旗揚げ公演「HYBRID ITEM」に立ち会う

吉本 
匿名劇壇の芝居を見たのは「HYBRID ITEM」でした。それまで、授業の一環として何本か舞台は見たんですが、「こういうものか」ぐらいしか思えなくって。でも「HYBRID ITEM」は凄く面白くて、何回でも見たいぐらい面白かったんです。衝撃的で。
__ 
それまで見てきた中で一番面白かった?
吉本 
うーん、お金の掛かっている舞台は、やっぱり凄いなと思う事はあるんですけど。面白さの種類が違う感じかな。でも、総合的には一二を争う感じでした。
__ 
「HYBRID ITEM」、私は拝見していないんですが、何が吉本さんの心を押したんでしょうね。
吉本 
福谷さんの戯曲は言葉が重要だと思うんです。それを正確に伝えつつ、同世代の心を正確に突いてくる。言葉の選び方も、役者さんの言い方も、すごく新鮮に感じたんです。
__ 
今の時代の言葉であり、そしてもちろんリアルな会話演技に共感を感じた。
吉本 
演劇ってシェイクスピアのようなコテコテの、普段の生活ではないセリフだと思ってたんです。でも、日常生活で起こっている会話だった、それがセリフであることを新鮮に感じたんです。
__ 
現代のアクチュアルな言葉で、セリフの実感を与えられるのが匿名劇壇の強みなのかな。観客のメディアリテラシーを信用している。
吉本 
そうだと思います。こんな事やっていいのかなというシーンもあるのに、それが分かるし面白いんです。
匿名劇壇 旗揚げ公演「HYBRID ITEM」
公演時期:2011年5月。会場:近畿大学アート館。

タグ: お金の事 「演劇を好きになる」 シェイクスピア


コアラからつかむシェイクスピア

__ 
最近、学んだ中での気づきを教えてください。
西岡 
ちょっと大きな話になってしまうかもしれないんですけど、欲望を持ち続ける事かもしれません。結構、欲を表に出しても、すぐ諦めちゃったり、抑制するタイプだと自分では思っています。講師の方のエクササイズの一つで、アニマルエクササイズというものをやったんです。ある動物の事を研究して、完全に動物になっちゃう。私の場合はコアラでした。コアラを研究して擬態する。そこを起点にして、段々とシェイクスピアの登場人物の一人にスライドしていくんですよ。シェイクスピアに出てくる人物は欲求が強いんですよね。
__ 
ええ。
西岡 
その人物の欲求に、自分自身の欲求から近づいていっても分からなかった点が、本能的な動物の形態を借りてそこからスライドさせて行くことによって、「今何がしたい」とか「アイツを叩きのめしてやりたい」とか、ビビッドな欲求になって出てきたんですよ。それが必要なんだなと思いました。日常を切り取った演劇だって、中には非日常なものが紛れ込んでいると思うんですよ。それを全部、日常の自分でやってしまうのはもったいないな、と。自分にはないタフさが必要なんですけど、日常から欲求を閉じこめていると、演じる時に息切れしてしまうんですよ。だから、そういう時の為のトレーニングとして、自分の欲求を素直に出そうと思います。
__ 
アニマルエクササイズか。
西岡 
他の人のアニマルも、どこかその人の個性が出ているんですよ。私自身も、コアラの事を他人とは思えなくなりました。

