泉の出ていればこそ

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今、何に興味がありますか?
福井 
脚本を書くことですね。それを仕事にするんですけど。今は、稽古が終わってからも別の脚本を書き続けています。今すごくしんどい芝居を書いているんで、次のはめちゃめちゃコメディを書こうと思って。1年2年前にものすごいコメディだけの芝居を書いた事があったんですけど、それはめちゃめちゃ評判が良かったです。僕の芝居は賛否両論多いですけど、その「大勇者伝」は、僕の感覚では100%のお客さんが面白いと言ってくれました。
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いつか、どんな脚本が書けるようになりたいですか?
福井 
うーん、それを決めてしまうと、目標が決まってしまいそうで。
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では、自分の作品を見に来てくれたお客さんに、どう思ってもらいたいですか?
福井 
毎回変わるので一概には言えないんですけど、今3本並行して書いているんですけど、その内の1本はホームドラマで。
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ええ。
福井 
女優を目指して家出同然で上京した女の子がAV女優になって、AVの企画ということを隠して帰省すると、東京に行くのを最後まで反対していたお母さんが死んでて。AV女優とその家族の一日を描いた話です。僕はそうした作品を書いた事がないので、書いてみたいなと思っています。
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新しい挑戦ですね。
福井 
いやもう、才能っていうのはある日急になくなると思っているんで。まだ泉が出ている内に書こうと思っています。

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母性が爆発

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作家に必要な孤独を、家族の存在によって埋められた。それは、たみおさんにとっては喜ばしい事?悲しむべき事?
たみお 
ユリイカ百貨店は、2001年からずっとやってきて。必ずハッピーエンドにするという事で作品を作ってきています。いい景色が見たいという願いは最初から変わらないですね。舞台美術がキレイという事は、見ている景色がキレイという事だから。私が見たかったんです、その景色を。
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なるほど。
たみお 
何かが欠落していたんでしょうね。
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欠落があったから、風景を見たかった。
たみお 
それはあるかもしれない。ずっと何かが孤独で、現実って辛い事が多いな、って思ってたんです。せめて劇場に夢を求めていたんですが、年を経て好きな人と結婚して、子供が出来て、その子供が育っていく過程で、想像していなかったぐらいの母性の爆発があったんですよ。
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母性の爆発。
たみお 
そうなんです、母性の爆発。産まなければ爆発しなかったと思うんですけど。子供が笑うともう、それでいいかと思ってしまう。凄く幸せな反面、ずっとモノ作りをしていた自分との葛藤があって。何か作りたいという思いと母性とで。実は3年間、それほど穏やかな毎日でもなくて、子供が寝た後に家出したり・・・
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そうなんですか。
たみお 
そんなに穏やかに子育てしてた訳でもなくて、葛藤してたんです。

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質問 夢子オンデマンドさんから 松下 あゆみさんへ

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前回インタビューさせていただいた、夢子オンデマンドさんから質問です。「演技する上で心がけている事はなんですか?」
松下 
えー。なんでしょう。月並みな事しか言えないかも。
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たしか公式HPには、松下さんはスタニスラフスキー信者だと書いてますね。
松下 
あれ勝手に書いてるんですよ、もうー。スタニスラフスキーは高校の頃から勉強していて。でも毎日やってる訳じゃないんで信者とか言われても。
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例えば、「おしゃれな炎上」の時は肉屋の娘役でしたね。実父にレイプされて家出する・・・
松下 
「おしゃれな炎上」は反省点が多くて。まず、私と父役の子は家族になれてたのかなと。そういう部分をきちんと自分の中で考えておくのはもちろん大事なんですけど、それは舞台上では忘れないといけないのかなと。舞台上で役の設定を考えてしまうと、見られているという自意識みたいなものが、役である事に影響を与えてしまうのかなと。
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忘れた方がいい?
松下 
そうですね、私・松下あゆみという役があるとしたら、私を演じる役者さんはその役(22歳女)の全ての蓄積を意識するとは思えないんですよね。これまでに過ごしてきた蓄積や時間によって仕草や言葉が生まれるんですけど、でも、そういう仕草や言葉を、例じゃない私松下あゆみが意識しているかというとそうじゃないんです。でも私を演じる役者さんは意識しないといけないんですけど、舞台にあがった時にまで意識しているかというと、していたとしてもそれはその役者さんの蓄積や意識なんですよ。
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役者本体と役者の役作りは漸近するけれど条件的に重ならない、ということ?
松下 
役作りした上で、それぞれの意識を深く見れるようにしたいんですよ。どうしたらいいですか?
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スタニスラフスキーはどういうアプローチをしたんですか?
松下 
善人を演じるには、その人物の悪人の部分を見つけろ、って書いてて。でも、簡単に結論を急ごうとは思ってません。スタニスラフスキーは膨大なシステムなんですけど、長い時間に渡って考えが変わっていった部分もあるんです。私、勉強が終わるまでは結論を出さないようにしておこうと思います。

