お祖母ちゃんの光景

__ 
ikiwonomuでは、どんな作品作りをされているのでしょうか。
黒木 
その人の生い立ちなどを聞くのが凄く好きなんです。それをまず最初にばーっと聞いて書き残して、面白かったエピソードを、ちょっと反映します。でも、「かつての風景」に関しては、大体わたし自身の話です。ちょっとずつ、お客さんが楽しめるように再構成して。
__ 
例えば。
黒木 
ウチの陽気なお祖母ちゃんの話かな。結構前から認知症で、私たち家族の事も忘れていて、今は施設に入ってるんです。でもお爺ちゃんのお葬式に、出席せざるをえないじゃないですか。私たちにとってはお葬式はしめやかで静かなものなんですけど、お祖母ちゃんにとってはライブ会場のようで、お坊さんの頭が光っているのを笑ったり、数珠のふさふさで遊んだり。家族としては思う所もあるんですけど、同時に、面白いなあと思ったんです。
__ 
というと。
黒木 
お祖母ちゃんからは、その時のお葬式はどんな風に見えていたんやろうか、と。違う風景が見えていたのかもしれない、と。それを、形を変えて今回の作品に生かせたら・・・。
__ 
黒木さんが伝えたい風景。それは根本的に、家族から来ている?
黒木 
そうですね。何年か前に引っ越したんですけど、その時の母のワクワク感とか、父が少し寂しそうだったり。そういうのが何か、良いなあと。
__ 
なぜ、家族の事を伝えたいと思うのでしょうか。
黒木 
何ででしょうね。そもそも、何で作品を作ろうと思っているのかな。でも、作らんとと思っていて。今のところ、テーマが家族になってしまう。そこにちょっと共感してくれる人がいた時、嬉しいというか、そういうものを通してのつながりが何だか好きなんです。

タグ: 引っ越し 家族という題材 焦点を絞った作品づくり


バラバラなのに共感を呼ぶ、その不思議

__ 
「日本海」、ユニット名の由来が気になりますね。
勝二 
飲んでいる席での話で、3人とも日本海地方出身だったので僕がポロッと言ったら採用されて。旗揚げのタイミング的にも色々丁度良くて、今年何かやろうという事になって。
__ 
脚本演出は勝二さんでしたね。
勝二 
実質的には全員で書いたようなものでした。まあ僕も書いてきたりはしてきたんですけどね、テンケテンケテンケテンケで。
__ 
ご自身としてはいかがでしたか。
勝二 
一応、目標は達成したんじゃないかと思っています。やりたい事はいくつかあって、動員も300超えて。意義はあったのかなと思います。
__ 
立ち上げたてのユニットでそれは素晴らしいですね。
勝二 
僕も色々ユニットの立ち上げに関わってきましたけど、残る作品になったと思います。
__ 
改めて、個人的にも大きい存在の作品でした。俳優の、家族についての実体験を彼自身が語ると、それを見ているお客さんも、自分の家族についてを思い出して心の中で語り始めるみたいな。そういう共有感があったように思います。
勝二 
これまで僕が書いてきた作品も、家族についてがテーマだったりするんです。割と引っかかる部分なんです。少し前、富山の劇作家コンクールにドキドキぼーいずが参加したんです。僕もキャストとして行って、その折に実家に帰ったんですね。すると実家がですね、兄弟家族がそこには居なかったり父も母も昔と比べると小さくなったりしてて・・・ああ、何年かしたらこの家族は居なくなってしまうんだ、それは受け入れないといけないんだと。一方、兄の家族は子供が生まれて、向こうは向こうで始まっている。
__ 
居なくなっていく家族もあれば、生まれていく家族もある。
勝二 
そういう話をしたい、男女5人ずつの10人で芝居を作りたいと小嶋君に話して、それから始まりました。
__ 
なるほど。
勝二 
でも、家族についての作品なのに、年配の役者さんが周りにはいなかったんですね。父親役とか母親役とか祖父母役が出来ない。なので、役者の語りから始まる劇中劇という形で演じるという演出になりました。そうやって家族の始まりから終わりまで描けたらいいなと。稽古でエチュードしたり皆の話しを聞いたりする内に、自分達の中での問題もそれぞれ発見して。
__ 
誰でもそれなりに問題を抱えているんですね。
勝二 
家族問題を他人の口から聞くと大ごとのように聞こえる。でも僕個人にもそういう問題はある。結局、どんな問題でも全部同じ質量を持っているんですよね。個人的には凄く勉強になった作品でした。(とはいえ、役者さんから聞いたものを直接的には使わなかったんですけどね。なんかそれは違うと思って。)
__ 
全く違う体験だけれど、かすってくる。その接点から投影が始まるような。
勝二 
そこまで狙ってはいなかったんですけど、引っかかって欲しいという気持ちでした。結果、お客さんの中にも受け止めて下さった方もいて。本当に嬉しかったですね。

