枠縁1作目「タウン」

__ 
田中さんが枠縁で4月に上演された「タウン」。面白かったです。ご自身ではどんな手応えがありましたか?
田中 
西一風で書いた作品を元に書き直すという作り方をしてたんですけど、元々突き抜けていた部分をこじんまりさせてしまって、という事を元を知っていた人に言われてしまったんです。
__ 
というと。
田中 
元の「タウン」はもっとワケ分からなくて、最後に彗星が落ちてきて滅亡しちゃうんです。そもそも、大人計画の「ふくすけ」をやりたくて色々パクって書いた作品だったから、それが恥ずかしかったのでまとめる形で書き直したんです。そうしたら突き抜けているのを知っている人には物足りなかったみたいで。サワガレでやっていく中でこじんまりまとめる癖がついたんじゃないかと凄く言われて。これはもう、次は突き抜け過ぎて失敗する勢いでやろうと思います。もちろん、「タウン」を通してやりたい素材もたくさん見つかったんですけど。
__ 
個人的には、あの作品に出てくる人物は全員突き抜けてました。彼らは自ら失敗する方向に行っていて、破滅願望に突き動かされているように思えました。そのあたりいかがでしょうか?
田中 
どうでしょうね。でも、破滅したいわけじゃないのに破滅していく姿は可愛いと思うんですよ。サワガレで最後にやった「袋の自己紹介」という作品の中に「例えばここに袋があるとすると、」「いや、ないじゃん」「いや、あるとすれば、あるじゃん」「ないんだから、ないじゃん」って喧嘩になって、最後は「バカじゃないの」って言って終わるシーンがあったんです。それが稽古しても会話として上手くいかなくて、結局ギャグっぽくしちゃったけど、書いている時は楽しくて。「私はこう思う」「俺はああ思う」とぶつけ合うだけっていう身勝手さが、そりゃ破綻、破滅するよなって感じで楽しいんですよ。
__ 
結局、押しの強い方に流されていったりしてね。
田中 
何も話は進展していないのに、展開としては転がっていく。それだけで芝居が一本作れたら嬉しいですね。
__ 
破滅に向かう人々と、そのディスコミュニケーションを描きたいのは、どんな理由があるのでしょうか。
田中 
単純に自分がコミュニケーション下手だから、というのがあると思います。コミュニケーションを上手く取り続けている芝居を見ても、退屈になってしまう自分がいたりするし。あと、純粋に間違っている人って可愛いんですよ。実はこの間、夜に街を歩いていたら自分独自のルールを暴力的に押し付けてくる人に出くわして。その人は「因果」だと言って怒りだして、延々怒鳴ったりしてるんですけど、よくよく話を聞くと面白かったんですよ、この人の中では筋が通ってるんだろうけど、やっぱり勝手だなーって。警察呼びましたけど。
枠縁1作目「タウン」
公演時期:2014/4/12~14。会場:人間座スタジオ。

