倫理VS本能

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圧倒的虚業。非日常を社会にぶち込む所業、という言葉がチラシにありました。本来、劇場は舞台と客席の二つの集団で構成されています。舞台側が(稽古によって共有された)歴史をもって、可能性を客席側に投げかける構造がある。その時客席側は未読の領域をワクワクしながら切り拓いて進んでいる訳ですが、・・・そのオープニング、そんなに驚きというなら、いきなり奇想天外で、でも説得力のある風景が出てきそうですね。
畑中 
おお、そうなのかな。でも、テーマとして掲げられている「倫理VS本能」。イタズラ心ってありますよね。この静かな喫茶店でいきなり大声で歌い出したらどうなるのかな、とか。何か、目の前の人の頭をぶっ叩いたらどうなるかなとか、学校や会社に向かうのとは反対の電車に乗ってしまったら、とか。それが本能だと思うんですけど、そこを倫理で押さえて社会になじんでいる。でも、彼らは本能に従っている集団なんですね。虚業をぶちこもうと、本能に従って面白い事をしたい、それだけしかない、という感じなんです。まずは、どんな人達が出てくるか楽しみにしていただけたら。

タグ: 演技それ自体への懐疑 非日常の演出 キチガイ ロックな生き方 社会、その大きなからくり 悪いけど、芝居させてください


悪い芝居vol.16『スーパーふぃクション』

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この度は取材をさせていただいて、誠にありがとうございます。悪い芝居の畑中さんにお話を伺えます。今日はどうぞ、よろしくお願い致します。
畑中 
こちらこそ、よろしくお願いします。
__ 
畑中さんは最近、どんな感じでしょうか。
畑中 
「スーパーふぃクション」の稽古が7月の終わり頃に始まりまして。8月12日に全員揃って、今はガッツリ稽古をしています。
__ 
楽しみです!どんな作品になりそうでしょうか。
畑中 
今回のテーマとして、「倫理VS本能」というのを掲げています。
__ 
それは・・・本能が勝ちそうですね。
畑中 
どうでしょうか。でも、お話自体はすごく分かりやすいんですよ。単純に言うとONE PIECEみたいな。
__ 
意外な感じがします。
畑中 
チラシにも書いてあるのですが、理解されない男「冠虚(カンムリウツロ)」と誤解しかされない女「朝焼澱美(アサヤケヨドミ)」のお話です。すごく単純なストーリーなんです。でも、やってる側としては全然どうなっているのか分からないんですね。登場人物の誰にも感情移入出来ないんですよ。
__ 
おお・・・
畑中 
意味わかんない、でも見ちゃう、そんな作品になりそうです。それから、実は楽器を演奏して歌も歌います。悪い芝居はライブ活動もしているのですが、今までの音楽活動と演劇作品を凝縮したような作品になると思います。
__ 
畑中さんはトランペットを吹かれますよね。
畑中 
私はちょろっとだけですけど。今回出演されるSun!!さんもキーボードを弾かはるんですよ。この前スタジオで弾いてはって、これだけ弾ければ楽しいんだろうなってぐらい上手なんです。
__ 
芸達者ですね、Sun!!さんは。
畑中 
ダンスも歌も凄いし教えられるし、マルチな人って感じですね。
悪い芝居
2004年12月24日、路上パフォーマンスで旗揚げ。京都を拠点にしながら、東京・大阪などでも活動する劇団。メンバーは12名。ぼんやりとした鬱憤から始まる発想を刺激的に勢いよく噴出し、劇世界と現実世界の距離を自在に操作する作風が特徴。「現在でしか、自分たちでしか、この場所でしか表現できないこと」を芯にすえ、中毒性の高い作品を発表し続けている。2009年より、パワープッシュカンパニーとして京都の劇場ARTCOMPLEX1928から2011年まで3年間の支援を受ける。そのパワープッシュカンパニーとしての最初の作品「嘘ツキ、号泣」が第17回OMS戯曲賞佳作を受賞。各メンバーの外部活動や、2011年は、劇団事務所である築80年の京町屋で1ヶ月半26ステージの家屋公演「団欒シューハーリー」を敢行するなど、劇場以外でのパフォーマンスも精力的に行っている。誤解されやすい団体名の由来は、『悪いけど、芝居させてください。の略』と、とても謙遜している。(公式サイトより)
悪い芝居vol.16『スーパーふぃクション』
公演時期:2014/9/11~16(大阪公演)、2014/10/21~26(東京公演)。会場:HEP HALL(大阪公演)、赤坂 RED THEATER(東京公演)。

