「ダムで芝居したい」

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ちょっと話題を変えて。ありえない想定として、300億円あったらどんな作品を作りたいですか?
戒田 
ええと・・・ダムで芝居したいかな。
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ああ、いいですね。300億は丁度いいですね。
戒田 
そう、ものすごいお金掛かるらしいですからね。
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1日借りるぐらいならいいですよね。
戒田 
コンクリートの巨大な壁を背景に芝居してみたいですね。決壊させたいな。300億じゃ済まないですね。
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プロジェクションマッピングとかじゃなくて、本物の。
戒田 
役者が流されていって終わり、みたいな。
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カーテンコールは救命ボートで。いつかやってほしいですね。

タグ: 泡のように消えない記憶 舞台美術 妄想


舞台を組んでみよう、作ってみよう。きっとすごく刺激的

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肥後橋さんがこの度プロデュースされる、舞台美術のためのワークショップ公演。既に受講生が集まり、公演に向けて準備が進んでおりますね。本番は8月15日から東山青少年活動センターにて。成果としての舞台美術を出発点に、5つの劇団が作品を作って競演する本公演ですね。まず、企画の発端を教えてください。
肥後橋 
舞台美術の人って大変だなと前から思ってまして。作業時間が多すぎてバイトも出来ないし、知り合いから「安く頼むよ」って言われたら友達料金で引き受けざるを得ないし。大変ですよね、とそういう事を話してたんです。
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分かります。舞台のタタキ作業は実際、やり甲斐がありますからね。
肥後橋 
反面、京都は素舞台の作品が多いですよね。実は、僕が以前舞台監督の仕事を引き受けた時、舞台のセットはほとんど何もない素舞台だったんですよ。小道具のTVを用意しただけ。
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そうですね。
肥後橋 
この流れがずっと続いたら、学生の子らは「この舞台美術、凄い!」って思うような経験が無くなってしまうんじゃないかと思ったんです。以前、MONOの「なるべく派手な服を着る」を見た時に、(すごいなこの舞台、どうやって作るんだろう)ってなったんですよ。学校に帰って2階立てのセットを組んだりしました。そういう経験が取っかかりですね。
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なるほど。
肥後橋 
素舞台もいいですけど、ちょっと舞台を組んでみませんか?という発信ですね。講師を外部から呼んできて、WSの受講生を集めてきて、一つのセットを作る。そういうプランです。
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そのセットが良かったら舞台美術という役割の価値も上がると。

タグ: 舞台美術


絞り出す

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舞台美術の成功について。私が思うのは、観客が見ている芝居と、その視界に入るセットが相乗効果で鑑賞体験における想像力を増幅した時だと思うのですが。
奥村 
なるほど。そうですね、仰られたように俳優や演出やセットが掛け算で相乗効果を得られて、世界が立ち上がった時ですね。その為の空間構成ですので、演出家と打ち合わせを重ねていく中で、色んなアイデアをガンガン作っていきますね。ここを圧迫させたいとか、ここにこういう物が必要だとか。
__ 
つまり、舞台美術とは、イメージを作る事なんですね。
奥村 
はい。毎回それを絞り出しています。アイデアがないとつまらないですね。
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私は、単なる思い込みからか、演出家の要望を抑えて、効率良く、世界を表現出来る舞台セットを作る事だと思っていました。私は人に頼まれてwebサイトを作る事があるんですが、クライアントの要望に沿って効率の良いものを作るのが基本だと思っている所がありまして。もちろん、舞台美術と比べるつもりはありませんが。
奥村 
でも、やはり見た目が美しくないと美術ではないと思いますので。これを見せるためにはこれを切って、こういうラインにして、みたいな。そういうアイデアを各所に盛り込んで行かないと。
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美しくするために。
奥村 
もちろん、端的に美しくと言っている訳ではなくて・・・。僕の「美しく」って、どういう事なんだろう?

