癖(HEKI) 1

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今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近菅さんはどんな感じでしょうか。
菅  
癖(HEKI)が2作品やるんですけど、その稽古です。2作品目の方は作演出をやるので、その準備が忙しいです。方向性を考えています。2年ぶりに演出をします。
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おお、そうなんですね。
菅  
立誠の講堂でやるんですが、指示する内容が結構大きくなっていて、大変だなと思っています。
1癖(HEKI)
菅一馬と坂井美紀により結成。10月と11月に公演。(公式サイトより)

一癖も二癖も

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癖(HEKI)ではどのような事がしたいんですか?
菅  
団体名の通り、一癖も二癖もある人を描ければなと思っています。生きている中で癖は誰でも持っていると思うんですが、自分にどんな癖があるのかを知るのは、自分を知るためにとても必要な事なのかなと。
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自分を知るために。
菅  
自分の癖を、思ってみるだけで何か意識が変わるんじゃないかと思っています。探求という事じゃなくて、こういう癖がある、みたいな事をとりあえず思ってみる、というところから始めてみたいと。家を出る前の、ドアに「鍵を閉めましたか」という紙を貼るのと同じ事で。
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示唆するという事ですね。それを何故、貼りたいんですか?
菅  
ずっと考えておくには少ししんどい事なんだろうなと思うんです。ハッとしたときに目に入っているものになればいいと思うんです。
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何故、それはそう思うようになったんですか?
菅  
うーん、でも、お芝居をしている俳優として、「ああ、また舞台上でこういう事をしているな」と自覚する時があって。それはきっと、作品とは関係ないところなんですよ。最近なんですけど、自分が舞台上に立っている時に、自分としてそこに居ることが結構多いんです。
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自分でいることを自覚している?
菅  
そうなんです。作品にもよるんですけど、自分として何かを感じることが舞台上で多い気がするんですね。何かになろうと思うよりは。役名が無かったり、漠然としてキャラクターが定まっていない場合、自分でその場にいるな、というのがあって・・・昔はもっと役柄が強くてその中でやることが多かったんですけど。これはどういう事かと思うと、自我が強まっているんじゃないか。自分個人の内にあるものを表現したいという気持ちが強くなっているのかもしれない。
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舞台上で、自分であることを自覚する。

板の上の不安感

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自分であることを意識するときは、誰を観ていますか?自分を観ている?
菅  
お客さんの方を観ていると思います。あと、相手の俳優さんも見てると思うんです。集中すればするほど、自分の状態は見えていると思います。
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自分として舞台に立っている事を意識した瞬間、どんな気持ちでしたか?
菅  
やりにくいと思いました。
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罪悪感ではなく?
菅  
不安でした。実は「デ」で、不安って気持は舞台に立つときに結構大事みたいなニュアンスの事を言われたことがあって。舞台にいさせてもらっているんだ、という気持ちというか。自信を持ってセリフを言うとかではない、それとは違うニュアンスの。その時、初めてくらいのテンションで舞台上でずっと「不安」が身体の周りに居ました。
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不安に慣れたりしましたか?
菅  
なれたりはしないです。全ての事に不安の意識を持っていました。でも、周りもちゃんと見渡せていたし。開演前、白い緞帳が舞台と客席の間に張ってあって、開場からその奥にセットして待ってたんですが、前田愛美さんすらも緊張していたんです。していたように見えたんです。それを見てぼく一瞬安心したんです、前田さんでも緊張するんだ、って。玉城さんと一瞬背中合わせでくっつくシーンがあったんですけど、玉城さんの鼓動も伝わるんですよ。「あっ、玉城さん、今日鼓動早い」って分かるんです。みんな緊張しつつ舞台に立つんだ、そういう風に気持ちを共有出来たと思いますね。周りが見えると、その時の自分が見えてくる。舞台に立っている人共通の癖と言えるんじゃないかと思うんです。

癖(HEKI)2「蠅とサカナ」 2

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役者の自意識に興味がある?
菅  
はい、そうですね。
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そこをテーマにしたいんですか?
菅  
そこは難しいところなんですよ。僕が11月にするお芝居は、傍観者みたいなのがいるんですよ。それが物語を演じている人たちを見ていて、でも演じている人たちも傍観者を見ている。そういう構造があるお芝居です。
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見られている事を意識している。
菅  
そういう事を感じたいのかなと自分で思います。
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そのモデルを上演した時に、例えばどんな事が起こってほしいですか?
菅  
浸透していく感じ、多分、だんだんと染み渡っていく感じ。立誠の講堂は凄く大きな空間で、もちろん小さい空間も使うのは難しいんですが、劇場のお客さんが座っているところまでその浸透する範囲になればいいなあと。会場全体が傍観者に見られている。
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見られているというのは、観察と洞察に分けられると思うんですが、どちらをやりたいと思われるでしょうか。それぞれ情報の質は全く違うと思うんですね、客観か主観かの違い。脳内に現象をコピーするか、脳内で現象を解析していくか。
菅  
観察かなと思います。洞察はあんまりしていないと思うんですよね。
2癖(HEKI)2「蠅とサカナ」
◎公演日時◎
2016年11月16日(水)18:30~
17日(木)13:30~/18:30~
18日(金)13:30~
※開場は開演の30分前からになります。
※上演時間は約90分を予定しています。
◎料金◎
一般前売:1500円
学生前売:1000円
※当日券は前売の値段から500円増
予約フォーム https://www.quartet-online.net/ticket/heki
◎公演場所◎
元・立誠小学校 講堂

