VOGA「直観と情熱」 2

撮影:井上嘉和
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今日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。VOGAのうめいまほさんにお話を伺います。
うめい 
よろしくお願いします。
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さて、VOGAの前回公演「直観と情熱」。大変面白かったです。お疲れ様でした。非常にストイックな作品で、短いシーンがイメージや思想を次々と呼び込む、そうした作品だったと思います。なんと、いつも2時間半以上あるVOGAの作品が90分とコンパクトになっていたんですよね。
うめい 
確かにそうですね。「何回も見ないと分からない」とおっしゃっていた方が、今回は見やすくてよかったって。でも幻覚を見るまで入り込んで行きたいタイプの人にとっては少し物足りなかったみたいでした。
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作品を作っている側としては、いつも長い上演時間を誇る作品を、短くしたということに対してどう思ってるのでしょうか。
うめい 
いつも長い作品に慣れすぎていて、「えっ、もう終わり?」ていう感じもちょっとあるんですよね。作・演出の近藤自身も、色々な構想や設定をバックグラウンドに用意してるんですけど、それを全部書きたいんですけど、都合上書けない・・・そんなことはこれまでもたくさんあって。これだけ短くしていてわかるのか?と。でも、これだけすっきりしても、意外とわかるんだ。そういう実感がありました。
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氷山の一角しか描かれていなくても、氷山でさえあればその底の方まで分かるものかもしれませんね。お客さんは。
うめい 
VOGAの作品は練習内容が多くて。稽古場の都合上、横の方でアンサンブルだけ練習しといてみたいな状況が多いんですよ。だから表から見る機会が少ないんです。でも今回は、舞台監督をしてくださった方が芝居の見え方を客観的に教えて下さったんですよ。ここはこうなってるから、こういう面白さが生まれる、って。なるほど、そういう風にお客さんから見えるんだ、というのが本番する前にわかったんですよね。自分たちがどういうことをしてるのか。
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ちょうどいいところから自分たちの作品を見ることができたと。
うめい 
そうそう、そうなんです。別の観点からわかりやすく見る事が出来て。VOGAはプロジェクションマッピングが重要な演出方法なんですけど、本番直前にしかその中で稽古することは出来なくて、それまで視覚的には分からないんですよ。自分達は自分たちのことをやっているだけ。でも、どういう風に見えるか、というのを途中で教えてもらえました。。
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変わった芝居で、変わった演出でしたね。
1VOGA
関西を中心に活動する舞台芸術集団。1997年、劇団維新派に在籍中、草壁カゲロヲ・近藤和見が結成。以来、動員1000人規模の本公演を重ねる。古典的物語や現代舞台に必須とされる身体表現も行いつつも、その、演出手法・劇場空間設定の異質さで、他の小劇場劇団や商業劇のいずれとも違う舞台表現が特徴。近年では東西、出身母体の垣根を越えた実力派役者が多数参加する。公演は観客にとって一種の『旅』と考え、「日常から地続きの非日常へ迎え入れる」ことをコンセプトとし、一般劇場の他、神社・教会・現代美術館・ライブハウス・造船所跡地など、屋内、野外を問わず上演。野外公演ではスタッフ・役者、総勢約70名超の一座が組まれ表現者交流のターミナルとしても機能している。2011 年8月より劇団名をLowo=Tar=Voga(ロヲ=タァル=ヴォガ)からVOGA(ヴォガ)に変更。2015年現在、結成19年目を迎えた。(公式サイトより)
2VOGA「直観と情熱」
公演時期:2018/11/3~7。会場:大阪市立芸術創造館。
撮影:井上嘉和

自由なコロス

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「直観と情熱」で、こだわりのあるシーンはどこでしたか?
うめい 
ずっと練習していたのはオープニングのシーンです。うちは劇団員が少ないので、VOGAの子と一緒にチームを組むのは少ないんです。ほぼ誰とも一緒になったことがなくて。だから初めてVOGAに出演する人と一緒に、突き詰めて考えていくんです。
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突き詰めて考える。
うめい 
けど難しいんです。オープニングは最初に出来上がったシーンなんですけど、ずっと悩んでいました。よくみんなついてきてくれたなと思いました。
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非常に美しいオープニングでした。間といい、構成といい。
うめい 
中盤の方に作品として話がバーッと進むシーンがあって。そこから話自体が回転して進んでいくんだろうなと。
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回転していく?
うめい 
よくわからないままバーッて巻き込まれていくんですよね、そこを境に。今回はそれぞれがそれぞれの世界で生きてる感があるんですよ。メインキャストには彼らのバックグラウンドがあって、それぞれの背景や行動している理由とかがあるんです。けど、アンサンブルもアンサンブルで一人歩きする瞬間があるんです。そこに翻弄されるメインの登場人物もいる。
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自由になる瞬間とは?
うめい 
メインキャストの女の子を頂点に、アンサンブルがピラミッドを作るシーンとかは、その女の子のためのアンサンブルなんですけど、なんかその理屈では繋がらないよな、と思っていて。でもふと、その地点からアンサンブルが一人歩きし始めるんだと気付くと、その自由さに気づけるようになったんです。作品を通して、ただの群衆ではなくなる瞬間なんですよね。それを理解してるのと理解してないのでは全然違うんですよ。それが分かってると、自由になれるんですよ。一人歩きする瞬間が面白いと感じていました。
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そうなんですね。あえて伺いたいんですが、コロスが全体を把握するのは果たして本当にいいことなのかどうか、は?
うめい 
そうですね、分かっていなくても全然いい。でも、こういう風に見えてるのがわかったら、まずやっている側としては面白い。

