ふつうユニット プロトコルに関する考察 「旅行者感覚の欠落」

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今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、廣瀬さんはどんな感じでしょうか。
廣瀬 
この間本番が終わったボンク☆ランドの稽古と平行して、次のふつうユニット「旅行者感覚の欠落」の稽古を進めています。今回は今までにない大所帯で、初めて出演する人も多いんです。例えば宗岡さんは面識があったんですが、一緒に作品を作るのは初めてですね。
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なるほど。
廣瀬 
今まで演劇を10年間やってきて、ほとんど役者で、自分で脚本を描く事もあったけど演出やるのが一番面白いなと。まあ、まだ余裕がある今だからこそですけどね。稽古場で演技を見てゲラゲラ笑って、気になる部分があったら口を突っ込むだけですね。余裕無くなってきたら全然違いますけど。
ふつうユニット
京都の演劇ユニット。ハードSFを得意とし、理系知識そのものが中心に据えられるタイプの演劇作品を上演する。
ふつうユニット プロトコルに関する考察 「旅行者感覚の欠落」
公演時期:2013/12/20~12/22。会場:アトリエ劇研。

タグ: おふざけ 次の公演 自分は演出が向いているかも


sunday play #5「グルリル」

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この公演「グルリル」について。偶然の一致が大きなキーワードなんですね。実は私もしています。ウォーリーさんもしているし、今日ここでも起こりましたね。
木下 
そうですね。起こるんですよね。物語の力ってすごいと思います。その偶然の一致について、ゲルハルト・リヒターの展覧会に着想を得たところがあるんです。すごく面白くて、初期の頃は写真の上に絵具を載せたりという技法があって(時代によって色んな描法を編み出している画家さんなんですけどね)、絵具の厚みが生まれるんです。失敗しても塗り重ねられる。そういうものって演劇では無いな。本番で演技が上からどんどん塗り重ねられる作品って作れないかなと思ったのがグルリルの最初です。
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物語のテーマは。
木下 
めっちゃダサいですけど、言えば、歴史とは何かとか、人間を人間たらしめているものは何か、です。スロベニアに行った時に民族博物館にいったんです。これまでの歴史が展示されているんです。バルト三国だったり社会主義国だったりの歴史があって、ロシアとの歴史があって、民主化して、EUに加盟して、が、現代の紹介コーナーをゴール地点にしてずっと並んでいる。でも、今いるコーナーは全然ゴールじゃなくて、この先から本番なんですよ。もしかしたらもう一度社会主義になるかもしれない。僕は、人間は進化してよりベターな方向へ向かっていると思っちゃってたんですね。
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進歩史観ですね。
木下 
途中の状態に常にあるのが歴史で、「今は途中やぞ」という状態をはっきり受け入れないと、次の時代を考えられないと思ったんです。
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今は途中である事を受け入れる。
木下 
それが、演技を塗り重ねていくという演出と、どこかクロスしていると思っています。色んな時代の色んなシーンを、同時多発的にやってもらって、そこでいくつかのセリフが関連する時に生まれる面白さを発見する、という感じです。ただ、現時点ではまだどうなるかは分かりません。
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まさに、いま仕組みを作っている最中という事ですね。手応えは。
木下 
それもまだ分かりません。お客さんが演出を見ようとすると物語が観れない、物語を見ようとすると演出が邪魔になるという状態なので、かなりコントロール出来るようなセリフや動きを作らないと完成しないので。中々ハードルは高いなと。そういう意味で手応えがあります。
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面白さの為にある、実験的な、前衛的な演出。それが許される場所だと私は考えていますので、とても期待しています。では、いま、この時代のここ日本でそのテーマを扱う事には、どのような意味があるのでしょうか。
木下 
その意味では、あまり意識しないようにしています。この作品は上演時間中ずっと雪が降っていて、何十センチも積もるといいんですけど。それが原発事故とか、現代の色んな問題に結びつけて受け止める事はしやすいんですけどね。でも、それは僕の役目じゃないんじゃないかと。僕は正直、明確な問題意識は強くなくて(それはコンプレックスでもあるんです。そもそも仕事も嫌いだし南の島で生きているのが一番向いていると思うんです)。「いまこういう問題が起こっていて本当はこういう事だからこうしなければならないんだ」というのが無くて。でも、今このテーマを選んだのは色々な配剤があったんです。だからこそ、製作を進めていく上で偶然が繋がっていくという感触を感じています。今現在のここ日本でも、色々なお客さんに見ていただきたいですね。

