質問 佐々木 誠さんから 石畑 達哉さんへ

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前回インタビューさせていただきました、佐々木誠さんから質問を頂いてきております。「役作りのアプローチとして、どこから近づいて行きますか?」ちなみに佐々木さんは、体から入っていくそうです。
石畑 
体はすごく大事ですね。僕も体から入っています。それから、お客さんにどう見られるかという事があるじゃないですか。どういうキャラクターであるか、そのためにどんな動きをしないといけないか。どのように発声しなければいけないか。体と言葉を大事にします。その上でいかに遊ぶか。体と言葉という土台を作って、そこを出発点に派生させていくというイメージですね。
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自分との共通部分を探していくんじゃなく、役がどんな体であり言葉を発するかを探る?
石畑 
そこを構築して、ダメを受けて、また考えての繰り返しです。そのダメというのが、自分がどう見られているかの答えなんだと思っています。だからとても大事に聞いています。そこから、如何に自分を動かしていけるか。

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切れない力

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いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか。
東  
細かいところまでしっかり演じられるようになりたいです。目線一つ、動作一つでも、見てる時は見てるんだなあと思った事があったんです。「2時間に及ぶ交渉の末」の時、見せたいつもりでもなかったのに心情的にやった演技があって、多分最前列のお客さんが気付いてtwitterに書かれたんです。それが面白いと書いて下さって、深いところまでこだわった演技が出来るようにになりたいです。
__ 
それはどんな演技だったんでしょうか。
東  
杉原演じる劇団の代表に、劇団員の女優を演じる私が告白するというシーンでした。付き合うのかどうするのか、という返事を待っている間、ずっと自分の手を握っていたんです。
__ 
ええ。
東  
その時にツメをずっと手に食い込ませて、そうしないとホンマにワーっとなりそうだったので、感情的に。それが、手を離した時の爪の跡が印象的だと書いて下さったんです。
__ 
へー!凄い。ちょっと怖いぐらい凄い。
東  
逆に、そんな細かいところまで見てくださっているんだから気をつけないといけないし、お客さんがいまどこを見ているか、というのにも神経を配らないといけないんだなと。
__ 
ああ、お客さんの視線を想像する事。
東  
大学の時にも、例えばセリフが終わったら自分が喋り終わったら気を抜いてしまう人とか、客席に背中を向けている時は顔が素に戻ってたりとか、そんな人もいて。後ろを向いてても感情が切れていない、気持ちが続いている、私はそういう役者になるべきなんじゃないかと思っています。
__ 
いつ頃からそういう事に気を付ける用になったんですか?
東  
ずっとですね。周りに「お前ってそういう事あるよな」と言われて。でも、客席に振り返ったら役柄の感情が戻っている、そんな人こそが役者なのかもしれないです。昔、何で読んだか忘れましたけど、ある歌舞伎役者の凄い人はお客さんを泣かせる演技をやってて、でも舞台で背を向けたら同じ板の上に立っている役者に「やったったで」みたいに舌を出す人もいれば、TVドラマで役に入り込みすぎて、「こんなセリフ言えません」って言う人もいる。どっちも凄い役者だと思うんですよ。私は舌を出せないので、入り込む方かなと思います。
__ 
市原悦子さんは主演ドラマで、撮り方にももの凄くこだわって、監督と打ち合わせをしながら撮影するらしいですね。少なくとも、演技者って、演技を作った上に、それに確信を持って決めるのが仕事なんだよなあと思うんですよ。細かいところまで決めるというのは、そこまで確信を持てている証拠だと思うんですよ。それが役者としての責任なんでしょうね。

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質問 夢子オンデマンドさんから 松下 あゆみさんへ

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前回インタビューさせていただいた、夢子オンデマンドさんから質問です。「演技する上で心がけている事はなんですか?」
松下 
えー。なんでしょう。月並みな事しか言えないかも。
__ 
たしか公式HPには、松下さんはスタニスラフスキー信者だと書いてますね。
松下 
あれ勝手に書いてるんですよ、もうー。スタニスラフスキーは高校の頃から勉強していて。でも毎日やってる訳じゃないんで信者とか言われても。
__ 
例えば、「おしゃれな炎上」の時は肉屋の娘役でしたね。実父にレイプされて家出する・・・
松下 
「おしゃれな炎上」は反省点が多くて。まず、私と父役の子は家族になれてたのかなと。そういう部分をきちんと自分の中で考えておくのはもちろん大事なんですけど、それは舞台上では忘れないといけないのかなと。舞台上で役の設定を考えてしまうと、見られているという自意識みたいなものが、役である事に影響を与えてしまうのかなと。
__ 
忘れた方がいい?
松下 
そうですね、私・松下あゆみという役があるとしたら、私を演じる役者さんはその役(22歳女)の全ての蓄積を意識するとは思えないんですよね。これまでに過ごしてきた蓄積や時間によって仕草や言葉が生まれるんですけど、でも、そういう仕草や言葉を、例じゃない私松下あゆみが意識しているかというとそうじゃないんです。でも私を演じる役者さんは意識しないといけないんですけど、舞台にあがった時にまで意識しているかというと、していたとしてもそれはその役者さんの蓄積や意識なんですよ。
__ 
役者本体と役者の役作りは漸近するけれど条件的に重ならない、ということ?
松下 
役作りした上で、それぞれの意識を深く見れるようにしたいんですよ。どうしたらいいですか?
__ 
スタニスラフスキーはどういうアプローチをしたんですか?
松下 
善人を演じるには、その人物の悪人の部分を見つけろ、って書いてて。でも、簡単に結論を急ごうとは思ってません。スタニスラフスキーは膨大なシステムなんですけど、長い時間に渡って考えが変わっていった部分もあるんです。私、勉強が終わるまでは結論を出さないようにしておこうと思います。