タグ: 登場人物が好きになれない 次の公演 意外にも・・・ 悪いけど、芝居させてください


原点

__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
山崎 
根本的なところは、昔からずっと変わってないと思います。僕の生活や劇団の環境が変わっても。もちろん、他に面白い作品や人があって、僕自身の面白さを見失う怖さもあるんですけどね。でも一番最初の「面白い、俺も芝居やってみてえ」「出来るかも」というのは変わらないと思うんです。絶対に。攻め方は変わるかもしれませんけど。でも、根っこの部分が変わったら、僕は芝居出来ないので。それがわがままになるような現場や時期はあるかもしれませんけど。スパンが空いても、それは自分のペースでやっていると思ってもらえれば。
__ 
ご自身にあった決定をしていけば、それは何でも正解ですよ。きっと。

タグ: 今後の攻め方 悪いけど、芝居させてください


「期待は裏切らないが、予想は裏切る」

__ 
今の悪い芝居はそうなんですね。お客さんが求めている事と、悪い芝居がやりたい事。ニーズとニーズをマッチングさせるという事ですか?
山崎 
人それぞれ好きなものが違うんですが、今時代の流れ的に求めているものがあると思うんです。僕は「次は何をしてくるんだろう」という期待には照準を合わせたいですね。昔と比べて、アンケートだけじゃなくネットでも反応が返ってくるようになって。僕はそれにアンテナを張る事はしています。もちろん、やりたい事からそれる、という事ではなくて。
__ 
宮下さんが仰っていたんですが「期待は裏切らないが、予想は裏切る」という事ですね。
山崎 
ああ、そうかもしれませんね。どちらかと言うと、予想を裏切る事に重点を置いているかもしれません。極論を言うと、興行的にコケてもいいんですよ。大事なのはお芝居を見てもらう事であって。
__ 
おお・・・。
山崎 
希望としてはお客さんがもっと入って欲しいし、成功したいという気持ちはあります(隠すことではないですしね)。でも、だからと言ってお客さんが入るようニーズだけに合わせるようなものを作るよりは、次以降も見たいなと思わせる、そういう作品を作りたいです。すごく広い希望を言うと、僕らを見る事でもっと演劇が広く見られればいいなと。
__ 
悪い芝居を見る事で、演劇そのものに目が向く?
山崎 
何故かと言うと、目の前で行われる奇跡的な瞬間を、お芝居は持っていると思うんです。僕らは、よい作品を上演する公演を打つというよりも、上演時間内でいかに魔法のような時間を作るかを意識しています。それを見て、「うわあ、演劇ってこういう事が起きるんだ」って知ってもらいたくて。それで僕らを見続けてくれてもいいし、他の芝居を探してくれるでもいいし。
__ 
なるほど。
山崎 
となると、いまこの世にないものを作ろうとするのは自然な流れだと思います。お客さんも見た事がない、未知のものですね。一番最初は目立とうと思って新しい事をやろうと思っていたんですが、いまはその動機がすっきりしてきた感じですかね。こういう姿勢になったのは、自信が付いたからかもしれないですけど。

