを教えて下さい。
松田 
dracomの「たんじょうかい」。これは短編上演会の略でして、深津篤史さん(桃園会)、中村賢司さん(空の驛舎)、サリngROCKさん突劇金魚)の短編作品を上演するという企画です。私が出るのは深津篤史さんの「コイナカデアル。」。正直、色々な意味で手ごわい作品ですが、自分の頭の中で創造性を働かせて、面白い作品を作りたいですね。演出の筒井潤さんを信用して。やっぱりあの人は信頼出来ますから。
__ 
ええ。
松田 
筒井さんと芝居を作っていると「この人の頭の中は一体どういう構造になってるんだろう」と思うことがよくあって非常に面白いです。前衛的なことに取り組む一方、メチャクチャ「ベタ」なことも取り入れたりするところもうれしい!そして、演出家で一番大切なのは「信頼出来るかどうか」だと思いませんか。演出の意図が理解できなくても「この人についていけばいい」と役者に思わすことができるかどうかという・・・。
__ 
それはとても大切ですね。俳優としていくら作品の中身を知っているとはいえ、作品としてまとめて、客席に届けるのは演出家ですからね。
松田 
もちろん演出力や演劇に対する知識なども重要なことは間違いないんですが、もっと幅広く人間として信頼出来るかどうか・・・筒井さんは、それを満たしている人なので、安心してついていけるんですよ。

タグ: 「ベタ」の価値 信頼のおける演出家 筒井潤 前衛は手法から作る人々を指す


vol.293 松田 裕一郎

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2013/春
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松田

僕たちは世界を変えることができない~自衛隊に入ろう

村上 
入学当時、教授の方が教えてくれることとか、やっている事が、全然理解出来なかったんですよ。その時は電視游戲科学館の影響もあってかわからないですけど、カラフルな照明で、音も低音きかしてバンバン流したかった。だから単純にそれができそうになかったんで、あんまり授業通ってなかったんです。今では、教授の方たちがやっている事がすごく理解できるし、身近になってきたんですけど。
__ 
すると、今の村上さんの作風は今と昔でかなり違う?
村上 
結果的にはもともと、とりあえず同級生の子たちとは違った事をしたい、そう思っていたので、今でもその姿勢と作風は変わってないつもりです。変わったという人もいますが、昔から様々な作品をやっていたので。
__ 
ご自身の創作活動で、このとき決定的に変わったというタイミングってありますか?
村上 
造形大の舞台芸術コースの卒業製作のときですね。グループを作って公演を打つんですけど、選考があって、上演できないグループもあるんですよ。で、僕のグループが落ちちゃったんですね。その時、「造形大、俺の事がわかってない、あかんわ」と半分ヤケクソな時期に書いた戯曲が初めて同級生とか教授の方に読んで褒めてもらえたんですよ。その時、それまで絶望してたものとはまたちょっと違う気持ちになりましたね。本当に気持ちが救われましたね。あ、ちゃんと見てくれてるんやって。もっと信用しようって。
__ 
どんな作品だったんですか? 
村上 
「僕たちは世界を変えることができない~自衛隊に入ろう」というタイトルで戦争のお話です。
__ 
あ、もしかしてこの間のpan_officeプロデュースでやってた。
村上 
あれは「単身デストロイ」という30分に改訂したものを伊藤さんが演出したものでした。「僕たちは世界を変えることはできない~自衛隊に入ろう」は、また違う一時間半のものです。
pan_officeプロデュース「京都かよ!」
アトリエ劇研協力公演。京都の4人の劇作家による作品を大阪の劇団france_panを初め大阪出身の俳優で演じたオムニバス公演。公演時期:2009年11月13日(金)~15日(日)。会場:アトリエ劇研。

タグ: 初期衝動 信頼のおける演出家 タイトルの秘密


拾う

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稽古場をぐちゃぐちゃにするために、ネタを稽古場に持ってきて、自分の演技を提案する、という感じなんでしょうか。
鈴木
そうですね、提案する、というよりか・・・。例えば、稽古場で『私は、あなたの役はここでこういう風に感情が動くと思うから、あなたこうしてみて』というやりとりが役者間であったとするじゃないですか。それって、すごい矛盾が生じることで。こうして話をした時に、例えば面白い話をして、笑うじゃないですか。そういう反応って凄くリアルだと思うんですけど。
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反応ですか。
鈴木
さっき言ったような刷り合わせをした場合には、何だろう。ホントに作られたものしか出来ない。『そこで笑って』と言われて、あはは、笑う事は簡単に出来るんですけど、その人から出たものではないと思うんですよ。
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その人、というのは、役ですか、俳優ですか。
鈴木
ええと、僕の場合は稽古場では「その人」だと思ってるんで稽古場で、不意に出てきてしまったものを拾っていくのが大切だと思っているので。稽古場では、役がどうこうというより、「僕」ですね。
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その、俳優としての仕事をしている鈴木さんですね。
鈴木
そうですね。稽古場で出てきてしまったものを拾うのが役者の仕事だと思っています。それをどう見えるようにするのか考えるのは演出の仕事なんですけど。本番までに出てきてしまったものをいっぱい集めていくという。
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それは、死にませんかね。
鈴木
死ぬ?
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芸が死ぬとか、よく言いますが、そういう意味で。
鈴木
あー。死ぬ(笑う)。
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段々ギャグが面白くなくなっていくとか。
鈴木
ああ、でもそれに耐えるのも役者の仕事だと思います。一番面白いのは、それが初めて稽古場に出てきた時だと思うんですが。それが、何回かやっていくうちに段々面白くなくなっていく。やろうとするんだけど、あざとい感じが出てきてしまう。でも、それを続けていくという忍耐力が必要だと思うし。ある程度、信頼の置ける演出家さんとかの稽古場だったら、その人が面白くないと思うまで続ければいいわけだし。

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