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踊る

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北尾さんにとって、魅力的なダンサーとは。
北尾 
身体だけじゃなくて、魂を捧げているように踊る人ですね。僕は振付をする時、テクニックとビジュアル面と、ダンサーの体幹のバランスを考えてやっているんですが、今年ソロ作品を一本作った時に客観性がどんどん入ってきたんですよ。振り払いたいなあと思っても中々出来なくて。そうした視点を払拭して踊れる方は凄いなあと思いますね。
__ 
結論ありきで舞台に出て行くと、観客と対立を起こしかねない、みたいな事を小林欣也さんと話していまして。日常生活も同様、対話する時にこちらが結論を念頭に話すと上手くいかない。相手と何かをやりたいんだったら、そういう姿勢を取らないといけないんだろう、と。
北尾 
でも、見られる事についての意識も持たないといけない。それを超えたところに、魂で踊れるダンサーの姿があるんじゃないかなと思いますね。

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「くっ」

九鬼 
最初に演出をした時、お芝居の中で、女の子に性的な意味で負荷の掛かる主張をさせたんですね。学級会という設定でその子に辱めを受けさせたんです。その子以外はドン引きしている状況で。で、その子を結果的に責めることになってしまう役まわりの女優がですね、「くっ」ってその子から目を反らしたんです。みてられない、みたいな顔をして。私は、それは違うと思って。信じられないものを見る目でその子を見なさい、と指導しました。直後の返し稽古で、見られた方の子が泣き出して。それが凄く楽しくて、恥ずかしい台詞を言わせたことだけじゃなくて、彼女が周りの視線によって惨めになって泣かせることができて嬉しかった。後で本人に聞いたら、惨めで仕方がなかったって。
__ 
すばらしい。
九鬼 
そういう出来事が嬉しかったですね。後輩の女の子を泣かせて、ひどいんですけど。
__ 
お芝居の稽古というか、人間性に直近したというのが大きな成果なんでしょうね。
九鬼 
そういうのをもっとやっていきたいなあと。役者が、役者として深く潜ってくれるのは、わかっていて。その結果、惨めな子が可哀想で、「くっ」とやろうと思って、稽古で見せてくる。それに、違和感を感じて、この違和感って何だろう、むしろ逆に視線を逸らさず、見た方がいいんじゃないか。結果惨めさがアップする。なんかそう言う風に作っていけたら。そうした葛藤の全てが最後の最後に決着を見て、ストレスが解放されるというのがいいですね。でもいま努力クラブで全然別の価値観を見させられているので・・・正解っていっぱいあるんでしょうね。価値観は一つだけってわけでもないですから。

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転転

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今後、どんな感じで攻めていかれますか?
高橋 
自由度を上げていきたいですね。私、基本的に周りの人と比べて、萎縮しているところから始まってるんですよね。自分がどう見られているか不安になったり。
__ 
なるほど。
高橋 
そういうのはだいぶ無くなってきているけど、まだ自由ではないと思うんですよね。海外に行ってどうなるか分からないんですけど、向うに行ったら、日本の良さを伝える仕事がしたいかな。向うで演劇活動はどうなるか分からないですけど・・・。やりたい事=100%演劇じゃないんですよね。だから劇団も、一度も入った事がないし。いや、入りたくなかった訳じゃなくて。入るタイミングが無かったんですよね。
__ 
各地を転々としていますね。
高橋 
そうですね。映画も演劇もするし、
__ 
会社員にもなったし。
高橋 
何がしたいの? って言われるんですけど、一個に絞れないというか。別に絞らなくてもいいかなと。
__ 
そうですね。
高橋 
そう思えるようになったのも最近ですけどね。一つの事を追求する人は凄いなと思うし、影響もされるけど。
__ 
一つの劇団にずっといて、追求し続けるのってものすごい業だと思うんですよ。
高橋 
うん。
__ 
でも、何だろう。芝居を辞めた人が戻って来やすいようであればいいなあと思っています。もちろん、芝居に触れた事のない人でも始めやすい感じ。
高橋 
私もそれは思いますね。是非、一つの世界に固まっているおじさん世代にやってもらいたいですね。知らない自分に出会えると思います。

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vol.216 高橋 志保

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2012/春
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高橋