タグ: 夜の公園で アンケートについての話題 悪いけど、芝居させてください


やっている事は変わらないけれど

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。
山崎 
お久しぶりです。6年ぶりですね。前の記事読んで、昔、こんな事言ってたなあと思いますよね。
__ 
そうですね。時間が経ちすぎましたね。あの頃と比べて、何か、決定的に変わった事とかはありますか?
山崎 
見る人が増えるまでは、何か変な事をやってると思われるようにやっていたと思いますね。名も知れぬ劇団だから。だからこそ却ってそういう作品が作れたのかもしれないです。それと比べると今は、期待して見てくれる人や、評判だけ聞いてもらっている人の予想を裏切って刺激を与える事をしていますね。守りに入っているとかじゃないんですけど。やっている事は変わらないんですが、その対象が変わってきているなと思います。
__ 
なるほど。昔は、変わった事をやりたいという気持ちは強かった。
山崎 
もともと、物語やセリフを作品として書くというこだわりは無かったんです。だから、人のやっていない事や、話題になりやすい特徴を作り出せていたんだと思います。でも最近、やっと戯曲を書く事を意識し始めて。その上で、お客さんが求めているものと、僕らがやりたい事を探していこうと思っていますね。
悪い芝居
2004年12月24日、旗揚げ。メンバー11名。京都を拠点に、東京・大阪と活動の幅を広げつつある若手劇団。ぼんやりとした鬱憤から始まる発想を、刺激的に勢いよく噴出し、それでいてポップに仕立て上げる中毒性の高い作品を発表している。誤解されやすい団体名の由来は、『悪いけど、芝居させてください。の略』と、とても謙遜している。(公式サイトより)
悪い芝居vol.13『カナヅチ女、夜泳ぐ』
公演時期:2012/06/13~20(大阪)、2012/07/10~16(東京)。会場:in→dependent theatre 2nd(大阪)、王子小劇場(東京)。

タグ: 王子小劇場 悪いけど、芝居させてください


せっかく、劇団なんだから・・・関係性とお芝居作り

___ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近は大川原さんはどんな感じですか?
大川原 
ABC中之島演劇祭の石原正一ショーに出させてもらっていたんですが、それも終わって。今は前回公演の映像編集をしていました。それから、次回公演の稽古と。
___ 
映像編集出来るんですね!
大川原 
「キョム!」から私がやっているんですよ。教えてもらったり、自分で調べたりして。カナヅチ女の公演で売れるように準備中です。お楽しみに。
___ 
次回公演「カナヅチ女、夜泳ぐ」。稽古中ですよね。どんな感じでしょうか。
大川原 
ぼちぼち客演さんが揃い初めてきました。ワークショップ的なところから始めています。台本はまだ、あえて出してないという感じじゃないでしょうか。
___ 
なるほど。
大川原 
山崎が、「演劇って練習したら出来るんだよ」と。それよりも、チームワークや基礎的なところを重点的にやっています。チームワークが良いと思わせるような劇団はハズレなく面白いんですよね。新人の子もまだ一年なので、そのあたりで説得力を持たせていければなと。
___ 
劇団内のムードが良いというのは大切ですよね。心のやりとりを大切にしたり、そういう会話劇とかは特に。
大川原 
人との関係性を構築するという意味では、もしかしたら台本がない方がいいかもしれないですね。それがあった状態で台本が来たらいいんじゃないかなと思っているみたいです。何も関係性がないのに台本が来て、「このホンいいよね~」って言い合ってるんじゃなくて。せっかく、劇団なんだから。
悪い芝居vol.13『カナヅチ女、夜泳ぐ』
公演時期:2012/06/13~20(大阪)、2012/07/10~16(東京)。会場:in→dependent theatre 2nd(大阪)、王子小劇場(東京)。

タグ: 新人の不安 悪いけど、芝居させてください


質問 奥田 ワレタさんから 植田 順平さんへ

Q & A
__ 
前回インタビューさせていただいた、奥田ワレタさんから質問を頂いてきております。「その内東京来るんすか? いや来てくれたら嬉しいけど、みんな来るのはなんかなあ。いや嬉しいけど」。
植田 
それは・・・どうでしょうね。
__ 
答えづらい質問ですね。奥田さんとしては、みんな来てもしょうがないんじゃないって思っているのだと思います。
植田 
もちろん、東京にも大阪にも京都にそれぞれの小劇場の文化があって、それぞれの特色があるのが大事な事だと思います。次の悪い芝居は東京のみの公演(再演)ですのでどんな反応が返ってくるのかが楽しみです。他にも、山崎は現在は東京で客演、僕は大阪で客演、池川はAI・HALL、西岡は京都、岡田はバンド活動と色々活動の幅が広がってきていますし、外部での活動にも興味はありますね。
__ 
それで答えになっていると思いますよ。
植田 
まあ、奥田さんには、東京に行ったらよろしくお願いしますと。申し上げたいです。

タグ: 出立前夜 外部活動を持ち帰る 悪いけど、芝居させてください


らぶドロッドロ人間はダーク。キョムは?

