エンドマーク、スタートライン
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- ・・・「ゼクシー」の話に戻りますが、正直、ミジンコターボの作品として、最も人間性を感じたんです。ネガティブな事をポジティブに変換したミジンコターボの作品作りはとても好きでしたが、同時に、この人達は眩しすぎて直視出来ない、とも思っていました。でも、例えば病室で感じた孤独感をそのまま作品に持ち込んで、それが誰かの琴線に触れるような作品が拝見出来るとは思っていなかったんですよ。意外だと思うと同時に、何だか嬉しかったです。
- 片岡
- そうした感想を頂けるのは嬉しいです。僕にとっては新天地だったので。
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- 面白かった上に、泣けたという感想もあったみたいですね。
- 片岡
- 最後のシーン。プロのバイオリニストの方がシンちゃんの亡き父親役で出演して下さいまして。そのシーンのリハーサルで僕は演出なので前から見させてもらったんです。主人公なのに。でも僕抜きでも成立していて、押し寄せてくるエネルギー量がね、バイオリンが良かったという感想だけだったらどうしようと思いました。
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- なるほど。
- 片岡
- これ裏話なんですけど、隙間の時間に、僕と音響王子とそのバイオリニストの方だけで音響のレベルチェックをしていたんです。アイデアとして、「本当はお父さん、めっちゃ下手なバイオリニストだったという設定はどうか」と。実際に音を外してみて貰ったら、やったらめっちゃ盛り上がりました。
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- それはちょっと泣けますね。そんな事をやったんですか。
- 片岡
- 人間としてはそれが普通かも。上手だったら出来すぎやろう。下手くそやったんやお父さん!でも、それやったら意味あらへんがな、と。
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- 天国にまで行ったのに。それは逆に出来すぎですね。
- 片岡
- これは泣けるけど、そういう人は少ないやろうなという話になりまして。結局、丁寧に弾いて見ただけました。
ライブの翌日
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。岡田さんは、悪い芝居のメンバーで、音楽をなさっているんですよね。入団は1年程前、役者としてステージに上がられている姿も拝見しました。昨日は劇団とは別で結成しているバンドJamokashiが参加するライブだったそうですね。いかがでしたか?
- 岡田
- めっちゃ良かったです。その後、朝まで飲んでました。これ、昨日のイベントのチラシです。
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- あ、Jamokashiの名前がありますね。
- 岡田
- その界隈ではそうそうたるメンツの人たちとやれました。刺激的な時間でした。
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- ざくっとした聞き方ですけど、Jamokashiではどのような音楽を作られるのでしょうか。
- 岡田
- レゲエをベースにした、DUBの要素も取り入れた歌ですね。こういう曲です。
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- ありがとうございます。
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- (ヘッドホンを外す)いい曲ですね!ここでこういう音が来てほしいという気持ちがあって、そしてその期待を裏切らずに乗せてくれる感じがします。それも、予想しないような、ユニークな音で。
- 岡田
- 面白い事はしたいという気持ちはありますね。ギターを使っているんですけど、途中でバイオリンの弓で弾いてアクセントを加えたり。
- ※悪い芝居
- 2004年12月24日、旗揚げ。メンバー11名。京都を拠点に、東京・大阪と活動の幅を広げつつある若手劇団。ぼんやりとした鬱憤から始まる発想を、刺激的に勢いよく噴出し、それでいてポップに仕立て上げる中毒性の高い作品を発表している。誤解されやすい団体名の由来は、『悪いけど、芝居させてください。の略』と、とても謙遜している。(公式サイトより)
- ※悪い芝居vol.13『カナヅチ女、夜泳ぐ』
- ドラム&ベースが絡み作り出すビートの上でリズムを刻むギターとキーボード。フルート、シンセが遊ぶメロディーに浮かぶヴォーカル!ルーツを独自に解釈し再構築された新しい音楽はJamokashiでしか鳴らせない、彼らにしか響かす事のできないアンサンブル!岡田太郎(Gt./Vo.)楠野遼(Key./Cho.)ボーイミーツマドカ(Fl./Synth./Cho.)クロ(Ba.)井下祥平(Dr.)の様々な分野で活動している5人からなる歌モノ、インスト関係なく、チルアウトにも、ダンスにも、メッセージを伝える為にも、素敵な音をルーツから広めて行くためにも日夜オシャレにアートにROCKなVibesをDigし続けるバンド。それがJamokashi。2011年5月、バンド結成初ライブをいきなり初の自主企画イベントとし東京からRiddimates、京都のAYA OTO WORLDをゲストに迎え大成功に収める。その後も主催イベント”Riddim Jam”にてワンダフルボーイズ、AYA OTO WORLDと共演するなども精力的に活動を続けている。(公式サイトより)
子供鉅人 演劇公演ツアー 2011 バーニングスキン※
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- 今日はどうぞ、宜しくお願いします。
- イガキ
- お願いします。
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- イガキさんと言えば、劇団子供鉅人※の舞台上で演奏されているイメージが強いです。上演中にバイオリンを演奏している姿がカッコいいんですよね。
- イガキ
- ありがとうございます。
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- 次の子供鉅人は「バーニングスキン」の大阪公演。イガキさんは楽曲提供ですね。
- イガキ
- はい。実は東京公演に合わせて楽曲を作る事になっていたのですが、本番近くになるまで台本が未完成だったんですよ。だから、なおさら想像力を働かせないと曲を作れなかったんですよね。
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- それはスリリングな。
- イガキ
- はい(笑う)。大阪の方もいい公演になったらいいな。
- ※たゆたう