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脱臼/村のアホウ者

__ 
風営法について。東京都の条例で、夜12時以降のクラブで客のダンスが違反になりましたね。その他にもタバコや風俗など、社会から遊びの部分がどんどん排除されていく、とてもヒステリックな世の中だと考えておりまして。それは公的な機関による圧力から、次は民意―大衆の暴力に移行していくだろうと。当然、表現の方にもそうした圧は及んでいくと危ぶんでいるのですが、宮階さんはどう思われますか?
宮階 
絶対良くないと思います。だってそれは、いまいる者を殺していく事でしょう。人殺しとほぼ一緒なんですよ。
__ 
そうですね。
宮階 
何によっての殺人かというと、動機は嫉妬、そして寂しさだと思っているんです。
__ 
寂しさ?
宮階 
例えば、今晩は大阪のヘイトスピーチのカウンターデモに行ったんですが、彼らは誰一人として強そうな人はいなかったんです。てっきり、怖そうな人がオラオラ叫んでいるかと思っていたら、なんかショボショボっとした人ばかりで。拡声器があるからようやく大きな声で「死ね」と言える。外に出てきたネトウヨを見ていて、なんか怒るというよりは、哀れだと思ったんです。彼らも、本当はしんどいんじゃないかと。そのしんどさの理由は韓国人や中国人や在日等の存在なんかじゃなくて、彼らの主張が「違うよ」と言ってもらえる人間関係がない事なんじゃないか。それはとても寂しい事で。親でも兄弟でも友達でも。
__ 
本当に宮階さんにお話を聞けて良かった。
宮階 
いえいえ(笑う)
__ 
私も少し前までネトウヨが嫌いだったんですよ。一見、頭ごなしのバカなポジショントークのように見えて、実は幼稚な感情論が底にあるところが。でもそれって、カウンターデモ側にも同じ状況があるんじゃないか?ネトウヨを攻撃する事で得られる達成感は、ネトウヨのそれとどう違うんだ?と。
宮階 
カウンターが発する罵声というのは、声の大きさや言葉にもよりますが、暴力性とはまた文脈も意味合いも違うと私は思っています。でも、私は個人的に怒鳴ったりは出来ないんですね。私はヘイトスピーチ側にもカウンター側にも、もちろん意思はカウンターですが、存在としては離れ小島や、村のアホウ者でいたいと思っています。
__ 
離れ小島。
宮階 
ヘイトの中にいるけれども「もう嫌だ、ここから出たい」と思ったら、意固地にならずに逃げていいと揺らいでいいと思える例として。そんな離れ小島。現場では、ヘイトとカウンターは対立する形で離れているんですね。間に警察がいて、カウンター側を睨んでいる。どちらも怒鳴っている。
__ 
ヘイト側もカウンター側も、どちらも相手を倒すために来ている訳ですからね。お互いを人間だと思えないぐらいの勢いで。
宮階 
私はそこで奇襲作戦を取るんですよたまに。
__ 
おお。それは。
宮階 
ある時のヘイトスピーチの現場では、人が沢山いるなかで、生け垣だけ誰もいない。そこで2リットルの水を撒いて水を差すというパフォーマンスをやったら警察に引きずり降ろされそうになって、すぐ引き上げました。大阪では、ヘイトスピーチ側では彼らの子供が壁になってたんですよ。サッカーのフリーキックみたいに。そんなの、もの凄く悲惨でしょう。私は怒鳴っている人たちの間で、ずっと道に迷ったフリをしていました。電話しているフリをしながら。みんな、ポカーンとして見ていて。
__ 
なるほど。
宮階 
私は脱臼させに行くんです。今日も大阪でやってきました。ヘイトスピーチ側が拍手して盛り上がっている時に風船を割ったんです。パーンって。警察に「ビックリするやろ」って言われて、「出て行けとか言われた在日の人たちの気持ち考えた事あんの?びっくりどころやないでしょう?」って言ったら「まあ、まあ」って。
__ 
なんかいいですね。というか、「水を差す」ところから回を重ねる毎に面白くなっていっていますね。
宮階 
遊び場なんです、私にとっては。乱暴に言ってしまうと。差別のような醜悪なものに、どの生命も削らせたくない。私にとっての怒りの変換です。有効な電波障害をしようと。
__ 
というより、そうなるべきなんです。あんなバカバカしい場だからこそ芸能が何かの役割を持ちうるでしょうね。
宮階 
彼らヘイトスピーチが掲げているスローガンは醜悪で、聞くに耐えない。当事者に矢面に立たせたくない。ばかばかしさをもってヘイト側に反射したるねん、て思います。出来るかわからないですけど。

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vol.333 gay makimaki

カウパー団。

2014/春
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gay

お前何してんねん!

