今、見てほしい作品あります

__ 
今年のおすすめのコンテンツを教えてください。
きた 
今回、3年目にして初めて運営スタッフが全員ディレクションしてるんですよ。今まではディレクションと制作チームが分かれていたりしてたんですが。だから3年目の今年は全部オススメです。
__ 
おお。
きた 
上演プログラムを説明すると私がやる「ダンス、なんや?」はですね、そもそもダンスとは何なんだ?これがダンスなんや?みたいな、企画です。
竹宮 
発音の微妙なニュアンス。
きた 
contact Gonzoの塚原悠也と、ヨーロッパ企画の上田誠。この二人がダンスの演出をするというと「ええっ?」みたいな感じかもしれんけど。塚原さんはトヨタコレオグラフィーアワードに選出されたり、海外のダンスフェスティバルにたくさん呼ばれてるのに、本人的にはダンスを作るのは初めてらしい。今までやってたのはパフォーマンスだから。今回はダンス作品という体の動きを彼がデザインする、ダンスとしての初めての作品という事になります。
__ 
なるほど。
きた 
上田さんは、実はずっと誘いたい演出家だったんです。でも今までスケジュール的に合わないというのもあって、3年目にしてようやく。上田さんは絶対にダンスの演出が出来ると以前から思っていたんです。彼の作品の作り方を聞くと、これは絶対にダンスにも応用出来ると思っていて。というのは空間を設定して、そこに役者を載せるという作品プロセスなんですが。これはダンサーでも成立すると。しかも、コメディ。
__ 
おおっ。ダンスでコメディとは。
きた 
(笑う)上田さんがダンスでコメディを作るのは、これは絶対にDance Fanfare Kyotoでしか見れないので、ぜひ。そして、今年の「ねほりはほり」は振付家がもの凄く若いんですよ。大学を卒業したばかりのニューカマーで、どっちも20代前半で佐藤有華さんと山本和馬くん。二人ともすばらしいセンスを持っている。以前、作品見た時に「あっセンスいいな」と思ってて。次来るんだろうなと思ってたら、ながらちゃんが誘ってくれてて。若くてまだ名前は知られてないけど、いま見ておくべきだと思います。
__ 
なるほどね。
きた 
美術×ダンスの方は完全なコラボレーションですよね、美術の鬣さんはペインターなんですが、何かね、ハプニングが起きるんじゃないかなと思ってる、話を聞く分には。そもそもライブペインティングにダンスは必要?そこにダンサーがいるという事は、もしかしたら筆の役割を果たすのか?60年代前後の「具体」の美術のような何かが起きるのかもしれないって。これは本当にわかんないけど超楽しみで。どれもDance Fanfare Kyotoじゃないと絶対見れないので、上演プログラムは全部見た方が良いと思います。後はね、アウトリーチプログラムとして川那辺さんがやっている企画「Listen, And... / around kyoto」。これはね、毎回いい意味で訳分かんないと思うんですよ。
一同 
(笑う)
きた 
例えば今日の「火を囲み、はなす」。これがダンスとどう繋がっているのかと思うし、じゃあダンスって何と繋がっている訳?って疑問でもあるし。根本、ダンスって生活の身振りから出てきたものでもあるし。劇場ばかり行っていてもしょうがないと思うんですよね。劇場も大好きだけどさ。やっぱり色んな気づきを得られる場として、アーティストに来て欲しい企画だなと思ってます。自分たちがマイノリティであるという事がどういう事かに気づける場だと思っています。トカティブカフェはアーティストやお客さんが語り合う場として機能できればと。Dance Fanfare Kyotoは実験としてやってきてるから、だからこそやりっぱなしにせずに、その実験をいかにして語り合う事が出来るのかと思っているので、この企画にも是非来て頂ければと思います。
PROGRAM01 きたまりディレクション ダンス、なんや?
関西を拠点に、演劇/パフォーマンスというそれぞれのフィールドを超えて幅広い活動を展開している、ヨーロッパ企画・上田誠contact Gonzo・塚原悠也の両者がダンスの演出を行います。どんな作品が生まれるのか?ご期待下さい!
ダンスコメディ「呼び出さないで!アフタースクール」
Hurricane Thunder / Super Conceptual Dance no.001
公演時期:5月29日(金)19:30(呼)、5月30日(土)14:00(Su)、30日(土)19:30(呼)、31日(日)12:30(Su)、31日(日)17:00(呼)。場所:元・立誠小学校 1階 講堂。
PROGRAM03 和田ながらディレクション ねほりはほり
振付家がダンス作品を≪つくる前・つくっている最中・上演する間際≫に、インタビュアーが対話を通じて、ダンス/身体/作品について、ねほりはほり、聞き出します。さぐる、まとめる、ひろげる、ちらかす…ダンスにまつわる言葉のトライアル!
「愛してしまうたびに。」振付・構成:山本和馬
「CardinalLineⅡ-1」振付・構成:佐藤有華
公演時期:5月30日(土) 17:00 31日(日) 14:00(※2作品連続上演、30日(土)は終演後にトークセッションあり)
場所:元・立誠小学校 2階 音楽室。
PROGRAM06 川那辺香乃ディレクション Listen, And... / around kyoto
「対話」をテーマに全3回のイベント・ワークショップを実施します。一期一会の出会いのなかで、生まれて消える言葉たち。ルールは耳をすますこと。
1)「火を囲み、はなす」 4月25日(土)19:00~ (自由解散)、 2)「作品をみながら、はなす」 5月17日(日)14:00~17:00、 3)「まちあるきで、はなす」 6月27日(土)10:00~14:00(昼食込み)