タグ: 子供についてのイシュー 名称の由来 飲み会結成 家族という題材


vol.397 勝二 繁

フリー・その他。

2015/春
この人のインタビューページへ
勝二

理想の自分は演劇やってないんです

__ 
延命さんは、自分を変えたいと思った事はありますか?
延命 
ありますよ。理想の自分は、演劇とかやらずに働いて結婚して子供を産んで。
__ 
今からでも遅くないんじゃないですか。演劇をやりながらでも。
延命 
演劇をやるのは好きなんですが、本当は良くないという思いもあるんです。祖父母と住んでいたんですが、祖父の影響があるのかもしれない。
__ 
というと。
延命 
両親が共働きで、主婦といえば祖母、子供を叱るのはおじいちゃん。しっかりしなきゃという価値観があるんじゃないかと思います。
__ 
今は、ご家族はどう思っているのでしょうか?
延命 
まあ今は働いてるし、支障がなければ、かな。
__ 
支障というのは、結婚生活を仮定した上での?
延命 
どうなんですかね。その辺はあまり話したことがないので。祖父が落語は聞くので、祖父母は落語なら気にしないと思いますが。働いて、芝居やってて、家庭を持って、全部両立出来ていればそれが一番いいんですけど、どうやらそうじゃないぞ、と。

タグ: 家族という題材


夕焼け

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
危口 
今は、先程も話題に出た「注文の夥しい料理店」を12月に横浜で再演するので、その準備と、来年作る作品の準備を並行して進めています。父親と二人芝居をしようと考えています。
__ 
おお。何故お父様と。
危口 
うちの父親は画家をやっていて、抽象画を描くんですけど、かといって、ポロックなどの、戦後アメリカの抽象表現主義などには全然興味がないしそれほど勉強もしてないんです。絵画の歴史を、ある程度のところ、セザンヌ、マティス、クレー辺りでストップさせているんですよ、あえて。絵とはこういうものだと定義して、自分なりに活動してるんです。
__ 
アップデートをしていない。
危口 
一方僕は何やら、新しい世代というところにカテゴライズされているみたいで。果たして自分は、新しさや驚きを提供し続けるタイプなのか。それとも、これだと決めたらそれを追求し続けるタイプなのか。ある程度スタイルを固定化して、バリエーションを作り続けるのか。親父とそういう話をしてみたいです。

タグ: 関係性が作品に結実する 今後の攻め方 家族という題材


質問 丹下 真寿美さんから 鈴木 ちひろさんへ

__ 
前回インタビューさせて頂いた、丹下真寿美さんから質問を頂いてきております。「行き詰まった時に行く場所や、頼るモノはありますか?」
鈴木 
行き詰まったり寂しくなると、恥ずかしい話ですが、よく親とskypeでテレビ電話をしています。距離的にだいぶ離れているんですが、家族と喋るのは自分にとってはかなり大きいです。年に1、2回帰るぐらいなので、たくさん喋ります。地元の言葉全開で。親に喋ってもどうしようも無い事もあるんですけど。
__ 
愛情に囲まれた生活を送っている感じがしますね。
鈴木 
それはだいぶあると思います。この間まで教育実習に行ってたんですが、最後の日に生徒さんに喋った事が(ありきたりなんですけど)「人との出会いやつながりを大切にしてほしい」と言いました。本当に大切にしたいなと思っています。