タグ: 動物と俳優 役をつかむ 一瞬を切り取る 非日常の演出 続ける事が大事 シェイクスピア


地点『コリオレイナス』Coriolanus

__ 
さて、2013年1月25日から29日まで京都府民ホールアルティで上演される、地点の公演「コリオレイナス」。今年グローブ座で初演された作品の凱旋公演なんですね。大変楽しみです。
石田 
はい。今回、地点としては初めてのシェイクスピア作品です。
__ 
少し意外な気がしますね。グローブ座での上演映像を拝見しましたが、ちょっと気付いた事がありました。以下の三重構造があるんじゃないかなと。
   1.「地点の俳優が戯曲を演じている層」
   2.「戯曲の登場人物の物語の層」
   3.「どこかからやってきた旅芸人の一座がお客さんの前で演じている」
これ、KYOTO EXPERIMENT2012で上演された『はだかの王様』を拝見した時にも思ったんですが。
石田 
確かにあると思います。特に僕らはメンバーが7人(俳優5人、あとは演出と制作)しかいないので、自然と旅芸人的な雰囲気が出るのかなあ。『はだかの王様』は子供の前で上演したので、なおさらそういう空気になったかもしれません。
__ 
やっぱり。『コリオレイナス』では石田さん演じる芸人がまずいて、彼が甥っ子や姪っ子達を旅芸人一座として連れて回っている見立てがあるのかなと。でも、叔父さんが前で芸をやっている間中、子どもたちはずっと仏頂面でよそ見してて、しかもいたずらを仕掛けたり。それが、コリオレイナスという英雄に振り回されている市民達の姿と重なって、観客の役割も二重三重に重なっていったように思いました。
石田 
いまの地点の新作では、確かにそうした演出が多いのかな。最近では、5人全員がコロスとして、一つのテキストを全員でやったりしていますね。
コリオレイナス
公演時期:2013/1/25~29。会場:京都府立府民ホールアルティ。

タグ: 子供が見て喜んで、且つ同時に批評家が唸ってしまう ユニークな作品あります シェイクスピア


そのまま出てきた言葉

__ 
いまここで、ロロ範宙遊泳がウケているのはいったいどういう事件なんだろうかと考えています。
坂本 
今、ウケているのかはちょっとよく分からないけど・・・。それぞれの魅力という意味で言うと、三浦くんの書く言葉って本当に当たり前の言葉なんですよ。対家族だったり、対友達だったり。でも誰でも感じる気持ちが台詞になったとき、恥ずかしくなるぐらい胸キュンだったりするので、珍しいのかな。それを狙って計算で書くのではなく、素直に生み出せてしまうのが。
__ 
結果的に、それを正直に受け取って感動出来るのが大きな事件なのかなとは思います。
坂本 
高校生を遙か昔に過ぎ去ったお客さんのその頃の気持ちを、呼び水のようにして呼び出す・・・みたいなことがおこるのかな?一時期、恋愛ってこんなにきれいなもんじゃないだろって思ったりもしましたけど・・・でもそれは三浦直之が楽しませたり感動させたりしたくて捏造したものではけっしてなくて、そのまま出てきた言葉だから。
__ 
ロロ。呼び水になるんですね。それはきっと、彼らが普遍性を持っているからかもしれないですね。ビートルズ的な。そこに立ち会えさせてくれるんですね。範宙遊泳はいかがでしょうか。
坂本 
範宙遊泳を見たのは、山本くんがものすごく渇いていた時期だったんです。
__ 
というと。
坂本 
私的に蜷川さんのシェイクスピア悲劇とか寺山修司とかを観た時と似た感覚で、客席で大泣きしてたんです。最近、多幸感に溢れた作品が多いと思うんですが、範宙は冷めた目線で、すごくヒリヒリ渇いていて。でも笑えるし、奥の方にハッピーも同居しているような気がしていて。それはちょっと珍しいなと思いますね。範宙らしさというか。
__ 
なるほど。「ガニメデからの刺客」を拝見したときに、それは感じました。もう一度、じっくり拝見したいです。
KYOTO EXPERIMENT 2011 フリンジ GroundP★参加 範宙遊泳「郷土物語宣言第三弾「ガニメデからの刺客」」
公演時期:2011/10/11~13。会場:元・立誠小学校。

タグ: 泣く観客 ラブストーリー シェイクスピア


柿喰う客 女体シェイクスピア002 「絶頂マクベス」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、岡田さんはいかがでしょうか。
岡田 
年始に金閣寺があって、それから一人芝居があって。いま、柿喰う客「絶頂マクベス」の稽古です。
__ 
how are youという意味ではいかがでしょうか。
岡田 
so soですね(笑う)これから上げていかないとな、と思っています。
__ 
では、上げていくには何が必要なのでしょうか。
岡田 
努力だけですね(笑う)。目の前にある壁を壊さないと、前に進めないのは当然なのですが、自分の駄目なところは敏感に察知するようにしています。元々、コンプレックスが強いのがその原因かもしれません。
__ 
壁を壊すにはパンチと狙いが必要だと思うのですが、狙うにはどうしていますか?
岡田 
自分を冷静に見た時に、何が出来て、何が出来ないかを客観視することかなと思っていて。初めから無いものは無いんです。でも努力次第で持てるものはあるんです。冷静に、どこを撃つのか見ていこうと思います。
柿喰う客 女体シェイクスピア002 「絶頂マクベス」
公演時期:2012/4/14~23(東京)、2012/4/27~30(大阪)。会場:吉祥寺シアター(東京)、AI・HALL(関西)。