___ 
そうそう、前回のらぶドロッドロ人間、面白かったです。
大川原 
ありがとうございます。ありがとうございます。あの公演は本当にお客さんに支えてもらった公演だったと思います。
___ 
最後の方の、3人の女による責任の擦り付け合いは見所でしたね。
大川原 
あれは楽しかったですね。直接攻撃はしないんですけど、あっちからこっちからちくちくやり合うという。
___ 
あのシーンが一番、醜かったですね。
大川原 
ありがとうございます(笑う)。らぶドロッドロ人間は1階と2階で分かれている作品でした。上では日常の身体の演劇と、下では演劇らしい演劇があって。
___ 
そうそう。大川原さんは上だけの出演でしたけど、ダークな感じでしたね。悪い芝居を見ていていつも思うのは、悪意でもって作られているなあと。これは悪い意味じゃなくて。
大川原 
毎回、あえて一般的に誰でも通じる主題を選んでいます。ちょっとネガティブで後ろ向きなテーマだったりするんですけど、そこをポップに切っていくっていうか。普段だったらわざわざ暗い部分に突っ込んでいかないところ。そこに挑戦する姿勢が魅力かなと思っています。見に来る人も、ちょっと斜に構えて来る人も多いように思うんですけど、そういう人たちと正面から向きあって楽しい時間を作れたらなと思います。
悪い芝居vol.11「らぶドロッドロ人間」
公演時期:2010/5/19~23(京都)2011/6/11~14(東京)。会場:アートコンプレックス1928(京都)王子小劇場(東京)。

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40年後

山崎
何か役者って、自分の外面的な部分しか表現出来ないんじゃないかと感じてて。一方作・演出だと批判が返ってくるじゃないですか。それが、凄く次につながっていく感じがして。役者とかだと、「今回はこういう役どころだから」みたいな逃げ場が出来てしまう。褒められたら「やろう!」ってなるくせに、批判されたら逃げてしまうみたいなのが凄く嫌で。だから、役者もやりたいんですが、作・演出もやっていきたいなっていう欲望が出ましたね。
__
なるほど。・・・四十年後、芝居をやっていますか。
山崎
やっているんじゃないかなあ。
__
はい。
山崎
イチローが言ってるんですけど、彼が野球を辞めないのは、「まだ上手くなれると思うから」って言っていて。それを聞いた時にああそうだなって思って。30歳になったら30歳の役をやりたくなるだろうし、40になっても同じで。何かね、それを人に言ったら楽観的やろうとか言われるんですけど。
__
うーん。
山崎
ただ、結婚しますかって聞かれたら悩む思うんですよ。僕はこの子を幸せにしたいと思ったらたぶん芝居をやめると思うし。今は、芝居するのを許してくれる人がいいなと。
__
なるほど。なんていうか。40年後も、僕らみたいに芝居をやってる人が大勢いればいいなと思ってるわけですが。
山崎
分かりますね。多分見に行きますもん。
__
そうだ、山崎さんはどんな芝居をよく見るんですか?
山崎
学生劇団の新人公演とか見ます。凄く学ぶことがありますもん。はっきり言ってあまり面白くはないんですが、このシーンの作りは考えたんやなーとか。
__
ええ。
山崎
そういうのを見て、尊敬する気持ちを持ち続けたいし。面白いんですよ。思い入れのあるであろうセリフとか。我武者羅かげんとか。
__
逆に、プロとかの手馴れた芝居については。
山崎
それはそれで、凄いなっていうか。プロのワザっていったら変ですけど、例えば喫茶店のシーンで、前の役者二人が喋ってる時に後ろの人達をどう見せるかってのがプロと学生の違いかなって思っていて。
__
ああ・・・。
山崎
どう違うんだろうなあって思ってて。今回もそういうシーンを作ったんですけど。前の人が喋っていて、しかし後ろの人達は目立たせない。邪魔をさせない、っていうやり方を今までやってたんですね。今回はどんどん動かして、前の人たちはそれ以上に派手にして目立たせる。そうしたら見え方が全然違って。
__
なるほど。
山崎
芝居になるとどうして後ろの、背景の人達は声が小さくなるんだろうと思っていて。大発見でしたね。でもまだまだ、そういうのはいっぱいあると思うんですけど。
__
ええ。
山崎
あと例えば、舞台のどこに机を置くかという時に学生だったら見え易さのために真ん中に置く。プロは下手(客席から向かって舞台の左側)に置く。とか。真ん中におく落とし穴というか、そういうのをどんどん知っていけたらいいですね。
__
色んな芝居を見て、勉強するとか。
山崎
「真似ぶ」と勝新太郎が言ってますけど、本当に必要ですよね。一回、野田秀樹に嵌ってた事があって。その時やった芝居のアンケートにパクリだって書かれて。でも、芝居を作っていく上で影響を受けた作品の方法をなぞり、そんで劇が芝居に変わる瞬間とかを味わうと、これは勉強になりますね。