タグ: 恥ずかしいコト 現動力 家族という題材


vol.318 鈴木 ちひろ

フリー・その他。

2013/春
この人のインタビューページへ
鈴木

私も父のように

__ 
目標にしている人はいますか?
小林 
父親かな・・・?父は凄いんですよ。親って絶対的なものなんで、そういう意味では母もそうなんですけど。
__ 
ええ。
小林 
父はひたすら寡黙な人で、ウチは5人姉妹なんですけど、家族を養うために一生懸命働いて。お父さんがいるから、絶対道は逸れちゃいけないと思うんですよね。
__ 
昔、娘=父親を疎んじるものという構図がありましたが、最近はそうでもないんですね。
小林 
子供を育てるという目的の為に仕事を辞めなかったし、私達に苦労もさせないし、そのお陰で私も芝居出来たし。だから、私も父のようになるのは前提ですね。好きな事をする前に、自分も責任を果たす。子供を育てるのを第一にしているのを良しとしている父親のようになりたいです。第一にしたい、という訳ではなく目的をしっかり果たすという意味で。

タグ: 子供についてのイシュー 一生懸命を描く 家族という題材


vol.310 小林 由実

フリー・その他。

2013/春
この人のインタビューページへ
小林

質問 高橋 志保さんから 春野 恵子さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせて頂きました、高橋志保さんから質問を頂いて来ております。「表現活動を続けていくと、同世代の人がどんどん辞めたり変わっていったりします。それでも続けていく中で、持ち続けたいポリシーはありますか?」
春野 
この歳で私、浪曲界のぺーぺーなんですよ。どんなに下手くそでも、一生懸命やっていれば何とかなるだろうという・・・ある意味低い志で始めたんです(笑う)。でも、浪曲に出会った時に、「私は、これを一生続ける」という決心で入ったんです。
__ 
そういうものに出会えるのはとても幸せな事ですよね。
春野 
そういうものに出会わないうちは、自分の人生は始まってもいないし、生き始めてもいないんじゃないかって思っていました。何も知らない世界に飛び込むのも無謀だとは思うんですけど、でも、そこまで散々悩んで来ているから。出会えるのも稀ですからね。だから、ずっと続けていこうと決心しました。
__ 
素晴らしいと思います。
春野 
それに、出来なくて当たり前・一生続けていれば何とかなる、というぐらいから始まっているので。だからこそ、応援して下さるお客様を裏切れないし、人並み以上にお稽古しないといけないんです。・・・幸せな事に、浪曲の世界に入って、「私には違うかも」って思った事が一度たりともないんですよ。
__ 
それは素晴らしい。しかし、一生のものに出会えるのがまず奇跡ですね。
春野 
母の育て方があるかもしれませんね。母は、「女性らしく結婚しなさい」とか、「子供を産みなさい」とかはあまり言わないんです。自分の一生を賭ける仕事を見つけなさいって言ってくれたんですね。まさか、浪曲師になるとは思わなかったでしょうけど(笑う)。
__ 
大変でしょうけど、仕事が楽しいというのはとても幸せですね。
春野 
やりがいがありますよね。だから、もう少し上手くなりたいですね(笑う)。私の場合は全然出来ないところから始めたので。お客様も「上手になったね」って仰って下さるんです。最初に比べてこんなに伸びてます!って感じかな(笑う)。
__ 
お客さんも、そういう成長ってとても嬉しいと思いますよ。次の質問です。「2.表現活動をやめる事について、考える事はありますか?」
春野 
才能ないんだろうなあと考える事はあるんですけど・・・でも、無くてもがむしゃらに努力するタイプなんです。才能ある人だけしかやっちゃいけない訳でもないと思っています。
__ 
どのようなパフォーマンスを発揮出来るかは、才能とか頭の良さだけじゃないですからね。
春野 
結局は結果を出さないといけないというのはあると思うんです。だけど、私は誰かの評価よりも自己評価を大事にしているんだと思う。どんな風に頑張ったか、どれだけ上の段階に進めたか。誉められても、自分の中でだめだったら「もっと頑張ろう」と思うし。そこに重きを置いてるからこそ、やっていけるんだと思いますね。
__ 
なるほど。
春野 
簡単に納得できるタイプじゃないし、不器用なんです。でも、だからこそ面白いんだと思うんです。積み重ねていって、変わってきてると思います。ずっと続けていきたいですね。

タグ: 一生懸命を描く その人に出会ってしまった ジェンダー・女性らしさ 家族という題材 女性的、それはなにか


vol.217 春野 恵子

フリー・その他。

2012/春
この人のインタビューページへ
春野