タグ: 舞台美術 会場を使いこなす


MONO第39回公演「少しはみでて殴られた」を終えて

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今日はどうぞ、よろしくお願いします。MONO第39回公演「少しはみでて殴られた」お疲れ様でした。大変面白かったです。
奥村 
ありがとうございます。良かったです。やってる側としては面白いかどうかは判断つきかねるので、そう仰って頂けて。
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いえいえ。その、牢屋の中に国境が引かれるというシチュエーションがまず面白かったです。
奥村 
アイルランドに国境の真上に建っている家があって、そこが民族紛争の協定に使われたりするらしいんですが、それが土田さんへのヒントになったそうです。
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お互いの区切りを自分達の便利のために線を引いていたんだと思うんですね。気がついたらものすごい溝が出来ていた。そういう流れがとても丁寧に追えていった感じですね。どんな諍いも、案外最初は、各自の都合が行き違うところから始まるのかもしれないなあと。
MONO
京都を拠点に活動する劇団。
MONO第39回公演「少しはみでて殴られた」
公演時期:2012/2/17~26(東京)、2012/2/19(名古屋)、2012/3/3~4(北九州)、2012/3/8~12(大阪)。会場:吉祥寺シアター(東京)、テレピアホール(名古屋)、北九州芸術劇場 小劇場(北九州)、ABCホール(大阪)。

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傀儡政権

若旦那 
ここ数年、自分の専門は何だろうと悩んでいたんです。したら、「自分が面白いと思うものを広めたい」欲が強いという事に気づいて。最近はピンク地底人、コトリ会議、かのうとおっさんですね。例えばピンク地底人を応援する時。彼らがやりたいと思っている事がスムーズになるように、色々手伝いたいなと。舞台監督という肩書きですけど、それに関わらず、大阪で宣伝したいのであれば、チラシを撒く。リクエストに応じて、役割さえ決めておいてくれればそこに収まる。スキマ産業みたいですけど。
___ 
なるほど。
若旦那 
好きな所は、時間が許す限り手伝う。というのが、僕がやりたい仕事なんだろうな思います。
___ 
サッカーでいう、スイーパーみたいな役割なのかもしれませんね。
若旦那 
そうですね。現場は時間も人材も素材も限られていて、例えば舞台監督が舞台美術を兼ねている現場だとセットにリソースが割けない事もあるんですよね。そこで、僕みたいなのを据えておくと、セットの簡素さを音照でカバーする、みたいな調整が出来るかもしれない。緩衝材という役割があるのかもしれませんね。
___ 
少ない資産や時間でも、有機的に結果を生み出せるという事ですね。そして、現場での仲介役もあるんですよね。その現場が初めてで、勝手の分からない人が問い合わせする人、みたいな。
若旦那 
傀儡政権ですね(笑う)。
___ 
ええ。色々な意味で。
ピンク地底人
京都の地下は墨染に生まれた貧乏な三兄弟。日々の孤独と戦うため、ときおり地上にあらわれては演劇活動をしている。夢は関西一円を征服することと、自分たちを捨てた母への復讐。最近は仲間も増え、京都を中心に大阪にも出没中。(公式サイトより)
かのうとおっさん
『かのうとおっさん』とは?:嘉納みなこと有北雅彦による、大阪発男女脱力系コントユニット。1999年、ともに大阪外国語大学(現・大阪大学)在学中に結成。フットワークの軽さを武器に、全国各地を舞台にコント作品を発表し続けている。独特の台詞回し、奇妙だが納得してしまう展開、印象に残るビジュアルでファンを拡大中。(公式サイトより)

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壁の中に生きる人々

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山本さんは、役職に美術デザインとありますが。
山本 
僕は最初、小道具だったんですよ。で小嶋が舞台セットで、その上に載っているものは何でも僕が選んで集めてきたものでした。動かへんもの全部。このカフェで言うと、テーブルからイスまで。さすがにそれは死ぬほど大変なので、動かへんもののデザインを決めるようになって。ここはこういうデザインで行きます、って。結構いいポジションなんですよ(笑う)。
__ 
あ、そうなんですね。
山本 
今はチラシのデザインや文章の作成を任せてもらってます。ガツガツやっています。
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そうそう、イッパイアンテナの美術は凄く可愛いですよね。
山本 
そのセットに住んでいるのは小粋な奴という設定なんですよ。イッパイアンテナの作品はパネルが置いてある事が多いんです。箱庭じゃないですけど、ちょい小粋な世界が見えるようになっています。
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そういえば、室内である事が多いですね。それは何故でしょうか。
山本 
お客さんが位置している4つ目の透明な壁から見たシーン、という考え方をしています。そして、その中で生きている人間はちょっと過剰でもいいと思うんです。見守っていてくれているお客さんには、やっぱり僕らが考える面白い人達を見てもらいたいと思うんですよ。だから、壁=誰か一人の視点として、世界の住人がプリッと生きていて欲しいですね。