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丸山さんを初めて拝見したのは、努力クラブの「牛だけがもつ牛特有の牛らしさ」でした。その後も努力クラブで何度か拝見しました。「旅行者感覚の欠落」では人を思いっきり蹴ってましたね。
丸山 
ああいうちょっと危ないような役が好きでしたね。月面クロワッサンではそういう役に付かなかったので間があって、思いっきり蹴れなくて。演出の合田さんにアホほど怒られましたね。
__ 
蹴れない事で怒られた。
丸山 
「お前何してんねん!」って。あんなに怒られるとは思ってなかったです。
__ 
でも、躊躇なく振りぬいてましたね。
丸山 
相手の人には本気で嫌がられましたけど、でも、中途半端にやったら相手の人が可哀想じゃないかと、自然にそう思えるようになりました。
努力クラブ
元劇団紫の合田団地と元劇団西一風の佐々木峻一を中心に結成。上の人たちに加えて、斉藤千尋という女の人が制作担当として加入したので、今現在、構成メンバーは3人。今後、増えていったり減っていったりするかどうかはわからない。未来のことは全くわからない。未来のことをわかったようなふりするのは格好悪いとも思うしつまらないとも思う。だから、僕らは未来のことをわかったようなふりをするのはしない。できるだけしない。できるだけしないように努力している。未来のことをわかったふりをしている人がいたら、「それは格好悪いしつまらないことなのですよ」と言ってあげるように努力している。(公式サイトより)
「牛だけが持つ牛特有の牛らしさ」
公演時期:2011/6/3~5。会場:人間座スタジオ。
努力クラブ5 旅行者感覚の欠落
公演時期:2012/12/7~10。会場:元・立誠小学校 音楽室。

タグ: 暴力


蟻・を・殺・す

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。最近、嘉納さんはどんな感じでしょうか?
嘉納 
最近は時間があるので、手作りで色んなものを作ったりしていますね。
__ 
なるほど。例えばどんなものを。
嘉納 
虫よけとかですね。
__ 
虫よけ?
嘉納 
家に蟻が登ってくるようになりましてですね、最初は殺虫剤を使ってたんですが、だんだん効かなくなってきまして。では手作りで作ってみようと。調べたら薬局で売っているハッカ油というのが効くらしく、それをアルコールと混ぜて、水で薄めてスプレー容器に入れると除虫剤になると。そういうものを作ったりしていました。
__ 
なるほど。
嘉納 
それが割と効きまして。良かったですね。殺すよりは、寄せ付けないような効き目があります。
かのうとおっさん
'99年、嘉納みなこと有北雅彦により結成。独特の台詞回し、印象に残るビジュアル、笑いをベースに人の生き様を鋭く描く作風は小学生から60代まで広く支持される。'12年「関西ふたり芝居セレクション」優勝。(公式BLOGより)

タグ: 手作りのあたたかみ 殺す 暴力


「こんなにも習った事が出来ないものなのか」

嵯峨 
再開したのは2011年ごろですね。久しぶりの空手でしたが、すごく面白く思えて。
__ 
面白く感じた?
嵯峨 
専門的な話ですが、子供の頃は松濤館流、今は剛柔流をやっています。その二つは伝統的な空手の流派でして、松濤館流は本土で競技試合の発展とともに流派としての深みを培ってきた流派で、剛柔流は沖縄っぽさがすごく残っている流派で、相手との間に取る間合いが近いんですよ。つまり、技が近い。以前映像で見て、いつかやってみたいと思ってたんです。
__ 
私は空手とはあまりにも縁がなく生きてきたので、その面白さは想像するしかないんですが。
嵯峨 
流派の違いというのは系譜の違いと、想定している間合いの違いがあるんです。間合いが違うと、技も当然違うんです。松濤館流は間合いを置き、離れた相手に技を入れる。剛柔流は接近戦で、猫足立ちといって接近していくんです。面白いのは、捕み合いになった時。「こんなにも習った事が出来ないものなのか」というぐらい簡単に技が潰されたりするんです。知らない技もいっぱいあるし。
__ 
相手とのやり取りがあり、自分のプランがある。それらに自分の身体を使うというのが絶対面白いんでしょうね。
嵯峨 
それはありますね。ただ、プロレスやってるから意外だと思われるんですが、僕は組手嫌いなんですよ(笑う)。それよりは型の方が好きですね。今の道場も型を重視してくれるので。松濤館流と剛柔流は型が一切被ってないので、ひと通り覚えるには苦労しました。基礎的な型を教えてもらう時、「やった事あるやろ」と言われたんですが、やった事ないです(笑う)。必死に覚えました。

