8年

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今日は宜しくお願い致します。色んなお話が伺えたらと思います。
清水
頑張ります。
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ええ。・・・その、チラシのデザイナーをずっとされておりますけれども。
清水
まあ、8年ですね。
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一番最初に作られたチラシは、どんなものだったんでしょうか。
清水
今もお世話になっている、モノクロームサーカスnoteっていうダンスカンパニーの小っちゃいフライヤーを作りましたね。
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あー。
清水
98年でしたね。
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98年。大学では何学部だったんですか?やっぱりデザイン系の。
清水
デザイン系ですね。はい。一応、工芸学部の造形工学科という。モノクロームサーカスの人たちとは偶然出会って。ちょっと観に行ったら代表の坂本公成さんnoteがいて。そこでちょろっと話したのがきっかけでデザインを任されて。大学にいた頃は、本当は工業デザインがやりたかったんですよ。iPod作ったりとか。一番やりたかったのは、公共車のデザインがやりたかったんだけども、2社くらいの企業実習を受けたんですが・・・。
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なるほど。
清水
厳しかったですね。で、今はグラフィックをさせて貰っている訳ですが。
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主に、演劇系のデザインをされているんでしょうか?
清水
最初、ダンスから入ったので、今でもダンスが多くて。初めて演劇のチラシをやったのは、2002年のアトリエ劇研演劇祭noteに誘われて。
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ええ。
清水
あの時橋本さんがプロデューサーだったんで。橋本さんに声を掛けてもらったきっかけになったのがしげやん(北村成美さん)noteのダンスマラソンのチラシでしたね。
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なるほど。
noteモノクロームサーカス
京都を拠点に活躍するコンテンポラリーダンス・カンパニー。1990年に設立。主宰坂本公成。「身体をめぐる/との対話」をテーマに国内外で活動を続ける。(公式サイトより)
note坂本公成
「身体との対話」をテーマに様々な公演、ワークショップ、 プロジェクトを手がける。MC作品の振付/演出のほか、 京都国際ダンスワークショップフェスティバル、Contact Improvisation Meeting Japanのディレクターを務める。(公式サイトより)
note第三回アトリエ劇研演劇祭
2002年5月開催。劇団飛び道具、劇団衛星、石原正一ショー、北村成美などが参加。
note橋本裕介
プロデューサー。橋本制作事務所。
note北村成美
ダンサー。なにわのコリオグラファー・しげやん。「生きる喜びと痛みを謳歌するたくましいダンス」をモットーにダンスバカ道を疾走中。(公式サイトより)

期間

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その、演劇でもダンスでも、お話を受けてからどれぐらいで出来るもんなんでしょうか。
清水
長めに言っといた方がいいよね、これは(笑う)。
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ええ(笑う)。
清水
どうでしょうね。やっぱり納期が厳しい仕事もありますし。情報を貰ってから刷り上りまで、どんなに短くても3週間ですね。
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ああ・・・。
清水
ひと月でも難しいですね。どうしても印刷工程に時間が掛かるので、データが出来ました、で終わりではない。ウェブはもちろん、それで終わりだけども。
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清水さんの場合は、ではどんな形で発注された方とイメージの刷り合わせをされているんでしょうか。
清水
そうですね。向こうの方でガチガチにイメージを決めてくれていて、それを形にしてくれという場合もあるし、又は人物とかの写真を撮ることなる場合もあるし。そういう時は役者さんの顔は出すのかなどの相談になりますし。
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その、刷り合わせの中で、双方納得して結果を出されている訳ですよね。
清水
納得して頂いていればいいんですけどね(笑う)。僕は少なくとも納得してますけどね。人からああしてくれ、こうしてくれっていうのを聞くのは面白いですね。自分の考えの及ばない、物凄い変な事を考えてくる人が沢山いらっしゃるんで。
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へえー。
清水
自分では0からは作れないので、アーティストさんが0から1にしてくれたらあとはこっちが1から100にします、という仕事だと思っていますので。

