モノづくりの体験から・・・

肥後橋 
今回の企画が始まってから僕の中でも考え方が変わってきて。7人の受講生が集まって一つのものを作るのは難しいんですね。しかも、今回は脚本がない。話し合いばかりで無駄な事も多い。でも、そんな機会ってもしかしたら他に全然無いんじゃないか。これはもしかしたら、参加者にとっては凄く貴重な経験になるんじゃないかと思うんです。
___ 
というと。
肥後橋 
簡潔に言うと若者支援というか、社会とつながりを持てないけれども、集団で一つのプロジェクトに参加して、自分の意見と相手の意見をぶつけながら一つの成果を生んで、そこに評価が付いたら、若者による若者の支援という形になるかもしれない。
___ 
なるほど。自分達の作ったセットから生まれた作品が、観客に届く体験。それは自信が付くでしょうね。
肥後橋 
以前、友人がそういう福祉関係の仕事に就いていて。自分の演劇を通して、人の役に繋がれたらなと思います。そういうところにも足を運んで、裾野を広げて行けたらと思います。
___ 
それはもちろん、参加者の積極的な態度が必要になると思いますけどね。
肥後橋 
そうですね。今回の場合、モノづくりに対する主体性は、通常の劇団の中での活動とは違うかなと思います。
___ 
あえて言いますが、「ワークショップ公演」という触れ込みからは、正直、品質の高い演劇作品は想像出来ませんでした。ですがお話を伺っているとどんどん楽しみになってきますね。レベルの高い上演を期待しています。

タグ: その題材を通して描きたい 若者支援


枠縁1作目「タウン」

__ 
田中さんが枠縁で4月に上演された「タウン」。面白かったです。ご自身ではどんな手応えがありましたか?
田中 
西一風で書いた作品を元に書き直すという作り方をしてたんですけど、元々突き抜けていた部分をこじんまりさせてしまって、という事を元を知っていた人に言われてしまったんです。
__ 
というと。
田中 
元の「タウン」はもっとワケ分からなくて、最後に彗星が落ちてきて滅亡しちゃうんです。そもそも、大人計画の「ふくすけ」をやりたくて色々パクって書いた作品だったから、それが恥ずかしかったのでまとめる形で書き直したんです。そうしたら突き抜けているのを知っている人には物足りなかったみたいで。サワガレでやっていく中でこじんまりまとめる癖がついたんじゃないかと凄く言われて。これはもう、次は突き抜け過ぎて失敗する勢いでやろうと思います。もちろん、「タウン」を通してやりたい素材もたくさん見つかったんですけど。
__ 
個人的には、あの作品に出てくる人物は全員突き抜けてました。彼らは自ら失敗する方向に行っていて、破滅願望に突き動かされているように思えました。そのあたりいかがでしょうか?
田中 
どうでしょうね。でも、破滅したいわけじゃないのに破滅していく姿は可愛いと思うんですよ。サワガレで最後にやった「袋の自己紹介」という作品の中に「例えばここに袋があるとすると、」「いや、ないじゃん」「いや、あるとすれば、あるじゃん」「ないんだから、ないじゃん」って喧嘩になって、最後は「バカじゃないの」って言って終わるシーンがあったんです。それが稽古しても会話として上手くいかなくて、結局ギャグっぽくしちゃったけど、書いている時は楽しくて。「私はこう思う」「俺はああ思う」とぶつけ合うだけっていう身勝手さが、そりゃ破綻、破滅するよなって感じで楽しいんですよ。
__ 
結局、押しの強い方に流されていったりしてね。
田中 
何も話は進展していないのに、展開としては転がっていく。それだけで芝居が一本作れたら嬉しいですね。
__ 
破滅に向かう人々と、そのディスコミュニケーションを描きたいのは、どんな理由があるのでしょうか。
田中 
単純に自分がコミュニケーション下手だから、というのがあると思います。コミュニケーションを上手く取り続けている芝居を見ても、退屈になってしまう自分がいたりするし。あと、純粋に間違っている人って可愛いんですよ。実はこの間、夜に街を歩いていたら自分独自のルールを暴力的に押し付けてくる人に出くわして。その人は「因果」だと言って怒りだして、延々怒鳴ったりしてるんですけど、よくよく話を聞くと面白かったんですよ、この人の中では筋が通ってるんだろうけど、やっぱり勝手だなーって。警察呼びましたけど。
枠縁1作目「タウン」
公演時期:2014/4/12~14。会場:人間座スタジオ。