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行かなくちゃ、行かなくちゃ

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坂根さんが考える、ドキドキぼーいずの良さとは。
坂根 
ここ最近は、ネガティブな感情や意見を表現する事もあるんです。見て頂いたお客さんに、何か考える材料をあげられる。そんな劇団である事ですね。
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なるほど。去年の7月の「夢の愛」を拝見しました。大変面白かったです。
坂根 
ありがとうございます。
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主人公の女の子の、訳の分からないけれどもどこかに飛び出していきたいという勢いと、それが流れるように時間を浪費する結果となった、という絶望的な未来が、希望がない感じで良かったですね。
坂根 
言ってしまえば、大学を卒業して1年後の公演で。みんな、将来への不安がある状態だったのでああした作品になりました。稽古も大変でしたけど、僕らのリアルが出た作品だったと思います。
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ドキドキぼーいずで、坂根さんはどういう働きをすれば理想的ですか?
坂根 
演出の本間が、役者達から出てくるものを元にして作るというスタイルなんですよ。だから、自分の身体や表現で、「これ、面白いな」と思ってもらえるものをどんどん増やしたいなと。まだまだ自分の世界は狭いので、色んなものを取り入れたいです。
ドキドキぼーいずの再旗揚げ♯01 『夢の愛』
公演時期:2013/7/24~28。会場:KAIKA。

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憧れ

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宗岡ルリ一人芝居「撲滅ならず今日」。このタイトルの意味を教えて下さい。
宗岡 
いつも死のう死のうと思っているんですけど、死なないし死ねないじゃないですか。四十ぐらいには死ぬと思うんですけど、けど結局は九十まで生きてるんじゃないかなと。私の祖父がまさにその通りで、四十の時に子供を集めて「俺はもう死ぬからお前たち頑張れ」って言ってたのに93まで生きて(笑う)。いつも終わりたい終わりたいと思うのに、毎朝起きて友達と会って可愛いものを買ったり美味しいものを食べたりして、その繰り返しへの悔しさと、絶望じゃないですけど、そういう思いをタイトルに込めています。
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その思いはいつからありましたか?
宗岡 
「何かになりたい」という憧れが強くて。この漫画の主人公たちみたいに。でも、なれないじゃないですか。その悔しさがあって。両親共に教職員で公務員で、朝起きて働いて、「何だかんだでいい家庭よね~」という中で育たせて頂いたんですけど(笑う)それに対する嫌な気持ちや、大分の田舎にいた時はずっと空を眺めていて焦燥感があって、それは今でも続いているんですね。中二病かもしれないけど。
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焦燥感が今でも続いている。私は宗岡さんより11歳上なんですけど、確かにその頃は私も持っていたものかもしれない。宗岡さんのそれは、10年後、私みたいに消えてしまうんだろうか?
宗岡 
それが消えてしまうのも素敵な事かもしれません。この「バナナブレッドのプディング」の主人公のお姉ちゃんが妊娠しているんですけど、お姉ちゃんが夢で赤ちゃんに「お腹の中でさえこんなに孤独だのに、外の世界に出てきたらもっと孤独に決まってる。生まれてきたくない」って言うんです。でもお姉ちゃんが「まあ生まれてきてご覧なさいよ、最高に素晴らしい事が待っている」って。それは焦燥感を忘れた人の言葉で、大人になるという事だと思うんです。この作品はその素晴らしさも教えてくれたんですけど、私はいまはそうなれないと思う。

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vol.284 宗岡 ルリ

フリー・その他。

2013/春
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宗岡