タグ: コンセプチュアルな作品 ハプニング 町とアートと私の企画 批評の果たすべき役割 実験と作品の価値


質問 ウォーリー木下さんから 藤原 ちからさんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました、ウォーリー木下さんから質問を頂いて来ております。「お芝居を批評するとき、好き嫌いで発言する事を良しとしますか?」
藤原 
良しとしません。もちろん僕も人間だから好き嫌いはあります。観に行く公演をチョイスする時には幾らか影響するかも。でも、何かを見た時には言葉を尽くしたい。作品の作り手も本気なわけだから。「好きだから面白かった」「嫌いだからつまらなかった」みたいに言葉というものを軽んじて使うことはできないですね。

タグ: 批評の果たすべき役割 ウォーリー木下


予感する

藤原 
今、F/T12の関連企画のひとつに、演劇ジャーナリストの岩城京子さんが企画したブログキャンプというのがあって、10代・20代の人たちが5週間にわたってブログを書くんですけど、そこにチュートリアルメンバーとして関わっています。僕も若い劇評の書き手を育てなくちゃ、という切迫した必要に駆られていたので、岩城さんに声をかけてもらってよかったです。やっぱり若いアーティストや時代と伴走していける批評の書き手、特に女性の書き手が必要だと感じていたので。
__ 
というと。
藤原 
批評したがりな男子は結構いるんですよ。まあほとんどは先行批評家のエピゴーネンっぽい感じだし、結局自分の自意識にしか関心ないんじゃない?、と思えるものがあまりに多くて辟易するんですけど。でも一方で、創作の現場は切実に批評を欲していて、例えば女性アーティストの作品をきちっと批評出来る人が相当少ないという問題がある。ちょっとでも作品に生理的なモチーフが登場すると、「あ、女だからやっぱりね」的な解釈に回収されがちで。そこには未来は感じられない。でも偶然なのか、岩城さんのキャラクターや思想による必然なのか分からないですけど、今回のブログキャンプは参加者の8割以上が女性で、これは何か新しい時代が来てるぞ、っていう予感はありますね。
フェスティバル/トーキョー
フェスティバル/トーキョーは、東京芸術劇場など池袋界隈の文化拠点を中心に開催する、日本最大の舞台芸術のフェスティバルです。2009年2月に誕生し、過去4度にわたって開催され、75作品、609公演、のべ2,555名の出演者・スタッフ、そして22万人を超す観客/参加者が集いました。 国内外から集結した先鋭的なラインナップとフェスティバルならではの参加型プログラムで大きな話題を集め、東京、日本、そしてアジアを代表する国際芸術祭として毎年開催されています。(公式サイトより)

