水色の出会いと別れ

__ 
さて、Dance Fanfare Kyotoですね。元・立誠小学校を中心に一つのダンスショーケースであり、中にはトーク企画も用意されていますね。このインタビューもまた一つの対話になるかもしれませんね。さて、Dance Fanfare Kyotoの呼びかけ人、きたまりさんに伺いたいのですが、発起の経緯を教えて頂けますでしょうか。
きた 
2012年に「We dance」という企画を京都で開催する事になって。私がプログラムを組んだんですよ。演劇の演出家は多田淳之介、筒井潤、相模友士郎の三者にダンサーを演出してもらいました。それに関西の若い振付家にも声を掛けて開催したんです。そしたらすっごく反響が良くって。私自身も面白かったんですよ。実は私、ちょうどその時期ダンス面白くないなーって思ってて。そんな時にそういう企画に携わったことで、ダンスの面白さを再確認したし、こういう企画は続けなきゃいけないんだなと思って。「We dance」は母体が横浜なので、京都では新しく「Dance Fanfare Kyoto」を立ち上げたんです。
__ 
反応が良かったんですね。
きた 
お客さんもそうだし、関西のダンサーも、「全然こんな作品の作り方は知らなかった」と。前のめりで作品作りに挑んでくれて。あとその前後の時期に私が演劇の人と仕事をしていたというのもあって、演劇の人をダンサーに出会わせたかった、繋げたかったというのもあったんですね。
__ 
「繋げる」。確かに、1回目からそうした試みの企画はあったと思いますね。「ねほりはほり」とか。
きた 
「ねほりはほり」をディレクションしてくれた和田ながらさんは「We dance 京都 2012」を手伝ってくれて、その後に京都で新しくそういうものを立ち上げようと相談したら「振付家の言語性の無さが一番の問題だと思います」と言ってくれて。振付家にとにかく作品の話をさせるという企画が立ち上がったんですよね。
__ 
さすが。Dance Fanfare Kyotoはコミュニケーションをプロデュースするところがあるのかな。
きた 
やっぱり人って対話しないと出会えないじゃないですか。作品を見るだけでも出会えるかもしれないですけど、本当に出会うってお互いを知る事だと思うんですよ。相手の事を知って私の事も知ってほしい。コミュニケーションってそういう事だなあと思っています。作品を作って発表するだけだとそういう事って少ないじゃないですか。どっちも一方的な関係性(こう思ったからこう作った、作ったものを見てこう思った)でしかない。もうすこしそこは、違う形があるのではないか。そう思ってトーク企画は重要視しています。

タグ: イベントの立ち上げ ショーケース 筒井潤


KAC Performing Arts Program きたまり×白神ももこ×筒井潤 『腹は膝までたれさがる』

__ 
今日は、「腹は膝までたれさがる」の本番をさきほど終えられたばかりの白神さんにお話を伺います。よろしくお願いします。最近の白神さんはどんな感じでしょうか。
白神 
よろしくお願いします。この間までFESTIVAL TOKYOでダンス作品の振付をやっていたのですが、この一ヶ月間は京都に滞在して、ダンサーとして集中できて、良い機会だったなと思います。充実してますね。
__ 
すばらしい。
白神 
東京で自分のカンパニーの作品の製作をしているんですが、打ち合わせやら何やらと色々付いてきて、毎日踊れるってあんまり無いんですよね。京都でも色々ありますけど、自分の身体にじっくりと向き合える日々だったと思います。体調がいいです。
__ 
その滞在期間は、書斎みたいな感覚だったのかもしれませんね。自分の仕事に没頭出来るみたいな。
白神 
そうですね、煩わしいことが無くて。作家さんが旅館に缶詰めになるような感じもあります。いま宿泊しているところも色々な人がいて、吸収する事も多いですね。
__ 
創造環境としての京都。終電が無いとかの点がまず有利ですよね。
白神 
狭いですから、自転車で行き来できますしね。きたまりさん筒井さんとじっくり話したり、時間を多めにとって取材に行ったり。一人の時間も持てたし。
モモンガ・コンプレックス
2005年に活動開始。現実世界から踊りが炙り出されてくるような、人間らしさがにじみ出るユーモラスを味としたパフォーマンスを得意とする、ダンス・パフォーマンス的グループ。世界のはじっこにある些細な存在やできごとも価値ある愛すべき存在として捉え、ちょっとおかしな人たちが、ゆるーく微妙に笑える空間を作り出したりしている。倉庫や体育館などで転々と公演していたが、2008年4月~2011年3月は埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみを拠点に活動するキラリンク☆カンパニーとして活動。同劇場での公演のほか、小学生や高校生を対象としたワークショップ、中学校の卒業式・市役所・地域のお祭りでのパフォーマンスなどをおこなう。(公式サイトより)(公式サイトより)
KAC Performing Arts Program きたまり×白神ももこ×筒井潤 『腹は膝までたれさがる』
公演時期:2014/12/12~14(京都)、2015/1/16~18(横浜)。会場:京都芸術センター 講堂(京都)、のげシャーレ(横浜にぎわい座 地下2階)(横浜)。