タグ: 凶暴な役者 書いてみたいと思った ユニークな作品あります 退団したら・・・ その題材を通して描きたい とんでもない失敗をしてしまった 暴力


北から南へ・・・

__ 
どいのさんと五月さんがこれまで印象深かったのは。今回のツアーに限らず、これまでの旅公演でも結構です。
どいの 
今までで言えば、僕は釧路なんだよね。最北でもないけれど、寒い時期には寒い。まあ、毎年寂れていくわけさ、街としては。
__ 
ああ・・・
どいの 
デパートが無くなって飲み屋ばかりになっちゃったねと思えば、今度は飲み屋までだんだんと少なくなっていく。元々は炭鉱で栄えた街だからしょうが無いかもしれないけど。郊外型の店舗がある地域は栄えてるんだけど、街の本体は寂れていて。夏に行ってもすごく寒いところだから、道の角を曲がったらもう死にたくなるわけ。
根本 
八月なのにそういう風情なんだよ。
どいの 
そうなのさ、でもそこに、物凄いエネルギーを持つ一群があって、そのエネルギーにやられちゃう訳さ。すっげえな、生きる力だと。
__ 
釧路でのどくんご公演、行ってみたいです。五月さんは。
五月 
私釧路出身なので(笑う)どくんごで行くようになって、改めて釧路と出会う。そんな感触があります。ハタチまで居たけど大した知り合いもなく。芝居を通して、改めて関係を再発見していく感じでしたね。札幌も面白いです。最初にツアーから公演している土地ですが、長いことホンットにお客さんが入らない(笑う)演劇関係の公演に宣伝してもお客さんがさっぱり入らない。それで受け入れの方が色々悩んで、音楽関係だったり、映像だったり、人形劇だったりとか、面白い変わったイベントをやっている方に当たって、この3年くらいで客層が大きく広がりました。演劇関係にも宣伝はしてますけど、他にも色んな面白がりの方に根気よく宣伝してくださっています。去年で動員、270かな。
どいの 
札幌は最前線ですね。走ってます。
2B 
東京でさえ500人ぐらいなのに、割合的に物凄い事になってるね。

タグ: 北海道出身 土地の力 人形劇にまつわる話題 その題材を通して描きたい


叶いそうもないけれど言わずにはおれない

西尾 
アーティストとアクティビストの違いを考えているんですけど、アクティビストは現実の方で変えようとしていると思うんですが、それって限界があって。そこで扱えない事をアーティストが受け持つべきなんじゃないかと。今解決出来ない事を扱いたいです。
__ 
「解決が難しい事」。今日のラストシーンも、それを巡るシーンでしたね。説明する事すら難しい、自分で完全に把握も出来ていない、しかも相手が拒否している、そんな不可能な対話。これを例えば演劇でやるのは意味があると思います。何故なら、情報量をいくらでも積めるメディアだから。
西尾 
最近、森達也さんの新書『放送禁止歌』を読んだんです。同和地区で生まれた歌を扱っていて、どんな歌かと言うと今の辛さをそのまま歌にしたものなんです。あくまで、辛さを解決する為の歌じゃないんですね。何故なら、本当に叶い得ない事だから人の心に響くのであるし、そういう通路を持つ事は人の心を助ける。だから価値がある。森達也さんの取材に部落解放同盟の方がそう答えていたんです。それが、アクティビストとアーティストの違いでもあるなあ、と。
__ 
通路。
西尾 
叶いそうな事だったら口に出しても歌ってもそこまで響かないんですけど、叶いそうもないけれど言わずにはおれない事だから、そこにエネルギーが生まれるんでしょうね。抽象的だけど、そういう事柄を描きたい。人と人の間にある、難しい事柄。これを通して人を描きたいです。