- にしもとひろこの心に入り込む鮮やかなうたと、イガキアキコのサウンドスケープ・パレードなヴァイオリン・おもちゃによる、天真爛漫アコースティックユニット。2人ゆえの自由度の高いパフォーマンスから創り出される圧倒的な世界観に、見たことの無い景色が見えたり、気づけば涙を流していたという人が続出するライブは必見!音楽と人と場所をつなげることをモットーに、その活動は保育園から野外イベントまで全国津々浦々、様々な場に展開している。2008年に1stアルバム「いちにちのながさをはなうたできめる」をcompare notesよりリリース。現在、2ndアルバムを鋭意製作中。(公式サイトより)
- ※子供鉅人 演劇公演ツアー 2011 バーニングスキン
- 公演時期:2011/8/26~31。会場:芸術創造館。
- ※子供鉅人
- 2005年、代表の益山貴司、寛司兄弟を中心に結成。奔放に広がる幻視的イメージを舞台空間へ自由自在に紡ぎ上げる。(公式サイトより)
質問 小中太さんから イガキアキコさんへ
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- さて、子供鉅人の女優、小中太さんから質問です。「1.今、何が欲しいですか?」
- イガキ
- 新しい体かな。若返りとかじゃなくて。自由な体が欲しい。腰痛とか肩こりがあるので、この夏は整体に行く予定です。上半身が左に歪んでいて、バイオリンを構えるとバランスが取れるようになっちゃって。
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- なるほど。「2.ハンドミキサーいりませんか?」
- イガキ
- もう持っています。残念でした。
2009年5月公演「キッチン・ドライブ」※
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- 「キッチン・ドライブ」も凄かったですよね。面白かったです。1か月のロングランでした。
- 樹木
- 体力的にしんどかったですね。実は3か月間ぐらいやってたんですよ。
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- え?
- 樹木
- 実は本番終わった一か月後に、ビデオ撮影をしたんです。暑かったです。
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- ああ、季節的にそうでしょうね。撮影の時は、ゲストは誰だったんですか?
- 樹木
- あ、ゲストはいなかったですね。寛司くんが踊りました。
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- キッチン・ドライブのゲストといえば、イガキアキコさんが凄かったですよね。
- 樹木
- あの人は凄いですよね。
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- あの人は凄いです。あの人の、バイオリンを弾く後姿がめっちゃかっこいいですよね。
- 樹木
- あとはあふりらんぽのオニさんとピカチュウさんがすごい面白かったです。エンターテイナーだから。楽しかった。
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- 樹木さんは「サトリ」という、同棲中の女役でしたね。いかがでしたか?
- 樹木
- あの話は一幕物で、嘘みたいな事件が起こって、最後にふといなくなるという終わり方で。
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- ええ、最後に謎めいた消え方をしましたね。
- 樹木
- あの消え方を見せるために、だんだんとポコペンでのパーティーの空気に溶け込まないといけなかったんです。キッチンドライバーが来て、心を動かされて、パーティーの登場人物にならないといけない。
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- なるほど。
- 樹木
- それが出来た瞬間は何回かあったんです。一回、本番中に電話が掛かってきたんですよ。会場のポコペンに。その電話に出て、サトリの役として「今、パーティーしてるんです」って言えた時にああ、こういうことかって。
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- それは凄い体験でしたね。
- 樹木
- 期間が長いぶん、演劇との付き合いも長い時間でした。練習・本番・撮影合わせると3か月以上ポコペンでキッチンドライブの中にいましたね。
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- そう考えると、環境の力は凄いですね。
- 樹木
- 設定や装置の力は大きかったと思います。
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- それをドグマ95的映画のように見せるというのが、凄く演劇的に正しいように思えた舞台でした。
- ※子供鉅人2009年5月公演「キッチン・ドライブ」
- 公演時期:2009年5月2日~24日。会場:カフェバー・ポコペン。
ほそぼそとでも、こつこつとでも
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- 今後、「かえるくん」は再演を重ねていきたいとパンフレットにありましたが。それはどのような狙いがあるのでしょうか。
- 豊島
- 色々あります。前に音楽が弾ける人と共演したことがあるんですけど、そういう技術って財産だなと思ったんです。バイオリンをぱっと弾けたりとか、その人のもので。役者は一回一回稽古する必要があるんですね。それはすっごくすっごく好きな作業なんですけど。
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- ええ。
- 豊島
- 一つの舞台作品を自分の一つの仕事にして、人に喜んでもらえるようなレパートリーを持ちたいですね。元関西芸術座の新屋英子さん※という女優の方が、2000回以上一つの作品を続けられたという自伝を読んだことがあって、素敵だと思ったんですね。ひとつの作品を再演し続けたら、その先があるんだと思うんです。一回一回の作品が通過点であり、到達点である、過去のものが低いということではなくて。
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- なるほど。では、豊島さんご自身は今後、どんな感じで。
- 豊島
- ほそぼそとでも、こつこつとでも。かえるくんは、ちょこんちょこんと続けていきたいですね。友達の家でやるというお話も出ているので。そんな感じでも出来たらいいなと思います。でもやっぱり、お芝居したいなと。
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- ええ。
- 豊島
- 相手がいて、会話をしたいですね。そういうお芝居の稽古って、ジャンプしていくというか。ドキドキするんですよ。人とやると、やはりそういう面は強くなりますね。
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- 会話もやっていきたいと。
- 豊島
- はい。
- ※新屋英子さん
- 女優。劇団野火の会。ひとり芝居「身世打鈴」の再演を1973年以来2000回重ねる。