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「想像可能な事は全て実現可能である」

岡田 
結局、芝居も音楽も一緒なんですよね。僕も、悪い芝居で音楽と俳優をやらせてもらって。やっぱり、セリフであろうと音楽であろうと、お客さんをどうにかさせたいだけなんですね。感動させたり、涙を流させたり。その上で、自分が思っている事を伝えるんです。これはまた、共有とは別の話なんですけど。それが出来れば、メッセージを伝える方法は音楽でも俳優でも同じだと思うんです。
__ 
伝えるには、どのような力が必要なのでしょうか。
岡田 
これはですね・・・。最近、山崎さんが演技について言っている事なんですけど、「想像可能な事は全て実現可能である」、例えば椅子から全く動かない朗読劇でも、一つ一つの動きにイメージと責任と持てば、もしかしたら雪山を登るような演技をしなくても観客に吹雪を感じさせる事が出来るかもしれない。
__ 
うーん、それは見てみたいですね。
岡田 
そういう情景がビシビシ伝わってくるんですよ。いや、これ、やっぱり僕の言葉に直しているので語弊があるので、直接聞いてみてもらいたいんですけど。

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胸に刺さるような感じ

__ 
宮下さんが悪い芝居に入ったのは。
宮下 
僕は現在大学生でして。元々、劇団ACTに入ってたんですよ。実は元々、お笑いが好きだったのでサークルも落語研究会とかにしようと思っていたんですが、サークル棟の部室にまでたどり着けず、演劇部に入っていました。そこでコントを作ったりしていたんですが、悪い芝居が2009年に上演した「最低の夢」を観たんですよ。それが、なんだか、面白い・つまらない以外の、一人で帰りたくなるような気持ちになったんですよね。
__ 
というと。
宮下 
胸に刺さるような感じがあって。この劇団で自分もやれればいいなと思ったんです。さらに悪い芝居劇団員の池川(インタビューURL貼付けていただいて)が大学の一つ上の先輩なんですけど、その繋がりで2010年上演の「キョム!」を見て。その稽古を見学させてもらい、年明けのメンバー募集に応募して 入団が決まりました。
劇団ACT
京都産業大学にある演劇部の通称。

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理想への距離

__ 
ざっくりした聞き方です。没頭出来ていますか? 今の作品でもいいし、演劇そのものだけでもいいのですが。
山崎 
今は、結構没頭出来ているかな。一年三ヶ月くらい前から、バイトを辞められていて。時間が出来て、考えられる材料や考えの質とかは確実に上がっているんです。ペースが上がって、評価も上がったり賞ももらったりして。客演する時の意識も変わって・・・。そうですね、去年は明らかに没頭していました。でも、お芝居を作る事しかやらなくなった時に、もてあそばれているように思えてきたんですね。
__ 
もてあそばれる?
山崎 
今まではバイト中に考えたような事を芝居にしていたんです。しかし今は、稽古以外の時間も作品に生かせられる生活になった。能動的に動ける時間が増えたと。それと同時に、理想がすごく高くなって。これで同じように演劇作りしていてはだめだ、演劇における奇跡みたいな時間を作らなきゃと。
__ 
作る作業にもてあそばれている?
山崎 
そうですね。全部を作品に生かせられる自由があるんです。そういうのががーんと自分に迫ってくる怖さもありますし。何が決定的に違うというと、理想への距離が明確になってるんですね。世界地図だけ渡されて、「これでアメリカに行け」と言われたような気分。
__ 
ええ。
山崎 
昔は地図も渡されずに、オーストラリアに到着して、それでも良かったんですけど。今は、アメリカに行くために飛行機代を稼がなくちゃとか、イカダを使う事に決めて、ならイカダを作る技術を学ぼう、とか・・・思考の仕方が違ってきたんですよね。一回もやめようと思った事はないので、没頭出来ているんですが、種類は変わったと思います。ワクワクしますけどね。