タグ: 情報量の多い作品づくり その題材を通して描きたい


学んで帰ってもらいたいんです

__ 
廣瀬さんの作品をご覧になったお客さんに、どう思ってもらいたいですか?
廣瀬 
おこがましいかもしれませんが、学び取ってもらいたいですね。僕より圧倒的に知識量がある人が見に来たとしても、僕しか知り得ない事ってあるんじゃないかと。そのために、SFをやろうと思っています。単純に最新科学を勉強しようとしたらNewtonを読んだ方が早いんです。そうじゃなくて、人間の生活に活かせる科学哲学的なところを演劇を通して伝えたいな、と。もちろん、それとは別に、僕の考えている事も知ってもらいたいし。
__ 
そうですね。
廣瀬 
僕が見に行く時も、何か学び取って帰らないと。どんなに趣味が合わなくても学ばないともったいないし、学ぶところがなければどんなに笑っても損したな、と感じますね。
__ 
これまでご覧になった中で、最も学ぶところが大きかったのは?
廣瀬 
TEAM NACSの「Looser」ですね。初めて見た舞台演劇なんです。DVDでしたけど。感情を発散する事を初めて学びました。現代の日本にはそれが恥ずかしいと思っている人が多いと思うんですけど、そこを僕にブレイクスルーさせてくれた作品でしたね。それと、チェルフィッチュの「3月の五日間」。こんなに狭い範囲で人間を事細かに観察して表現出来るんだなあと。

タグ: どう思ってもらいたいか? その題材を通して描きたい


踊る影たち

__ 
構成として、最初はアップテンポなダンスがあって、そこからだんだんと静かなシーンが増えてきて、ソロダンスのシークエンスになっていって、という流れでしたね。「家庭」というテーマを与えられた作品だったからか、家庭内孤立を強くイメージしました。家庭内だけどだんだんと離れていく。しかし、赤ちゃんの誕生で後半にはまとまっていく。
北尾 
大まかにいうと、その前中後編の構成が「1.2.3」のイメージなんです。前半ではキャラクタライズがあり、集団性を描いて、HIPHOPのシーンで情報量と運動性の強いダンスを見ていただき、そこからソロのダンスに移行していく。孤立している人が見えてくる。この流れをイメージして作り始めました。
__ 
そう、集団で集まっているところから、だんだんと一人離れていく。
北尾 
一年に一度、大阪の実家に親戚一同で集うのが僕にとっての団らんなんです。この作品のタイトルを考えていた時期、祖父が亡くなって家を取り壊したんです。集まれる場所が無くなったということに喪失感を感じました。あの家が僕ら親戚をつなぎ止めていた場所だったんです。それを抽象的に表現したかったんですね。
__ 
私個人の親戚たちも実は結構ドライな人々なんです。なのに、作品を通してある寂しさが生まれましたよ。
北尾 
当初は家族が離散する、みたいなイメージで作っていましたが、それではさすがに寂しすぎるなと思いまして。3ステップ目では全員集うという構成になりました。ですが最後には、赤ちゃんの代わりとして扱っていたシャツを「シャツなんですけどね!」と暴きました。彼らが家族みたいな事をしていたと、全て嘘だと、1ステップ目のキャラクタライズも含めてメタフィクションだったとバラして。そこから、全員がもつれあいながら同じ振りを踊るラスト。現代社会において家庭から出た人々の混迷を見せられればいいなと思っていました。動かされているのか、もつれているのか分からない、家庭の外に出た人々ですね。
__ 
それは、都市部にいる大体の若者がそれに当てはまる筈です。だから、あれは僕らそのもののダンスだったんじゃないかなと思います。