気持ちを動かせる役者に

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今、渡辺さんがイッパイアンテナを続けている理由とは。
渡辺 
自分と劇団に満足していないからです。もっと面白くなれると思います。
__ 
今後どんな感じで攻めていかれますか?
渡辺 
共演者もお客さんもワクワクさせられるような、気持ちを動かせる役者になりたいですね。子供の頃からバレエをやっていて。先生からは、舞台に立つときは常にお客さんの為にやれと教えられてきたんです。今は演劇ですが、お客さんに見られている時にどういう風に見えているか、まずは身体がどういう風に見えているかを意識して、さらに共演者にもそれが伝わるような表現が出来る体を作りたいです。
__ 
次回公演の「討ち上げベイベー」。初の東京公演ですね。
渡辺 
はい。どういう反応なんだろうなあー。京都公演から1ヶ月以上空くので、色々整理して考えながらの稽古になると思ってます。その稽古は、すごく有意義なものになると思います。
イッパイアンテナ12th session「討ち上げベイベー」
公演時期:2011/11/24~27(京都)、2012/1/13~15(東京)。会場:ART COMPLEX 1928(京都)、王子小劇場(東京)。

タグ: バレエやってた 今後の攻め方 東京公演前夜 見られている事を意識する 自分は何で演劇を


接点

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劇団のポジショニングについて。KYOTO EXPERIMENTのシンポジウムでこういうテーマがあったんですが、劇団が演劇村及び社会の中で生きていくには、自分たちがどういう団体であるのかを作ってプロデュースする事を意識していくべきだという話がありました。トリコ・Aは、どのような団体でいたいですか?
山口 
うーん。常に、演劇を全く見ない人たちと関わっていたいですね。活動を続けていると、どうしても狭いしちっちゃいから、その中で自分がどういう風に見られているかを意識し始めると勘違いを起こしやすいから。それを避けるために、全く関係ない人たちとの接点を持っていたい。「演劇活動をしています」という事を声高に言うんじゃなくて。
__ 
大事な事ですよね。
KYOTO EXPERIMENT
KYOTO EXPERIMENTは、京都国際舞台芸術祭実行委員会(京都市、京都芸術センター、公益財団法人京都市芸術文化協会、京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター)が主催する、国際舞台芸術フェスティバル。(公式サイトより)

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主観的

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仮説なんですけど、ホモセクシュアルという文化は世間から「あいつらはとってもエッチだぞ、とにかく閉鎖的で、気持ち悪い異質だぞ」という目で見られているんじゃないかと。
田中 
ええ。とくに日本ではまだ。
__ 
しかし男性が恋愛対象として男性を見るというのは、実際は全く不思議な事ではない、むしろ男性が男性の良さを理解する事は至極当然の事かもしれないんですよね、まあ仮説なんですけど。
田中 
なぜプライヤーがルイスを好きなのか、自分とは真逆の人を好きになるという構造なのかと最初は思ったんですけどね。今は、主観的な目線を見つけたいですね。
__ 
主観的な目線?
田中 
俳優としてこうしてやろうとかじゃなくて、まずそのシーンは何なのかとか、ルイスって何なのかとか、そういうものを見つけてからじゃないと、演技するときの視線なんてわかんないのかなと思います。
__ 
逆に、そうした視点を見つけ出せた時には、役を演じる上で必要な事が揃っているんじゃないですか?
田中 
そうかもしれません。が、僕が演じるプライヤーも人間なので。捉え方は固定出来ないんですよね。
__ 
他の俳優が複数の役を持って多面性を持っているように。

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演出家さんは人を見る

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山本さんの、稽古のやり方とかを伺えれば。
山本
うーん。そうですね。当たり前ですけど、ひたすら稽古ですよね。疲れてくると、うっかり手を抜いてしまうじゃないですか。何回も同じシーンをやると飽きてきたりとか。だんだん中身を置いてきて形だけでやってしまうとか。そういう状態に陥っても、何か新しい発見をしなきゃねっていう。そういう事は、競演の役者さんとも話しますね。
__
なるほど。ところで山本さんは、どのような役どころをよく振られるのでしょうか。
山本
こう見られているだろうなというのは、私は基本マイペースで、運動神経が良くないので。舞台上で激しい動きがあんまり出来ないんですよ。ダンスとか100%ムリですね。だからか、のんびりした人みたいなキャラを当てられていたりしていたので、そういう風に見られているんだろうな、というのは分かっていたんですけど。鈍くさかったりボーっとしたりする役をやっていて、正直やりやすかったんですが、最近、演出家さんによって見られ方が違うという事に気づいて。
__
というと。
山本
田辺剛さんという方の演出を受けていた時は、もっと自我の強い女をやってくれと言われたり、アルケミストでは少年の役をやったり、PASSIONEさんでは毒舌キャラみたいな。蟻蛸蛆さんからは、「山本さんは笑いながら人を刺すみたいなのが絶対いいんだよ」って言われて、今までやった事がない、リーダーシップを取るような女の子をやりましたね。
__
忙しいですね。
山本
そんな感想(笑う)? でも、こんなにも見方が違うのか、と思いましたね。演出家さんって、人を見るじゃないですか。山口吉衛門さんの演出だったら、もっと汚くやるのがいいよ、みたいな。面白いなあって。

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vol.71 山本 麻由美

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2006年以前
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山本