時代

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その、ちょっと技術的なお話になっていきたいなと思うわけですが。
清水
えぇ。
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十年前とか、昔になるとパソコンとかかなり高かったですよね。
清水
高かったですね。まあでも、パソコンの無い時代ではみなさんアナログ版下でやっていたし。僕は最初からデジタルだったので、その苦労とかは分からないのですが。社会人になった今でも何台かパソコンを買ってるけど、学生の頃の方が高かった。メモリ込みで45万ぐらいしましたね。
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凄いですね。
清水
もっと昔のものだったらもっと高かったし。パワーブックだったら80万、90万っていう時代だったし。
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うーん。
清水
とんでもない時代でした。今はまあ安くなって。便利な時代。
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あー。
清水
大学ではパソコンとかガンガン購入してて。500万するUNIXのワークステーションがゴロゴロあったりして。
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おかしいですよね。
清水
そういうマシンをガンガン使いこなしてる院生とかはカッコいいなとか思いましたね。それで作る3Dにはあまり興味はありませんでしたが。
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あくまで平面のデザインに特化させていった。
清水
そうですね、絵描きに成りたいというわけではけしてなく、デザインですね。文字一つの置き方とか組み方とかで面白く見せられるという仕事の方が憧れるし、コンピューターとかCGのない時代でも面白い作品っていっぱいあるんで。
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考えてみれば昔から今まで平面のデザイン作品って死ななかったわけで。
清水
本質的には大して変わってないんですよ。3Dが出ようが、ホログラフィックスが出ようが。例えば60年代の舞踏の公演でも、凄いデザインのポスターもあるし。なんでこんなパソコンの無い時代にこんな凄いものが。というような。
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はあ。
清水
受容する側はもちろん、新しいものを求めてるわけなんですけれども、基本はなんていうか、そんなに変わってないんじゃないかなと。チラシも無くなるとか言ってたけど、2000年頃に。結局無くなってないし。

タグ: 「多様性と受容」への批判

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自分達でデザイナーを呼べない劇団ってあると思うんですよ。なんていうか、アドバイスみたいなものがあればと思いまして。
清水
まず言いたいのが、パソコンの上でやるのだけがけしてデザインではないという事ですね。
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なるほど。
清水
例えば紙の素材を一つ変えるだけで全然モノの素材感が変わってくる(紙の見本帳を取り出す)。
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へえ。
清水
変わった紙となると中々見つけずらいんだけど、個人を相手にちょっと売ってくれる紙の問屋さんもあるんでそこで探してもらったりとか。部数が少なければ穴を開けてみるなどの加工もやりやすいですしね。
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なるほど。
清水
シールを貼ったりも出来るじゃないですか。ハンコを押すってのもありですね。劇団のハンコを作ってポンと押したりするだけでもチラシを受け取る人の印象は全然違う。
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へえー。
清水
こういう紙もありますよ。
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へー。
清水
紙を変えるってのも、一つの手ですね。
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なるほど。・・・その、デザインの面ではどうでしょうか。例えば作品とチラシの内容がかけ離れてるとか、そういう場合も沢山あるように思えまして。
清水
それは・・・。例えば、芝居のワンシーンを忠実に再現してそれを写真に撮ってタイトルを入れてもそれはチラシとして成功するとは限らなかったりする。
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はい。
清水
お芝居の最初から最後ってのがあって、その経過をハイこうこうこうでっていうんじゃなくて、チラシの入り口は最初にあるわけじゃないですか。
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そうですね。
清水
お客さんの経験としては、その入り口に相応しいもの、要は、この流れに乗って開演時間から終演時間までいけるもの。
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ええ。
清水
開演時間に相応しいものである必要があるんじゃないかと思います。
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それは考えたこと無かったです。
清水
途中を抜き出してそれが面白い場合もあるけど。大概、お客さんにとっては先が見えたって気になってしまって、そういう「チラシを見る」だけで満足されてしまうことになっては本末転倒だと思います。生で舞台を観てもらうことを目指しているのに。
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ええ。
清水
お客さんが家を出て、劇場に着き、開演時間を迎える…という段取りに求められるイメージを表現したデザインが必要とされると思います。そのイメージをお客さんに念頭に置いてもらって、ワクワク期待を膨らませてもらう。あくまで個人的な考えですけれども。
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ありがとうございます。

(インタビュー終了)