タグ: 人生の節目 メタフィクション その題材を通して描きたい 第四の壁 外傷・内傷


BRDG vol.2『TEA×HOUSE』

__ 
「TEA×HOUSE」。物語というよりも、取材で得た資料を再構成して作品化しているという事ですが、そうした作品を作っているのはどのような理由があるのでしょうか。
山口 
まず、私は物語が作れないんですよ。自分からはどうしても出てこない。紡げないし、自分よりも大きなものが沢山あるとずっと前から思っていて。紡ぐよりはどう吸収するか、が私の表現だと考えています。舞台に出る時も、自分から表現するというよりも何かに動かされる事が多いですね。外の要素だったりとか、もちろん共演者、環境、お客さんにも動かされるのが好きなんです。受動的な・怠惰な態度ではなくて。作品を製作する時も、世界を解釈をして変換して、つまり通訳してそれを違う言語に出力する。そういう事に興味があります。私は別に作家じゃないと思っています。紡げないので。外と接する作品を作りたいと思っています。
__ 
個人が世界と接する作品。
山口 
個人と他者が、どう接するのか。いい悪いじゃなくて、そこを観察したいですね。
__ 
ありがとうございます。私は最近のテーマとして、情報は読み手の創造性を以って初めてその価値を成立させると思っています。だから、山口さんの仰っている事はそうした観客にはきっと歓迎されるかもしれません。しかし、観客という他者が、舞台上の世界を常に受け止めてくれる訳ではありませんよね。積極的になるかもしれないし、消極的になるかもしれない。むしろ、敵視してくるかもしれない。
山口 
そうなんです。他の人にも、それが美しいと思ってもらえる為の工夫をしないといけないんですよね。やっぱり、お客さんの感想が分かれるんですよ。「全く意味が分からなかった」と、「もの凄く面白かった」と。それは、どちらも当然返ってくる反応で。分からない=面白くないと見なすのは当然じゃないか、って私も思ってしまう時があるんです。だから、もっと作り手として、「これがキレイだよね」と紹介するだけのものじゃなくて、「何故そう思えるのか」が分かる。そんな、もっと面白く見てもらえる仕組みを考えださないといけないと感じています。
__ 
余談ですが・・・「TEA×HOUSE」で、非常にスリリングで面白いと思ったシーンがあります。スコーンが焼けるまでに、若干時間が余りましたよね。その時に舞台上で二人の出演者が暴れまわっているという場面がありました。時間稼ぎだと気付いた瞬間、ものすごく面白かったんですよ。物凄い可愛らしい時間でしたね。チャームポイントだったと思うんですよ。何か、お客さんに渡してあげたゆとりのある時間というか。
山口 
素敵に思って頂けるのは嬉しいですが、そこに甘んじる事無く(笑う)スコーンを焼く間の時間で作品を収めようと決めていたんですが、出演していたブリジットが「焼き時間を短くなんて出来ない」と言ってくれて。だからどうしても。辛かったお客さんもいたかもしれません。
BRDG vol.2『TEA×HOUSE』
公演時期:2013/4/26~28。会場:京都四条大宮滋野宅。

タグ: 色んなものを吸収 外の世界と繋がる わたしの得意分野 ユニークな作品あります 工夫する俳優 「目の前で起こっている」 受け入れる・受け入れられる 世界 その題材を通して描きたい 焦点を絞った作品づくり


ふるえるくちびる

__ 
ウミ下着はこれまで、どのような作品を作ってこられたのでしょうか。
中西 
結構長い間、自分自身の事を描いていたと思います。自分の性の事や、自分の生活について。ずっとそれを描いていたんですが、去年の震災を境に変わったと思います。
__ 
というと。
中西 
震災が起こった日、私、誕生日だったんですよ。それで誰も祝ってくれなくなったのがちょっと引っかかって。私すごく、自分の事ばっかりだったんだなと気付かされました。誰かに何かをしたいとか、寄付したいとか。そういう気持ちが素直に出てこなかったんです。それはどういう事なのかな、みんなどう思っているんだろう。そう考え始めてから、作品の作り方は変わったと思います。
__ 
どのように変わりましたか?
中西 
言葉または身体を使った対話ですね。さらに、それらを通して自分の考え方が揺らいでいくのが面白いなと思っています。
__ 
揺らぐとは。ご自身の考え方によっても、相手との関係性が変わる事もある?
中西 
自分が翻弄されたり、迷ったりすると、観客も一緒に考えてくれるようになるんです。多分、意見したくなると思うんですよね。私と一緒に悩んでくれるようになるんです。
__ 
例えば。
中西 
この間作った「ふるえるくちびる」という、震災と大阪に住んでいる私たちについてのドキュメンタリーみたいな作品。私たちの震災後の過ごし方を紹介したんですね。ゲストも呼んで、強い意見を言われたりしたらどうしようとか思っていたんですけど。それで実際、アンケートにも不快だったと書かれた方もいらっしゃったし、逆に、私たちと同じようにどうしたらいいのか分からなくなって戸惑っているという人たちもいたんです。いろんな意見があってそれが面白かった。それから、お客さんの方から発信したくなるような舞台が作りたいなと考えるようになりました。完成された舞台芸術じゃなくて、お客さんも巻き込んだ作品が作りたいですね。
__ 
ダンス作品でそれをやるというのは珍しいかもしれないですね。
中西 
ダンス関係の人からはダンスじゃないとよく言われ、演劇系の人からはコンテンポラリーダンスだねと言われます(笑う)。どっちでもないんだなと。どっちでもいいんだなと思います。