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vol.223 岡田 あがさ

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2012/春
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岡田

バランス

__ 
私が初めて岡田さんにあったのは、柿喰う客の女体シェイクスピア001でしたね。「悩殺ハムレット」。非常に鮮烈な印象がありました。
岡田 
ありがとうございます。最初に中屋敷さんに呼ばれて、何の役かなと思うじゃないですか。「岡田さんは何でもない兵士の役です」。「なるほど!」と。
__ 
確かにそうでしたね。
岡田 
もちろん物語の上でとても重要な役ではあるのですが、序盤で消える、比較的印象の薄い兵士です。とはいえ、チーム戦なんですよね。そこで脇を固める役割として呼ばれているんです。クリアに意図が読み取れます。だから、本編との比重によってどれぐらい何をするかを考えていないと駄目なんですよね。
__ 
なるほど。
岡田 
あとは中屋敷さんは、俳優を活かすことに本当に秀でておいでなので、私の個性を知って、どう使ってくれるかを感謝し汲み取り、挑んでいます。例えば、本編が作品として伝わらなかったのに私が目立っていたら「何だアイツ、邪魔!」みたいな印象を持たれてしまうと思うんですよ。どういうふうになったら、お客さんが本編を面白いと思ってもらえて、私がそのスパイスになれるか?という事なんですよね。飛び出てふざけすぎるといけないんですね。お客さんが見やすくなるように導く変人という役割。バランサーになったらいいなと。
__ 
難しいですね。
岡田 
今回のマクベスは「医者の役です」って言われて。シェイクスピアオタクの方以外は、「医者って、マクベス夫人の横で、ちょっと出てきてたよな」と思われるぐらいの存在なんです。どう存在しようか、今から楽しみです。
柿喰う客 女体シェイクスピア001 「悩殺ハムレット」
公演時期:2011年 9月16日(金)~25日(東京)、2011年 10月1日(土)~2日(日)、2011年 10月7日(金)~10日、2011年 10月14日(金)~15日。会場:シアタートラム(東京)、三重県文化会館(三重)、ABCホール(大阪)、長久手町文化の家(愛知)。

タグ: おふざけ シェイクスピア


vol.223 岡田 あがさ

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2012/春
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岡田

「上手だな」って感じさせへん人

阪本 
でも、それは過程ですので。苦痛という訳ではないですね。柳沼さんの世界を体現するに当たって、どういう感覚を持てばいいのかを私は何となく分かるんですけど。その、さっき言った空気をどういう風につかめばいいのか。やっていくことでしか分からないし作れないんですよね。
__ 
書いた人じゃないから、分からない事もありますしね。では、空気をつかむ力ってどうすれば分かるようになるのでしょうか。
阪本 
私が凄いなと思う俳優は、「上手だな」って感じさせへん人なんです。あ、そこにいるよね、というぐらいの。いらんものをとっぱらって、すっと没頭出来る人をみると、凄いってなります。
__ 
ええ。
阪本 
そういう存在になりたいし、そういう作品に出会えると嬉しいです。だから、役者さんに技術や能力があっても、私はそこはあまり重視していなくて。もちろん上手だなとは思いますけど。
__ 
すっと、そこに自然に立っているんですね。
阪本 
そうです。その作品の世界観をどこまでリアリティを持って立てるかというのが俳優の力なんじゃないかなと思います。
__ 
宛書きというのが、一つのアプローチかもしれませんね。だから、全然別の文脈や文法の役柄を振るときには勇気がいるのかもしれません。
阪本 
昔、シェイクスピアの作品に出させてもらった時にデズデモーナ役を演じる機会がありました。まずはオードリーヘプバーンの映画を見たり、高貴な方の振る舞いを研究したりしました。
__ 
なるほど。
阪本 
まず身体が全然違って。でも、自分と共感するところを探して、そこを軸に作っていきました。その役と、自分が生きてきた中で得てきたものがリンクして生まれたものがあれば、その人でしか出来ない演技なんじゃないかなと思うんです。そういうのを見たいしやりたいと思います。それが稽古なんですね。
__ 
その俳優でしか出来ないこと。
阪本 
私は他の人になるという事が出来ないと思うんですよ。どうしてもその人が出るんだと思います。

