無は白い顔をしている

__ 
その15周年記念シリーズ2作を両方とも拝見しました。どちらも應典院での上演でしたが、そういえば全て暗幕を吊るのではなく、白幕でしたよね。そういうところの印象が、何故か強くて。全体に、その独特な味付けをしているような気がしたんですよね。
戒田 
ありがとうございます。暗幕ってね、演劇の先人達の偉大な発明やと思うんですよ。あれは「何も無い」という表現なんです。僕たちはそれを借用してる。歴史上初めて暗幕を見たお客さんは「何やあの黒い布?」と思ったんじゃないかと思うんです。
__ 
ああ、そういえばそんな気がしてきました。
戒田 
一方、應典院はベースが白いんです。だから、應典院で「何も無い」のは白色なんじゃないかと思うんですよね。
__ 
應典院での無は白色をしているという事ですね。とても暗示的な観点だと思います。それは「ツキノウタの時に凄く生きたと思うんですよね。冒頭のシーン、音響照明と共にカラフルな幕が捲れ上がっていき、一面が白色になる仕掛けがありました。非常に印象的で見事でした。色とりどりの世界が一瞬でめくれ上がり、白い無になってしまう。
満月動物園第弐拾参夜『ツキノウタ』
公演時期:2015/3/6~3/8。会場:シアトリカル應典院。

タグ: 外の世界と繋がる 一瞬を切り取る 印象に残るシーンを作りたい 世界 会場を使いこなす


ウソのない[2]

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
松下 
ずっと、その芝居の世界が広がり続けるような芝居がしたいです。上演時間は2時間だけだけど、その前もあとも世界があって、そこをただ切り取っただけみたいな芝居がしたいです。
__ 
世界がずっと残っていく・・・?お客さんの心に、そしてよくわからないけれどこの宇宙に?
松下 
はい、個人的にですけど。その為には、存在にウソがあったらダメだなあと。架空の物だから、ウソがないようにしたいですね。お客さんに対しては、ピエロみたいな存在でいたいです。世界中の最も底辺でありたい。尊敬されたいとかではなく、「こんな人達でも存在しているんだから、生きよう」って思ってほしいな、って。2年後、全然違う事を言ってるかもしれませんけど。

タグ: 外の世界と繋がる 宇宙の話 一瞬を切り取る いつか、こんな演技が出来たら 世界 X年後のあなた


- - - - - - - -

__ 
川北さんにインタビューした時、市川さんの台本は小説のようだと伺いまして。「名づけえぬもの」でしたね。実際に読ませて頂いたんですが、とても面白かったです。何故、あのような書き方になるのでしょうか。
市川 
あまり、自分でその理由を突き詰めて考えた事はありませんでした。戯曲って、それを俳優が声を出す命令書きみたいになりがちなんじゃないかと。それはあまりしたくない。出来るだけ指令書にはしたくないんですね。台本である前に、それなりに読み応えのある読み物であるべきだと考えていて。
__ 
なるほど。
市川 
声に出されない部分を大切に作りたいなと。イメージを稽古場に提出出来る脚本にしたい。すると、セリフだけじゃ足りないんじゃないか。実は、出来るだけ上演出来ない台本になるように心がけているんです。
__ 
上演が難しいようにするんですね。
市川 
上演を遠ざけないと、脚本を書く態勢と演出する態勢が距離的に近くなってしまって。演出と、脚本が切り離して考えられなくなってしまうんじゃないか。と。
デ・4「名づけえぬもの」
公演時期:2013/3/12~13。会場:STスポット横浜。

