ブラックボックスに出会う

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諸江さんが演劇を始めた経緯を教えて下さい。
諸江 
大学より前に、小学校四年生の時に上級生を送る会があって、そこでやる出し物の劇ですね。終わった後に、一度も話したことのない別のクラスの先生が児童劇団に入らないか、って声を掛けてくれて。児童劇団に入って、めちゃ楽しかったんですよね。最初に出た作品では準主役で、名古屋公演にも付いて行きました。
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その後、京都造形芸術大学に入学ですね。その頃に衝撃を受けた作品は何ですか?
諸江 
僕はそれまで、ブラックボックスというものを知らなかったんですよ。緞帳があって、開演したら幕が上がって、みたいな。入ったら途端に舞台のセットが見えていて。お芝居自体も見たことのないものだったんです。何だこれは、って。衝撃を受けた作品といえば、太田省吾さんの「水の駅」。無言なのに成立してしまう何かがあったんですよね。あとは、造形大の卒業制作の蜆ルリイロという作品は色彩的にビックリしましたね。

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vol.287 諸江 翔大朗

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2013/春
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諸江

冨士山アネットpresents[八](エイト) JAPANTOUR2012

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なるほど。さて、6月の初めですが冨士山アネット「八(エイト)」福岡公演が終わりましたね。改めてですが、どのようなお話なのでしょうか。
関  
ある心理療法士のもとに、本が書けなくて苦心している作家が訪れるんですね。治療を続けるうちに、作家の書く本に心理療法士の生活が綴られていく。チラシのキャッチコピーに、「あなたには何に見えますか?」とあるように、個を失って揺らいでいく様が、夢の中の出来事のように描かれる作品です。
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ダンス作品なのに、台本があるそうですね。
関  
ありますね。かっちりあります。特に今回は、10年前に演劇として上演された作品だったんですよ。しかも今回の為に、稽古して振付しながら台本を改編していく進め方だったんですね。
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まるで演劇作品の作り方ですね。でも、本番でやるのは言葉を使わない。
関  
そうなんです。だから、相当、俳優としても即戦力が必要だったんですよ。セリフを覚えて、具体的なシーンを作って、それを振り返りつつ動きに変える作り方をしていました。私はダンサーなので、相手との関係性から生まれた動きがだんだん振り付けになっていってしまって、ダメ出しされたり。単に踊るのではなく、物語とかキャラクターを染みつけて動かないといけないんですね。そんな時、ガイドとしての台本に戻ることで、本来の関係性を取り戻すことができる。私にとっては新鮮な感覚でした。
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しかし、無言劇ではない。
関  
そうですね。マイムとして動いてはいけないし、かといってダンスとして派手な動きでも、それではあまりにもダンス過ぎて意味が分からなくて却下になるし。それが、冨士山アネットの独特のコードというか、面白いところだと思います。
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これまでの手応えは。
関  
今年の一月に東京で初演したんですけど、作品の完成がかなり直前で。鮮度でお届け!みたいな感じでした。、今回はブラッシュアップする時間もあり、会場も広くなって、より進化した形で、自信をもってお届けできると思います。
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伊丹の公演も盛り上がるといいですね。
関  
そうですね。私にとっては地元でもありますし。昨年の大阪公演を見て衝撃を受け、京都芸術センター通信「明倫art」に評論を書かせていただいたのが、アネットとの最初の出会いで。観客から出演者への転身、奇妙な感覚を抱きつつ、私と同様に前作に感動された方にもより良いものをお届けしなければと、プレッシャーも感じています。7月14~15日の三回公演です。挟み舞台になっているので、何度かご覧いただいても楽しめると思います。是非いらして下さい。
__ 
もちろんです。楽しみにしております。
関  
あっ、その前に7月7日、七夕特別企画として、神戸アートビレッジセンター(KAVC)で、一日限りのクリエーションワークショップ&ショーイング「milky way」があり、私も参加させていただきます。こちらも是非。
冨士山アネット
2003年活動開始。類稀な空間演出と創造的なヴィジュアル、身体性を強く意識したパフォーマンスにて創造的な空間を描き出す。近年は、戯曲から身体を立ち上げるといった、ダンス的演劇(テアタータンツ)という独自のジャンルから作品を制作。(公式サイトより)
冨士山アネットpresents[八](エイト) JAPANTOUR2012
公演時期:2012/6/1(福岡)、2012/7/14~15(兵庫)。会場:イムズホール(福岡)、AI・HALL(兵庫)。