Cast
楠 海緒
合田 団地(努力クラブ)
坂井 美紀(トイネスト・パーク)
村松 佳紀(劇的集団忘却曲線)

Staff

【舞台監督】吉村聡浩
【照明】川田貴穂(劇的集団忘却曲線) ganoid(トイネスト・パーク)
【音響】さとる(劇的集団忘却曲線)
【映像】ganoid(トイネスト・パーク)
【宣伝美術】マルフォイ(S.D.Crew) さとる(劇的集団忘却曲線)
【チラシイラスト】仲野 真人(にっちもさっちも)
【協力】ピンク地底人5号

Introduction
部屋に入ると、そこは異様な空間であった。
段ボールが積み上げられ壁が出来ている。
段ボールの壁の向こう側は暗く、何があるのか定かでない。
圧迫感だけがこの部屋を支配している。
雀の鳴き声が聞こえ始める。
今朝も牛乳配達の自転車がやって来て、
向かいの家の玄関先に牛乳瓶を2本置いていく。
電車が動き始め、遮断機が動き出す。
車が排気ガスを撒き散らしながら走り去る。
子供たちの登校時間。
人が行き交う。

朝が始まる音がした。

癖(HEKI)1「同じ門なら踊らにゃsong,song」 3

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「同じ門なら踊らにゃsong,song」はどんな作品になりそうですか?
菅  
二人芝居で、ダンスがちょっとあります。
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「蠅とサカナ」とはかけ離れた内容になりそうですね。
菅  
もうまったく違います。「蠅とサカナ」はちょっとブラックな、ビターチョコレートみたいですが、「門」は甘甘ですね。
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「song,song」は、どう感じてもらいたいですか?
菅  
ヘイヘイヘイって感じですね。演出家さんから、ちょっと突飛な方向を指示されていて、見た後に「はー疲れたご飯食べて帰ろう
」ぐらいに思ってもらいたいですね。
3癖(HEKI)1「同じ門なら踊らにゃsong,song」
公演時期:2016/10/5~6。会場:ライト商会 三条店。

浮上

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そして、8月のピンク地底人版四谷怪談、非常に面白かったです。
菅  
いや、3号さんの脚本ってもの凄い面白いですよね。まだぼくは3号さんの作品の住民になれてなくて悔しく思います。
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最近の俳優としてのテーマを教えてください。
菅  
劇場にいても違和感がない人になりたいですね。
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というと。
菅  
自分は多分、異物感のある俳優なんじゃないかと思っていて。現実と、地面から1センチ浮いているんじゃないかと思うんです。これからは少しずつでもいいから着地していきたいと思っています。下鴨車窓での藤原さんも、地に足を付けていてとても素敵だったんです。そういう俳優さんが出ている舞台はとても暖かくなるし素敵ですよね。見ていて素敵だなと思う人に憧れるし、近づきたいと思う事がまず必要なのかなと思っています。

何かを期待させてしまうような

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お客さんの前に立って見られている時、役者としての理想的自分像は?
菅  
何年か前からなんですけど、お客さんに視姦されるような俳優になりたいという夢というか、理想があります。
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何かを期待させてしまうような人?
菅  
素敵だと感じさせるような。

質問 山崎 恭子さんから 菅 一馬さんへ

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前回インタビューさせていただいた山崎恭子さんから質問です。「アイドルが好きだそうですが、それは何がキッカケですか?」
菅  
歌詞ですね。特につんく♂さんのメッセージには何回も救われています。つんく♂さんリスペクトです。
アイドルというと、キャピキャピぶりっ子自分大好きってイメージがあるかもしれないんですけど、大きく区切ると、歌手でありパフォーマーなんですよね。一糸乱れぬフォーメーションダンス、そのうえ生歌で16ビート刻んで歌うんです。1日2時間のライブを3回まわしとかするんです。可愛くキャピキャピしてるだけの人たちにそんな事出来ないですよね。みんな毎日努力して歌やダンスのクオリティを上げようとして、頑張ってるんですよね。そんなプライドを持ってアイドルという仕事をしている姿が本当にカッコいいとぼくは思って、応援したくなります。

自分と・・・

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今後、どんな感じで攻めていかれますか?
菅  
自分と向き合って、自分の肥やしを増やす。です。

ロンハーマンのマグカップ

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今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
菅  
ありがとうございます。本当に、色んな人のインタビューで色んなプレゼントをされてますよね。
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いえいえ。どうぞ。
菅  
(開ける)可愛い。カルフォルニア・・・。これぐらいのカップが今、無いんですよ。この間割れてしまって。
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お使い頂ければ幸いです。
(インタビュー終了)