タグ: プロの仕事 本番は毎回違う、一過性の 暴力 深めていきたい


あ、これだ、これをやろう

__ 
中西さんがダンスを始められたのは。
中西 
実は中高まで演劇部にはいたんですけど。高校で一応、ダンスの授業はあるんですよ。でも、ほんまに苦手だったんです。リズムに併せてみんなと同じダンスするなんてこんなつまらん事あるかいって。大体違う事しちゃうんですよね。「ナカニシのは違うね」って言われたりするんです。
__ 
あはは。なるほど。
中西 
でも、即興で動くのとかは好きなんですよ。近大の演劇・芸能専攻ダンスの授業で即興をよくやるんですけど、これは好きだなと思ったんですね。これはきっと、演劇に生かせるって思って。そうしているうちに、「世界演劇史」っていう授業で、前衛演劇やポストドラマ舞踏を見たり、2回生の時BATTIのside.Bを見て、衝撃を受け「あ、これだ、これをやろう」と。
__ 
どんな作品でしたか。
中西 
顔をずっと隠して踊るダンスだったんですけど、そんなん観ことなくって。暴力的で美しかった!!黒田さんの作品には凄い影響受けてしまって、しばらくモドキっぽいのを作ってしまったと思います。他に影響を受けたのはヤン・ファーブル。挑発的で、独自の美観点に基づいた作品と、ジャンルを越境して活動するところに惹かれました。

タグ: 凶暴な役者 暴力


「かもめ」の二つのシーンについて

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その実験公演のオチで、ニーナとトレープレフがアトコンの壁に手を付いているシーンが面白かったです。
小林 
あれはもう、必死で左足をあげてました。二人でハアハア言いながら足を上げていました。
__ 
しかも左右対称じゃないですしね。色々と、見所のある公演でした。タップダンスも良かったです。
小林 
あれは実は、最初に地点で「かもめ」を上演したときにやっていたんですよ。
__ 
そうなんですね。
小林 
昔、三浦演出の「かもめ」でやった事があるんです。それが残っていたんでしょうね。トレープレフの若気の至りが爆発するような。
__ 
そうですね。
小林 
タップを踏みながらニーナの事が気になってチラチラ見るんですけど構ってくれなくて、気が付いたらお母さんが泣いているみたいな。
__ 
地団駄を踏むという感じでしたね。
小林 
そうですね。台詞のかわりに肉体を酷使するような。タップの音も結構暴力的に鳴りますし。