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vol.246 関 典子

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2012/春
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関

冨士山アネット-テアタータンツ

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長谷川さんが冨士山アネットでされているテアタータンツという技法。台本がある作品を、台詞を一切使用せずにあえて動きやダンスで表すんですよね。かといって無言劇でも無くパントマイムでもない。
長谷川 
ドイツに滞在していた時、古典の舞台を見たんですよ。大まかな流れがわかっていたら、言語が違おうと使われていなくても筋が分かったりするんですよね。意味が分からなくても面白い。人物同士の関係性が面白いんですよね。何故かというと、舞台に上がっている人間同士の関係性がきちんと作れているからなんです。それを見た時から、関係性を作る事が面白いなと思うんですね。
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それを舞台上で表現するという事ですね。
長谷川 
例えば、付き合って数年のカップルが居て、そのカップルの関係がセリフで分かる時もあれば、ただの目線だけで分かったりもする。もしくは、片足を相手の足の間に入れたり。関係性で、立ち位置や姿勢が決まるのが面白いんですよ。そういう所に豊かさを感じる。
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演劇とダンスの間にありながら、具体的に関係性を描き出していく表現。
長谷川 
実は最初は、ダンスをどうやって作っていくのか分からなかったんですね。演劇しかやっていなかったから、ダンスの設計図の引き方が分からなかった。なら、演劇の方法論を下敷きにした考え方が手がかりになるのかなと。それまでやってきた事を捨てる必要はないと思ったんです。

タグ: ユニークな作品あります 無言劇


児童演劇

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今回の企画のコンセプトは「子供も大人も楽しめる作品を目指す」というものだったそうですが。
伊沢 
以前、デンマークの児童演劇フェスティバルに行った時に、全然子供向けじゃない作品があったんですね。私が勝手に抱いていた幼稚なものなんかではなく、大人の私が感動して涙を流すような。内容も、デンマークの社会問題を取り扱ったもので。
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手加減なしですね。
伊沢 
それを子供も面白そうに見ているし。デンマークでは、演劇を教育の一環として積極的に取り入れているんですね。小さい頃から。演劇教育の果たす役割は大きいなと。そう考えると、友達と仲良くしようとかいう話ではなくて、本当に質の良いものを見せるのが重要なんじゃないかなと。私も児童演劇に詳しい訳ではないんですけど、そのデンマークの児童演劇フェスの主宰の方に、日本から児童演劇を呼んでないのは何故か聞くと「子供を馬鹿にしているものばっかりだった」って。いっぱい見たらしいですけど、結局、日本から呼ばれたのは狂言と沖縄の舞踊が招かれていて。それはちょっと悔しいなと思ったんですね。
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その、デンマークでご覧になった作品なんですが、お子さんにとって言葉の難しさとかは大丈夫だったんですかね。
伊沢 
さあ、デンマーク語だったんでね(笑う)。でも、分かっているとは思います。内容は、アル中のおじさんの話だったんですけど、反応から多分分かって見ていたんじゃないかな。あと、全くの無言劇もあったんですけど、それも理解していたと思います。
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結構、年齢に関係なく理解出来るものかもしれませんね。演劇は。
伊沢 
演劇教育で小さい頃からお芝居を見ているというのが大きいと思うんですけどね。でも、「夜のメダル」でも子供が来てくれたんですが、内容が分かったみたいですね。大人より感じていたかも、という声がお母さん達からありましたね。
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お話としては、具体的な社会の現場を抽象したものだったと思いますが。町のはずれに来た引きこもりとのふれ合いという。
伊沢 
それでも、退屈されては困るので、面白い動きとか形を付けましたね。

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