タグ: 批評の果たすべき役割


御巫山戯

向坂 
舞台が出来て、お客さんが入って見ている以上は楽しんでもらいたいですね。俳優が下手くそな芝居してても照明を浴びて光ってるというのは、何だかツッコミ待ちのボケだよねと思うんです。だから僕はツッコミを入れるんですが、最大限、そこで楽しんで帰ってもらいたいという気持ちがありますね。
__ 
なるほど。
向坂 
面白いお芝居だけじゃないのは分かっているんですけど、素直にみているだけでは楽しめない時もあるんですよ。
__ 
ひねくれた見方を持つのは大事ですよね。批評的な見方を持つというのは。
向坂 
そうですね。批評的な見方。あー、どうなんだろうな・・・? 以前、アートコンプレックスにきたチェルフィッチュを見たんですよ。
__ 
ええ。
向坂 
すごい評判の劇団としか知らなくて、彼らの演劇がどういう文脈上で成り立って評価を受けているのか、岡田利規がどういう人なのかも頭になくて、名前だけしか聞いた事のない状態で見たんです。実際見たら、凄くお洒落で洗練されていたんですよ。喋りながら踊っていて。でも演劇をちょっとかじっている僕が見て、「あーなるほどな」って思うこれを、劇場に訪れた事のない高校生が見てどう楽しむのか。
__ 
ええ。
向坂 
僕らは稽古場でチェルフィッチュごっこをしてそれなりに遊べますけど、中高生はあれを見てどうすればいいのか? でも、チェルフィッチュが白塗りで出てきて「コントです」って言ったら素直に見れますよね。
__ 
そうかもしれませんね。
向坂 
シーンと静かになっている劇場で、男女がずっとクーラーがああだこうだと言いながら踊ってるんですよ。話の内容もどうでも良くて、きっとふざけてると思うんですよね。地点も好きなんですけど、笑いたくなる瞬間とかあると思うんですけど、前衛的だと笑っちゃいけないんですかね?
__ 
いや、笑っていいと思いますよ。
向坂 
やっぱり、ふざけてますよね? 僕も三浦さんと何回かお話しさせてもらった事ありますけど、「ふざけてるんですか」って聞いた事はなくて。
__ 
どうでしょうね? やっぱり「これ面白い!」って思って繰り出していると思いますけど。つまり、ギャグとしての文脈を踏んではいないですが、結果的に笑いを立ち上がらせるものとしての意識はしているんじゃないでしょうか。
向坂 
おもろいと思ってやっているという事ですよね。もちろん、インタレスティングというよりはファニーという意味で。じゃあ、何で笑い声が起きないんだろう。皆、面白いと思ってないのかな? でも評判いいですよね。
__ 
私も自分が面白かったら遠慮せずに笑う方ですが、沸点が低いまたは何でも受け入れる体勢にあるのかもしれませんね。俳優の方にお話を伺った所、笑ってくれた方がホッとするらしいですよ。
向坂 
なるほど。三浦さんの笑いって秀逸で、一周回ってるんですよね。お笑い芸人が本当に面白い事を劇場でやったら面白くない、という感じなのかもなあ。

タグ: おふざけ 批評の果たすべき役割 単純に、楽しませたい


佳作は諸悪の根源

__ 
劇団乾杯としては、今後どんな感じで。
山本 
今後の予定は一切なしでございまして。毎回そうなんですけど、それも一つのストイックな(笑う)。「やりたいな」「やらなあかんな」と思った時にやるので。さらに、その時に出演者が揃わないと出来ないと。
__ 
あ、じゃあ劇団乾杯の作品に出会えるのはちょっとレアなんですね。
山本 
あれで終わりなのかなと思われるかもしれませんね。でも、毎回「これで終わりでも良い」と思えるようにやっているので。続ける事が目的では一切ないです。
__ 
寂しいですね。
山本 
以前もそういうお言葉を頂いたんですが、次の事は想像出来ないですね。僕たちに限らず、傑作以外は上演するべきじゃないと思っているんですよ。それを佳作撲滅運動と呼んでいるんですが。
__ 
佳作撲滅運動
山本 
一言で言うと、演劇が冴えないのは傑作が少ないからです。良くても佳作。傑作が出来なくて佳作が続くと、劇団も成長しないし観劇人口も増やせない。
__ 
それは何故でしょう。
山本 
例えば、公演中に次回公演の情報が既に決まっていたりとか、色んなお話がひっきりなしに来るって一つのステータスと思うんですよ。でも、劇団の過去の傑作を越えられるものって中々作れるものじゃない。と言っても佳作は作れる。さらに、いまの批評のレベルだとそれで評価は得られてしまうでしょう。だから、傑作が生まれる条件としては佳作は諸悪の根源やなと。駄作よりもダメやなと。どこが悪かったかって言えないじゃないですか。駄作じゃないんだから。
__ 
確かに、私もそういう作品に会うことはあります。初めて拝見した劇団が面白かったら次回公演はほぼ必ず行くんですけど、二回目が前回の衝撃を越えられるか、というのは大きなネックですね。

タグ: 続ける事が大事 批評の果たすべき役割