タグ: 凶暴な役者 暴力


サワガレ「小部屋の中の三匹の虫」

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さて、「小部屋の中の三匹の虫」。大変面白かったです。後から知ったんですが、マルチエンディングだったそうですね。私が見たのはバッドエンドだったのですが。
三國 
全部バッドエンドです。ハッピーエンド?も一応考えたのですが、会場を扉も窓もない密室に見立て、そこから出ることだけが目的の芝居だったので、ハッピーっていっても、「出れる!出た!」だけで終わっちゃいますからね。なら別にいいかなって。
__ 
なるほど。スリラーというジャンルだと思うんですが、最初に脚本をきっちりと作った訳ではなく、稽古場のエチュードで作られた作品だそうですね。
三國 
稽古場で出てきたもので構成を考えて、それを基に作っていきました。だから変な話、4カ月稽古を続けてきたんですけど完成したのは本番直前なんですよ。
__ 
そうなんですか!
三國 
ソリッドシチュエーションスリラーというジャンルの作品を色々研究するうちに、結局は緊迫感が重要なんだと思ったんです。なのでギリギリに完成するくらいがいいのかな、と。3回目の本番ぐらいが、役者の緊張と落ち着きのバランスが絶妙で、僕も手が震えるくらいぞわぞわしました。
__ 
何回か見に行きたかったです。公演期間はロングランで京都市内6箇所を回っていましたが。
三國 
ロングランにしたのはやっぱり、旗揚げして一年経つのですがまだまだ集団としては体力がないなと思っていたからです。団体として強くなるには、1ヶ月ぐらいの公演を乗り越えないと、と。
__ 
大変でしたね。
三國 
続けざまに6会場25ステージと。ゲネプロもせずに本番、なんてザラで、役者にとっては大きな制約になっていたと思います。もちろん、演出としてもですけど。でもそれ以上に、繰り返しお客さんに見られる中で得られるものも大きかったですね。
__ 
ちなみに、あの血みたいな液体が入っていたペットボトルの中身は何だったんでしょうか。
三國 
あれは試行錯誤を重ねた結果ですね、コーヒーとココアを混ぜ、さらに緑と赤の着色料を加えたものです。とろみを付けたんですけど、あまり生かされなかったですね。
__ 
いや、あれはどういう原理の何だったんでしょうか?あのペットボトルを振るとその人が苦しんだりしていましたが。
三國 
映画ならいざ知らず、演劇で出来るリアルな暴力表現は限られていると思うんですよ。足を切断とかはできないし、血を吹き出させてもトリックを疑われてしまって興が冷めてしま。でも、演劇が虚構なら、暴力の対象が別に身体じゃなくてもいいんじゃないか。体の外に暴力の対象を設定することが出来れば、人を実際に殴らなくても、殴ることで発生する「痛々しさ」みたいなものだけ抽出できるんじゃないのかなって。それで、人間の心の醜さを見せられたらと思いました。
__ 
なるほど。
サワガレ「小部屋の中の三匹の虫」
公演時期:2011/8/5~8/30。会場:元・立誠小学校ほか。

タグ: バッドエンド エネルギーを持つ戯曲 凶暴な役者 暴力


「ばーかばーか」への恐怖

__ 
俳優としての殿井さんって、私はすごく魅力的だと思っていて。何だか、生活感はあるのにすごく緊張感が漂っているというか。弱男ユニットの「教育」を見たときにもそう思ったんですよ。
殿井 
あー・・・
__ 
生活感はするけど、異常な感じがする。どことなく罪のにおいがするというか、申し訳なさというか。
殿井 
生活感。例えば、先述の弱男ユニット「教育」では、私が演じた鈴木という女の人が、「妊娠資格者試験」(※)に落ち続けていて、やけと理不尽への反抗心から犯罪に走ろうかというところまで追い詰められていきますね。そのあと、ヒモにふられて制度自体を変えていこうと吹っ切れるわけですが、関西弁のセリフでしたし、はじめは他愛のない会話から始まるので、生活感があるのかも。
__ 
そうそう、エゴを前面に出す台詞表現でしたよね。ピンク地底人の「EX.人間」もそうだし。
殿井 
いわれてみると自分の不満をひたすら訴える、という点においては共通していますね。
__ 
ええ、緊張感にあふれた演技でした。
殿井 
『EX.人間』、『教育』、『こいのいたみ』とよくじゃべる、それもちょっと恨み節というか、なんというかをひたすらしゃべり、しゃべりまくる。
__ 
そういう役でしたね。
殿井 
これまで死体の役とか倒れる人とかどちらかというと寡黙な役回りで、しゃべり言葉に近い言葉をもらうことになると責任重大だなぁとおののいてしまうところはあります。たとえば「ばーかばーか」とか何とか、舞台上で言うことになってるときに、いったことないですけど、普段の生活ではそんなこと言っちゃいけないことになってて、それを敢えて言うっていうのはリスキーなんですけど。暴力性を承知で意図的に書かれている言葉なわけですが。でも観ている人にとってある台詞がたまたますっごい傷つくわーっていう琴線に触れちゃうような、食いあわせの悪い言葉になるかもしれないなとか、色々考えてしまいますね。