タグ: SeizeTheDay 失敗を許容する社会 自分は演出が向いているかも 実験と作品の価値 前衛は手法から作る人々を指す


好きにやらして擦り合わす

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そもそも、ちっくさんはどのような経緯で今回の演出に就任されたのでしょうか。
ちっく 
今回の企画というのが、芝居だけではなく、バンドのライブやパントマイムショー、講演会など、様々なイベントを複合した規模の大きいもので、今まで作・演出をしていた高間さんがプロデューサーとして専念する事になったんです。そこで、作品についての責任は僕が負うという事になったんですよ。
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笑の万博」ですからね。作品を任せられた時はどんなお気持ちでしたか。
ちっく 
今回、僕は内閣4回目なんですけど、これまで色々なポジションにいて、高間さんの演出と隔たりを感じていたんです。そこで、「俺がやる」と。
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名乗りを上げた、という事ですね。
ちっく 
はい。元々役者をやりたくて演劇を始めたんですが、自分自身が演出に志向が向いているなと思えてきたのもあります。
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今後、内閣ではどのような演出をしていきたいですか?
ちっく 
笑の内閣では、これまでプロレス芝居を3度も公演しているんですが、実はその時点でもう、芝居をやる劇団とは言えないような(笑う)。いわゆる、ショー・エンターテイメント集団として捉えてほしいと思っています。であれば、やっぱり分かりやすい演技・演出を心がけたいですね。何よりも、演出を含めた演者の考え方が理解しやすく、かつ楽しんで貰えるように作りたいと思います。
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分かりやすくて、面白いと。
ちっく 
芸術性の高い作品ももちろん好きなんですけど、楽しんでもらいたいというのが第一ですね。
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分かりやすい芝居というと、すぐに役者の個性を殺してしまいかねないキャラクター芝居を想像してしまいますが、役者に7割を任せて役者それぞれの演技を前面に出すという事であれば、それとはまた違った芝居が見れそうですね。
ちっく 
先ほども言いましたが、今回のような濃い面々と芝居を作るにあたって、好きにやらして擦り合わすという演出を取っています。
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なるほど。エネルギッシュな現場感が表現出来そうですね。

タグ: 新しいエンターテイメント 自分は演出が向いているかも 単純に、楽しませたい


何が役者から出てくるか?

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nono&lili.さんの前回公演、アトリエ劇研で上演された「ソニータイマー」。私は非常に面白く拝見しました。等身大の人間関係にメロウな雰囲気がほどほどに出ていて、いつまでも見ていたいような、でも終わってしまうんだ、という感覚がありました。青春ものでしたね。梶川さんは演出をされておりましたが、どのような事に気を付けておられたのでしょうか。
梶川 
あまり、その時のキャラの感情に対して指示などはしていなかったんですよ。これは途中で諦めたんですけど、感情とかそういうんじゃなくて、セリフのテンポとか間の詰め方とか、その時にどこを向いているかとか、そういう外面的な指示を与えた後に、何が役者から出てくるか? みたいな事をやろうとしていたんですけど、途中から扱いきれなくなってきて。
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なるほど。
梶川 
で、結局、その縛りはベースとして持ちながら、そこからは役者の方でどうにかしてくれ、という方向になりました。もう一度演出側に演技の選択を持ってこなければならなかったんだと思うんですけど、そのタイミングが公演時期と被ったんですね。演出側に引き寄せきれてなくて、作品のトータルを見たら散漫になっていた印象があるだろうなと。
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ちょっと整理をさせて頂きたいんですが。稽古の前期に演技の型を付けていって、それをまずは役者に落とすと。そこから、役者の体から何が出るか、という事ですよね。そういった方法は、これまでnono&lili. さんで培ってきたものなのでしょうか?
梶川 
いや、多分今回が初めてですね。
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では、どのような経緯で。
梶川 
これは多分、受け売りなんです(笑う)。鈴江俊郎さんが活躍されていて、その人達の作品が好きで始めているんですよ。で、その方法を鈴江さんのワークショップで見る事が出来たんですね。
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なるほど。
梶川 
僕が元々好きだったのがその方面であれば、まずは、そこで使われている方法を取り入れてみるのも悪くないだろうと。
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鈴江さんも、その型をきっちりと付ける事から始まる方法を使われていたという事でしょうか。
梶川 
どうなんでしょうね、ええと・・・。
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あ、そういったところに近づける為に考えた方法という。
梶川 
はい。演出・稽古のテクニックとして、そういう事だろうなと僕は受け止めたんですね。例えばその役がその時どういった感情を持っているかとかの抽象的な話をしていくと、どうしてもズレが生まれるんですよ。そのズレが面白い場合もあるとは思うんですけど、初期段階からそういう付け方をすると、落とし所がなくなってしまうだろうと。それよりは、もっと具体的な体の動かし方や呼吸から話をしていって、そこから作品を作っていった方が健全だろうと。
nono&lili.『ソニータイマー』
公演時期:2008年5月9日~12日。会場:アトリエ劇研。
鈴江俊郎氏
劇作家。演出家。office 白ヒ沼。
山岡徳貴子氏
劇作家。演出家。魚灯。

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