タグ: 書いてみたいと思った ユニークな作品あります 世界


割れる世界

__ 
山本さんが演劇をやっている理由を教えて下さい。
山本 
実はよく分かっていないです。台本を書くのは、皆さんそうだと思うんですけど、自分を認めて欲しいからクリエイティブしますよね。どんなに有名な人でも。それに尽きますね。でも、批評なんて十人十色と言われるじゃないですか。その通りなんです。で、そうすると書いている意味が無くなっちゃうんですよね。
__ 
そうですね。
山本 
でも、人に見せる訳じゃなく書いている作品もこの世にある訳で。「にくなしの、サラダよ」もそうなんですけど。もちろん上演する事で見てもらえるというのは僕は嬉しいんですけど、それで自分の世界が壊れてしまうのは恐怖ですね。だから僕は、自分は演出しちゃダメなのかもしれないと思っているんです。固執してしまうから。
コトリ会議演劇公演11回め「にくなしの、サラダよ」
公演時期:2013/4/20~4/22。会場:カフェ+ギャラリー can tutku。

タグ: 世界


BRDG vol.2『TEA×HOUSE』

__ 
「TEA×HOUSE」。物語というよりも、取材で得た資料を再構成して作品化しているという事ですが、そうした作品を作っているのはどのような理由があるのでしょうか。
山口 
まず、私は物語が作れないんですよ。自分からはどうしても出てこない。紡げないし、自分よりも大きなものが沢山あるとずっと前から思っていて。紡ぐよりはどう吸収するか、が私の表現だと考えています。舞台に出る時も、自分から表現するというよりも何かに動かされる事が多いですね。外の要素だったりとか、もちろん共演者、環境、お客さんにも動かされるのが好きなんです。受動的な・怠惰な態度ではなくて。作品を製作する時も、世界を解釈をして変換して、つまり通訳してそれを違う言語に出力する。そういう事に興味があります。私は別に作家じゃないと思っています。紡げないので。外と接する作品を作りたいと思っています。
__ 
個人が世界と接する作品。
山口 
個人と他者が、どう接するのか。いい悪いじゃなくて、そこを観察したいですね。
__ 
ありがとうございます。私は最近のテーマとして、情報は読み手の創造性を以って初めてその価値を成立させると思っています。だから、山口さんの仰っている事はそうした観客にはきっと歓迎されるかもしれません。しかし、観客という他者が、舞台上の世界を常に受け止めてくれる訳ではありませんよね。積極的になるかもしれないし、消極的になるかもしれない。むしろ、敵視してくるかもしれない。
山口 
そうなんです。他の人にも、それが美しいと思ってもらえる為の工夫をしないといけないんですよね。やっぱり、お客さんの感想が分かれるんですよ。「全く意味が分からなかった」と、「もの凄く面白かった」と。それは、どちらも当然返ってくる反応で。分からない=面白くないと見なすのは当然じゃないか、って私も思ってしまう時があるんです。だから、もっと作り手として、「これがキレイだよね」と紹介するだけのものじゃなくて、「何故そう思えるのか」が分かる。そんな、もっと面白く見てもらえる仕組みを考えださないといけないと感じています。
__ 
余談ですが・・・「TEA×HOUSE」で、非常にスリリングで面白いと思ったシーンがあります。スコーンが焼けるまでに、若干時間が余りましたよね。その時に舞台上で二人の出演者が暴れまわっているという場面がありました。時間稼ぎだと気付いた瞬間、ものすごく面白かったんですよ。物凄い可愛らしい時間でしたね。チャームポイントだったと思うんですよ。何か、お客さんに渡してあげたゆとりのある時間というか。
山口 
素敵に思って頂けるのは嬉しいですが、そこに甘んじる事無く(笑う)スコーンを焼く間の時間で作品を収めようと決めていたんですが、出演していたブリジットが「焼き時間を短くなんて出来ない」と言ってくれて。だからどうしても。辛かったお客さんもいたかもしれません。
BRDG vol.2『TEA×HOUSE』
公演時期:2013/4/26~28。会場:京都四条大宮滋野宅。

タグ: 色んなものを吸収 外の世界と繋がる わたしの得意分野 ユニークな作品あります 工夫する俳優 「目の前で起こっている」 受け入れる・受け入れられる 世界 その題材を通して描きたい 焦点を絞った作品づくり