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vol.165 殿井 歩

フリー・その他。

2011/春
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殿井

マレビトの会とロメオ・カステルッチ

山口 
最近見た、メディアミックス作品というと。
西尾 
松田正隆さんですね。
__ 
マレビトの会ですね。あれこそまさに映像メディアと演劇の融合で。
西尾 
客席一つ一つにモニタがついていて、それが舞台の様子を監視カメラっぽく移したり、それと同じシーンなのに微妙に違う映像を流したり。
山口 
ええっ。オペどうしてるんですか。
西尾 
YCAMでの滞在制作だったらしいから、そこの専門家がやってたんじゃないですかね。
山口 
すごいですね。
__ 
芝居自体は、乾いたシリアスタッチの情景でしたね。あの空気感は確かに松田正隆作品でしたね。
西尾 
私も解読するのに3日くらい掛かりました。一緒に行った人と散々喋って。見には行ったんですけど、どういう頭で見ればいいのか全然分からない。
__ 
東京にもいっぱいあるのかな、こういうのは。
西尾 
FESTIVAL/TOKYOという催しで一番評判の良かったロメオ・カステルッチの作品が良かったです。
山口 
どういう表現だったんですか?
西尾 
後半まで、ずっと一般のブルジョア家庭を淡々とした演技で見せるんです。最後のシーンで父親が息子に性的な暴力を与える。
山口 
淡々と。
西尾 
そう、セリフが聞き取れないくらい小さい声で。で、更にその後、いきなり舞台上がスペクタクルに移るんですよ。もの凄い大きさの花が背景を流れていくんですけど、丸く切り取られた枠の向こうを映像にしか見えない実物のセットが通り過ぎていくという。
山口 
ええ、まじっすか。
西尾 
どう見ても映像なんですよ。リアルだけど映像に見えて、でも実物っていう。ちょっと観客どよめいてたんです。ピントのボケ方が絶妙で、これは凄かったです。
松田正隆
マレビトの会を主宰する劇作家。
マレビトの会「PARK CITY」
公演時期:2009/8/28-29(山口県)、2009/10/24-25(滋賀県)。会場:山口情報芸術センター、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール。
マレビトの会
2003年、舞台芸術の可能性を模索する集団として設立。代表の松田正隆の作・演出により、2004年5月に第一回公演『島式振動器官』を上演する。 2007年に発表した『クリプトグラフ』では、カイロ・北京・上海を巡演するなど、その活動は海外にも広がる。非日常の世界を構想しながらも、今日におけるリアルとは何かを思考し、京都を作品製作の拠点として創作を続ける。
山口情報芸術センター(YCAM)
山口県山口市。メディア利用に特化したラボを有する複合文化施設。展示スペース・劇場も併設。多数のメディアアート作品や舞台芸術が研究・制作されている。

タグ: 非日常の演出 暴力


その恐ろしさ

__ 
そのためにふざけたりしていると。では今後、どのような事を試していきたいですか?
三浦 
動きのサンプリングですね。まだまだアイデアの段階ですが、繰り返すというのに興味があって。同じ会話を6回ぐらい繰り返したり。その恐ろしさというか。
__ 
暴力的ですね。
三浦 
演劇って、絶対に同じ事を繰り返せないじゃないですか。映画や音楽のようにはいかないし。だからどう、というのはまだ分からないんですけど。実は3、4カ月同じ芝居をやり続けるという企画を思いついていて。「再演!再演!再演!」という。同じテキストで、演出を変えて上演します。
__ 
面白そうですね! 頑張ってください。

タグ: 凶暴な役者 暴力