タグ: ドキュメンタリー ユニークな作品あります その題材を通して描きたい 俳優を通して何かを見る アンケートについての話題


京都ロマンポップ 本公演「幼稚園演義」

__ 
さて、京都ロマンポップの昨年の本公演「幼稚園演義」。大変面白かったです。歌舞伎の格好とセリフを用いながら、内容自体は幼稚園児の心情をデフォルメしたものだという形式が非常にユニークでした。後半、向坂さん演じる主人公の男の子の語りだったという事が明かされて、その仕掛けの意味が分かるという流れも良かったです。セットも映像も、とても凝っていました。
向坂 
実は歌舞伎にはあまり詳しくなくて。最後まで参考資料は使わなかったんですよ。変に引きずられるよりはいいかなと思って。
__ 
なるほど。
向坂 
元々海外公演をしようと思っているんですが、その試作第一弾ですね。エセ歌舞伎を使ったちゃちい日本っぽさを他ならぬ日本人が演じる面白さが外面にあって、内容としては、日本という国の生活を、幼稚園児を通して伝えたかったんですね。日本人って意外とこういう所があるんだと、表現したかったんです。
__ 
そういえば字幕もありましたしね。海外が射程にあったんですね。
向坂 
脚本家が、今海外に出ているんです。日本の文化を発進しようという思いもあって、僕が演出したら・・・という。形になって良かったです。
__ 
もう一度観たいです。
向坂 
あれは再演したいですね。他にも、「沢先生」や「人を好きになって何が悪い」も、脚本を練ってもう一度再演したいです。
京都ロマンポップ第11回公演『幼稚園演義
公演時期:2011/8/26~30。会場:元・立誠小学校講堂。

タグ: 日本人の美意識 人が人を好きになるってすげえじゃん その題材を通して描きたい 俳優を通して何かを見る


変化していく大きなもの

__ 
今回の見せ場は。
田中 
例えば90分の芝居でも、全体の時間を通してお客さんを飽きさせないようにプログラムを組むと思うんですよ。この時間はこうしてお客さんを引き込んで、笑わせて、このシーンはじっくりと見せて、みたいな。
__ 
ええ。大切な事ですよね。
田中 
この作品では、あえて長い時間をかけて人や人間関係が変わっていくという事を見せられればと思います。実際の人生ほど長くもないですけど、それを表すのに90分~240分なんて短すぎると思うんですよね。だから、ここが見せ場というよりは、全ての時間に客席から参加してもらって、変化していく大きなものを感じてほしいんですよね。
__ 
それは時代の変化、みたいな事ですよね。この作品の舞台も世紀末のアメリカでしたね。
田中 
変わっていく人間や、関係を通して、時代・世界が大きく動くのを目の当たりにしてほしいなと思います。個人的には、さだ夢さんと森田さんの見せ場があって、それは凄く楽しみです。
__ 
あの二人、体型が全然違いますからね。何かありそうですね。
田中 
ベストマッチなシーンだと思います。

タグ: その題材を通して描きたい


AAF リージョナル・シアター2011-京都と愛知-
京都舞台芸術協会プロデュース公演『異邦人』

__ 
今回の山岡さんの「異邦人」。台本はまだ読んでいないのですが、絆というほどロマンチックなものではない、人間関係そのものが抽出される話なんじゃないかなと勝手に想像しています。どう読まれましたか?
押谷 
私もまだ模索中なんですよね。とても日常的なんですよ。身近なんです。人というものが抱える寂しさとその先にある祈りのようなものを浮き彫りにする作品なんじゃないかなと思います。
__ 
寂しさ。それはどのようなものなのでしょうか?
押谷 
人って、誰しも孤独だと思うんですけど、そういうものを抱えながら人と関わり合いたいんですよね。その時の辛さや、確かな感触を通して、「人」を描き出した作品だと思います。
__ 
なるほど。避けようがないですからね、孤独って。
押谷 
難しいんですよね。人と関わる上で、例えば強がったり、ウソをついたり。その人が内側で求めていることが、たくさんのフィルターを通して相手に届く。届いた時には、なんだかおかしな事になってしまっていたみたいな。
__ 
会話劇でですか?
押谷 
そうですね。日常的なんですよ、どこにでもいるよね、という人たちなんです。そこがまた、共感出来るポイントだと思います。
AAF リージョナル・シアター2011-京都と愛知- 京都舞台芸術協会プロデュース公演『異邦人』
山岡徳貴子・作。柳沼昭徳・演出。公演時期:2011/6/9~12(京都)、2011/6/18~19(愛知)。会場:京都芸術センター、愛知県芸術劇場小ホール。

タグ: その題材を通して描きたい 俳優を通して何かを見る


女性がいざ近寄ってくると怖い!?