タグ: シェイクスピア 世界観の作り込み


ユニット美人コント公演「黒い紙と3つの箱」

__ 
さて、今日はユニット美人について色々伺えるので、楽しみにしてきました。最近は次回公演の準備期間ですね。
黒木 
そうです。あ、最近チラシが出来たんですよ。
__ 
ありがとうございます(受け取る)。タイトル「黒い紙と3つの箱」。まず、このチラシがすごい出来ですよね。
黒木 
よかった。ありがとう。紙本さんが作ったんです。
__ 
不思議なチラシですね。なんだかまるで、ユニ美の公演が今から始まる時みたいな感じがするんですよ。臨場感というか。「どれを選べば生還出来るの?」とありますが、どんなお話なんでしょうか?
黒木 
「紫式部が言う前に!」と一緒で、コント集ですね。今までイベント出演とかでやるコントは一つのフォーマットがあって。私が遅れて来て、なんやかんやあって私が挫折し、そこで紙本さんに勇気付けられて、ブルマがあるじゃないですかで踊って終わるという。・・・そろそろ新しいフォーマットを作っていったほうがいいんじゃないかと。
__ 
なるほど。タイトル通り、箱が3つ出てくる?
黒木 
それは題材になっている、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」の一つのエピソードから来ているんです。
ユニット美人コント公演「黒い紙と3つの箱」
公演時期:2010/9/11~12(札幌)、2010/9/18~19(京都)、2010/9/25(北九州)。会場:生活支援型文化施設コンカリーニョ(札幌)、アートコミュニティスペースKAIKA(京都)、枝光本町商店街アイアンシアター(北九州)。

タグ: タイトルの秘密 シェイクスピア


ルドルフ×このしたやみ企画 チェーホフ「熊」

__ 
今日は宜しくお願い致します。
山口 
宜しくお願いします。
__ 
山口さんは、最近はどんな感じでしょうか。
山口 
最近は、ルドルフ×このしたやみ企画のチェーホフ「熊」(※1・2・3)の準備中です。あと、実は大阪大学の大学院に演劇学の研究室に入ったんですよ。
__ 
あ、そうなんですか。
山口 
あまりにも、お芝居の事も知らんわと思ったんです。次にやるチェーホフも、シェイクスピアも、ブレヒトも。それでいいのかなと。
__ 
昼は学校行って、夜に稽古ですか。忙しいですね。
山口 
学校だからレポートもあるし発表もあって、それ自体が勉強になるからあれなんですけど。締切に追われる日々ですね。
劇団劇団飛び道具
京都を拠点に活動する劇団。
このしたやみ
2007年2月、京都府立文化芸術会館にて行われた、Kyoto演劇フェスティバルの実行委員企画として「傘をどうぞ」「ソウルの落日」の創作を演出 山口浩章、俳優 二口大学、広田ゆうみという座組で創作した事から発足した演劇ユニット(公式サイトより)。
ルドルフ
京都を拠点に演劇作品を創作する集団。
ルドルフ×このしたやみ企画 チェーホフ「熊」
アトリエ劇研提携公演・京都芸術センター制作支援事業。公演時期:2010年1月22~25日。会場:アトリエ劇研。

タグ: シェイクスピア 広田ゆうみさん


今後

__ 
さて、今後、どんなふうに攻めていかれますか。
河瀬 
それは勿論、芝居で食っていくようになりたいですね。芝居に関わる仕事をしながら劇団を大きくしたいです。最終的には劇団が大きくなればいいですね。それだけで食べられるようになったら文句はないなと。
__ 
大変でしょうけれど、頑張って下さい。作家としては、今後描いていきたい世界は。
河瀬 
11月は、先ほどの通り初演の作品の再演です。その次は、3月に大きな公演をやりたいなあと思っています。シェイクスピアをやりたいなと。
__ 
それは、本当にシェイクスピアをやるんですか?
河瀬 
いえ、いじります。時代的には応仁の乱で。
__ 
舞台は日本なんですね。
河瀬 
はい。日本人が外人の名前で呼び合うのに寒気を覚えるんですよ。
__ 
骨組にすると。
河瀬 
本当に骨組程度ですね。

タグ: どんな手段でもいいから続ける シェイクスピア 今後の攻め方