タグ: 色んなものを吸収 今の作品に集中する きたまり 創造環境としての京都 筒井潤


好き放題

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。筒井さんは最近、いかがでしょうか?
筒井 
おかげさまで、忙しくさせてもらっています。まあ順風万帆でもないという感じかな。
__ 
私は逆境に立たされているというのが結構好きなんですけど、筒井さんはいかがですか。
筒井 
そうですね、そもそも演劇を選んでいる時点で、この現代社会においては逆境なんですけれども、もっと具体的には、なかなか自分がやりたいことを認めてもらえなかったり、賞をもらってから数年経って、昔ほどやりたい放題ではなくなっていたりして。それは僕のせいでもあるんですけど。
__ 
好き放題出来なくなっている?
筒井 
昔はお金の事なんか全く気にしないで作品を作っていたんです。すごい借金して公演を打ってたりしてました。それだけじゃ難しくなると思って方向転換をしていきました。やりきった感と共に辞めるのならともかく、お金の融通が効かなくなって、どうしようもなくなって辞めるのは避けたいです。
__ 
なるほど。
筒井 
ただ、やれる範囲でものを作るという事が習慣化されていくという弊害にも直面していて。発想力が上演空間に収まっていて、それを破るようなキテレツなアイデアが生まれにくくあるんじゃないかというのが、自分が生んでいる逆境といえるのかも。悩んでいるという訳じゃないんだけど。いまは活動の継続性を確保しつつ、発想力が劇場に収まらないようにするやり方を模索しています。
dracom
1992年、dracomの前身となる劇団ドラマティック・カンパニーが、大阪芸術大学の学生を中心に旗揚げ。基本的には年に1回の本公演(=「祭典」)と、同集団内の別ユニットによる小公演を不定期に行う。年に一回行われる本公演では、テキスト・演技・照明・音響・美術など、舞台芸術が持っているさまざまな要素をバランスよく融合させて、濃密な空間を表出する。多くの観客に「実験的」と言われているが、我々としては我々が生きている世界の中にすでに存在し、浮遊する可能性を見落とさずに拾い上げるという作業を続けているだけである。世界中のあらゆる民族がお祭りの中で行う伝統的なパフォーマンスは、日常の衣食住の営みへの感謝や治療としてのお清め、さらには彼らの死生観を表現していることが多い。我々の表現は後に伝統として残すことは考えていないが、現在の我々がおかれている世界観をあらゆる角度からとらえ、それをユーモラスに表現しているという意味で、これを「祭典」と銘打っている。(公式サイトより)

タグ: どんな手段でもいいから続ける 劇団の方向転換 訳の分からないボールの話 難しくて、厳しい 人生の節目 ロックな生き方 筒井潤 実験と作品の価値


純芸術

__ 
私は小劇場を見る時に、納得出来なくても気にしないで見るという姿勢が身についていて。例えば言えてない俳優のセリフを無理矢理受け止めたり、間の不自然さに気持ち悪いと思ってもそこは目をつぶったりして、テンションを落とさずに見ているんです。そんな事を考えている時点で楽しんでいないのかもしれませんが。しかし、dracomを見る時は、そういう事はしなくていいんですよね、それはもう、上演する寸前に肌で感じるものがある。奇妙さが前提だったから?いや、それはもしかしたら、純芸術と呼べるようなものだからかもしれない。そう思います。
筒井 
うん。
__ 
純芸術と呼べる演劇は、dracomの形をしているのかもしれない。それは、「良いコンセプト」があれば、それを味わえるだけで良い。そうした力強い作品をdracomで拝見出来るのはとても嬉しいです。
筒井 
そうした反応を貰えるのは嬉しいですね。

タグ: 奇妙さへの礼賛 筒井潤


dracom Gala公演「たんじょうかい」

__ 
次回に出演される作品、意気込みを教えて下さい。
松田 
dracomの「たんじょうかい」。これは短編上演会の略でして、深津篤史さん(桃園会)、中村賢司さん(空の驛舎)、サリngROCKさん突劇金魚)の短編作品を上演するという企画です。私が出るのは深津篤史さんの「コイナカデアル。」。正直、色々な意味で手ごわい作品ですが、自分の頭の中で創造性を働かせて、面白い作品を作りたいですね。演出の筒井潤さんを信用して。やっぱりあの人は信頼出来ますから。
__ 
ええ。
松田 
筒井さんと芝居を作っていると「この人の頭の中は一体どういう構造になってるんだろう」と思うことがよくあって非常に面白いです。前衛的なことに取り組む一方、メチャクチャ「ベタ」なことも取り入れたりするところもうれしい!そして、演出家で一番大切なのは「信頼出来るかどうか」だと思いませんか。演出の意図が理解できなくても「この人についていけばいい」と役者に思わすことができるかどうかという・・・。
__ 
それはとても大切ですね。俳優としていくら作品の中身を知っているとはいえ、作品としてまとめて、客席に届けるのは演出家ですからね。
松田 
もちろん演出力や演劇に対する知識なども重要なことは間違いないんですが、もっと幅広く人間として信頼出来るかどうか・・・筒井さんは、それを満たしている人なので、安心してついていけるんですよ。

タグ: 「ベタ」の価値 信頼のおける演出家 筒井潤 前衛は手法から作る人々を指す


vol.293 松田 裕一郎

フリー・その他。

2013/春
この人のインタビューページへ
松田