__ 
ゴジゲンの芝居を通して、お客さんにどういう気持ちになってほしいですか?
松居 
僕らが掲げているのは、9割の人が笑って、1割の人が号泣するという。感じ方は別々でいいんですけど。
__ 
なるほど。
松居 
例えば、明日自殺しようとしている人が再来週にしようか、という。ちょっと生きてみようって思ってもらいたいです。
__ 
感じる作品なんですね。
松居 
ホントに最近なんですよね、そういうように思い始めたのは。以前はベタなコメディばっかりしていて。これでいいやと思ってたんですけど、そんな事をしていていいのか。誰かの心に届いて欲しいって思ったんです。
__ 
そう思われるようになったキッカケって。
松居 
先輩劇団のヨーロッパ企画さんにお世話になっていて。諏訪さんに「ゴジゲン」って名前を付けてもらったり。書き始めたのも、上田さんの芝居を観てというのがあります。でも、コメディやっていてもヨーロッパ企画さんに敵わないと思ったんですよね。
__ 
では、ゴジゲンではどのような芝居を。
松居 
第六回公演で「チェリーボーイ・ゴッドガール」という芝居を作ったんです。それは、童貞達が童貞を捨てたいと嘆いて、偶然合コンに行けて、童貞を卒業するかしないかでワチャワチャもめて。最後に女の子がやってきて、みんな怖くなるんです。それで全員集団自殺するっていう。
__ 
あはは(笑う)。
松居 
最悪のオチで、めちゃくちゃ怒られたんですけど、お客さんの一部がスッゲー良かったって言ってきてくれて。それまでどんだけ笑いを取っていても、そんな風に言ってくれる人はいなかったんですよ。すこしづつ、そちらの方にシフトしていっていますね。
__ 
恋人が欲しいと思いつつも、異性の方から近寄られると怖がって逃げてしまう。最近は恋愛から遠ざかる人が多いらしいですが、案外そうした恐怖が関係しているのかもしれませんね。
ヨーロッパ企画
98年、同志社大学演劇サークル「同志社小劇場」内において上田、諏訪、永野によりユニット結成。00年、独立。「劇団」の枠にとらわれない活動方針で、京都を拠点に全国でフットワーク軽く活動中。(公式サイトより)

タグ: 「ベタ」の価値 めっちゃ泣いた・号泣した その題材を通して描きたい


「そういえば、私にも」を

__ 
今回の「引っ越しのススメ」。大きく言うと登場人物がみんな素直になっていくという流れだったと思うんですけど、やっぱりいいなあと思ったんですよね。ハートフルというか。そこで伺いたいのですが、岡部さんは空晴の作品を通して、どんな事を表現されたいのでしょうか。
岡部 
非日常やスペクタクルなものを見せているつもりはないんです。どこかの部分で、「そういえば、私にもそんな人がいた」と共感してもらえる。そういうことを大事にしています。
__ 
共感というと。
岡部 
ウチの芝居では、よく舞台上には出てきていない人の話をする事が多いんですよ。今回で言うと、西さんという女性の。
__ 
ええ、マドンナ役ですよね。
岡部 
他の作品だと、買い物に行ったまま帰ってこない両親とか。そういう、今はいない人達を語ると、舞台上に出てくるよりも想像が広がるんですよ。それで、観ている人にも誰かの事を思い出して貰えたらいいですね。
__ 
あ、それ私もなりました。家族の事を思い出しました。
岡部 
観て頂いた方それぞれにとっての、ある人の顔を思い出すという。それがいいんじゃないかなと思います。「実家の母に電話したくなりました」とか、アンケートに書かれていると嬉しいです。

タグ: 非日常の演出 引っ越し その題材を通して描きたい