タグ: 舞台美術


印象には残らない美術

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丸山さんの、美術としての特徴って、ご自分でどのような部分にあると思われますか?
丸山 
うーん・・・。元々絵を描いたり、物を作ったり、まあ芸術大学にも入ってたんですけど、自分の作品やテーマをゼロから定める事が出来なかったんですね。
__ 
ええ。
丸山 
むしろ、人から得たヒントがある状態で物を作るのって面白いなあと思ったんですね、舞台美術とか小道具作りとか。一つのフレーズなりキーワードなりがお芝居にあって、それが、こちらで密かに作った裏テーマと結び付いたりすると面白いですね。客席には伝わらないかもしれないですけど。例えば色を一つ選ぶとしても、色の名前から連想されるものを使ったり。
__ 
色の決定ですか。それは演出とも相談したりするものですね。
丸山 
美術としては、破綻しない色の組み合わせをまず選びます。その上で演出との相談は、例えば「ナントカ世代」の北島くんですが・・・。
__ 
ああ、この間の劇研での公演を拝見しました。丸山さんが舞台美術でしたね。
丸山 
ええ。北島くんは、装置の配置に関しては割と細かく指定してくるんですね。ただし色は決めない。ナントカ世代の色は物凄く地味なんですよ。黒じゃないか、というぐらい。でも、物凄く抑えているんだけど実は色数がかなり多いんですね。
__ 
おお。
丸山 
お客さんが舞台を観終わって、「あの舞台は何色だったか思い出せないんだけど、作品の内容と調和して印象に残っている」というのが理想ですね。舞台のセットというのは結局背景なんです。役者さんが被写体で、メインじゃないですか。例えば、優れた肖像画の背景って、ほとんど人の印象に残ってないんですよね。まあ、有名なものが何個かありますが。
__ 
なるほど。真っ先にモナリザが浮かびましたけど。
丸山 
ええ。絵を勉強してる人なら覚えているかもしれませんけど、やっぱりそうでない普通の人の印象には残らないんですね。それはどういう事かと言うと、凄く手が込んでいて、でも絵の印象を崩さないで、絵の記憶には残さないんだけどもぶち壊してもいないという。
__ 
高度に調和されているという。
丸山 
そういう舞台美術を目指しています。で、さっきでた「ナントカ世代」の公演なんですが。
__ 
「岸田國士」の「紙風船」でしたね。
丸山 
そこで不思議な経験をしたんです。公演後に、インターネットで検索してこっそり感想を読んでみたんですよ。その中に、舞台上には無かったものを見ていた人がいたんですね。
__ 
どんな事が書かれていましたか。
丸山 
「紙風船」で、妻が4人いるという演出にしていたんですね。夫の正面の妻を横に3人コピペするという配置の。その3人の妻が座っていたのはほとんど黒に近い紫のベニヤ板だったんですけど、その感想によると「畳が敷いてある」と。
__ 
へえ。
丸山 
いや、畳は敷いてなかったんですけど(笑う)。印象としてそう見えたんでしょうね。それは僕のアレというよりは、演出の作り上げた世界からそう記憶されたものなんでしょうね。そういう記憶違いって、凄く面白いなと思います。一つのオブジェクトをメインで集中してみる彫刻などでは起こりえないんです。お芝居だと、目から耳から様々な情報が同時に入って、それで世界観を作っていると。だからこそ記憶違いすら生み出す印象が表れたという事です。面白いなと思いますね。

タグ: 舞台美術 会場を使いこなす 調和の価値 世界観の作り込み


vol.114 丸山 ともき

フリー・その他。

2009/春
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丸山