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「何を見たんやろうなあ」

__ 
植田さんは、悪い芝居ではWEB制作とチラシを手がけておられるんですよね。
植田 
はい。技術の部分は全部僕なのですが、実は山崎と相談しながら制作しているので手柄を独り占めしていいのかなって思う時はあります。
__ 
在学中から、そうした技術を?
植田 
大学2回生の時にデザインのコースに入ったんですよ。PCがいるという事で購入して、独学で勉強を始めました。やってみると奥が深くて、これどうなってるんやろうと思いながら独学で。一時期、趣味とはいえWEBデザイナーを志望していました。
__ 
楽しいですからね。
植田 
大学時代にアルバイトで印刷会社に入っていたんです。卒業後そのままそこに入社したんですよ。悪い芝居に入ってからは、宣伝美術方面を担当させてもらっています。
__ 
悪い芝居のビジュアルの打ち出し方は毎回驚かされます。刺激的で。では、悪い芝居の表現活動を通して、世界にどのような影響を与えたいですか?
植田 
全体の方向性を決める山崎の頭の中にそのあたりのイメージがあるのかもしれませんが・・・今は岡田や池川という音楽が作れるメンバーが入って、僕もバンドをやっていたので演奏はそれなりに出来るんですよね。だから音楽を取り入れて活動していくかもしれないし、もしかしたら誰かが小説を書くかもしれないし、映画を作るかもしれません。論文かもしれません。舞台公演でなければ悪い芝居ではない、という事はないと思います。
__ 
なるほど。
植田 
僕らがやりたい表現は、どんな形を取ってもいいと思うんですよ。それが結果として、「悪い芝居」になればなと思っています。
__ 
悪い芝居を体験した人には、どう感じてもらいたいですか? もちろん作品ごとに違うと思いますが。例えば「駄々」では、みんな混乱した感想だったように思うのですが。
植田 
本公演に限って言えば、見終わってショックを受けて、帰りながら「何を見たんやろうなあ」と反芻してもらいたいですね。見た人自身の価値観とすり合わせて、人生に少しでもひっかき傷を残せたらなと。
__ 
ええ。
植田 
・・・ひっかき傷という表現がいいのか分からないんですけど、たまに映画とかでも暗くてやな気分になるような重い作品はありますよね。でも、もう一度見たくなる。お金を払ってこんな気分になるなんておかしい、のに気持ちいい。そういうのが結構、悪い芝居にはあるんじゃないかなと思います。「駄々」のエンディングも、前向きにもネガティブにもとらえられるんです。

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簡単

山崎
やっぱ劇団ってのは、代表の人が出来なかったらやめるしかないわけで。僕は作演をやっていて、そういった責任が怖くて。だってもう、書けへんってなったら皆が一気にぱあって散りますからね。
__
そうですね。
山崎
だから劇団を作るのは嫌やって。ある意味簡単に出来ちゃうじゃないですか。公演って。言ったら、お金出してホールさえ借りれば、面白くないものでも出来てしまうから。それでやってしまってもいいのかなって疑問があって。
__
うん。確かに。
山崎
でも、特に入りたい劇団もない。芸能人になりたいってわけでも・・・。じゃあやってみようかって。今回の公演で、初めて劇団らしくなったなあと思います。知り合いだけじゃなく、色んな人に見に来て貰えましたし。メディアにも。これまで「エルマガジン」さんとかに掲載してもらうときは「良かったら見に来てください」という言い方だったんですよ。でも、「是非見に来てください」って言って。それで反応があったのは嬉しかったですね。
__
うん。
山崎
でも。その次が怖いんですけどね。
エルマガジン
小劇場に関する記事が多く掲載されていた。もちろん、京都の小劇場に関する情報も多く、楽しめた。2009年現在は休刊中。

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