何も考えなくていいから・・・

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先ほどからお話を伺っていて、理論と実践の違いってなんだろうなと思っていて。完璧なレシピがあったとしても、目の前の材料に手を着けるかどうかというのはまた別の問題。何かのきっかけがなければ作業を始めることができない。逆に言うと、どんな小さなことでも必然性があれば、例えばVOGAみたいな複雑な作品を上演する団体のアンサンブルの稽古に参加することはできるかもしれない。
うめい 
最初はほんまに、あわあわしてますね。VOGAのメソッドが体に入っていない、和見さんが良く言う、体と脳が接続出来ていない状態から始まるので。私が初めてVOGAに出演した時、要領は良くないし運動神経も全然駄目だったのでめっちゃ怒られたんです。ずっとやってても全然分からなくて。一人で練習したり、みんなにつきあってもらって、でも出来なくて。でも、当時の副座長に「何も考えなくていいからおれの後を付いてこい」と言われてから、本当に何も考えなくなりましてね。その世界の中でただ生きているだけ。何も考えてない、というと変ですけど、タイミングやきっかけを意識しなくても、曲が入った瞬間にそのものになって、自由が感じられる事に気付きました。
撮影:井上嘉和

今まで

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うめいさんが舞台を始めたのはいつからですか?
うめい 
子供の頃から、おやこ劇場とかによく連れて行かれていて。観るのは凄く好きで、何がきっかけとかはないんですけど。とはないんです。高校に入った時、田舎の町おこしみたいなので倉本聰さんが名誉校長の演劇学校が出来て1年間そこに入ってて。でもその後何もやってなくて。
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なるほど。
うめい 
大学2年の時に、TEAM発砲・B・ZINのきだつよしさんが座長の一年劇団に入って。でも1年だからその後することが無くなって。チラシで募集をみて新転位・21の演劇学校に入り、山崎哲さんに教えてもらって。卒業したらどうしようかなと思ってたんですが、普通に働き始めました。
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そうなんですか。
うめい 
働きながら資格を取ったり、20代はほとんど演劇は何もしていませんでした。でもある時、一緒に演劇学校に通っていた人から、舞台出演を誘ってもらったんです。で、VOGAが東京公演したときに友達に誘われて当日のお手伝いして、そこでVOGAと出会って、その後近藤から電話が掛かってきて「京都に来ないか」と。
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おお。
うめい 
「VOGAはこれから毎年公演するから」って。私のお芝居を見たことがないのに、それで駄目だったらどうするんだ?とか思ってたんですが誘われて。どうしようかなと思ったんですが、なんか、後悔したくないなあって思って。京都に来てから7年になります。大体の人生がお芝居とともに。

質問 福井 しゅんやさんから うめいまほさんへ

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前回インタビューをさせていただいた、福井しゅんやさんから質問を頂いてきております。「あなたにとって待つとはどういうことですか」?
うめい 
待つことは仕事柄多いんですよ。芽が出るのと一緒で、楽しみですかね。どのタイミングで来るんやろう、って。今の仕事(精神保健福祉士)を始めてから、待つことは苦ではなくなりました。彼らにはきっと、言いたいタイミングがあるんですよね。延々待とうと思います。待っている時は楽しいです。殻を破って芽が出そうな瞬間。来るか来るか、って。

必然性を求めて

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VOGAの魅力を教えてください。
うめい 
やってて、ですか?私は結構ぼんやりしてるんですけど、結構VOGAのやり方ってはストイックなんですよ。どんどん突き詰めていけると言うか、そういうのがやっていて気持ちいいですね。
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突き詰める。
うめい 
そんなところかな。あとは、「動きが揃ってるのが綺麗だね」と言われることは多いんですが、揃ってることは前提で、決まり事の中でどうやって表現性を持っていくかを求められるのが面白いです。
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具体的には?
うめい 
アンサンブルの同じ動きの中で、それにどういう意味があるのかを探さないといけないです。演出は動きだけを付けていって、意味はほとんど教えてくれないんですよ。
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つまり、アンサンブルそれぞれで考えている意味が違ってくるということですか?
うめい 
あ、それぞれバラバラな時期があるんですよ。なんか、なんとなくみんな振りが揃っていない時があって。は?ってなって。なんだこれはと。これはこういうことでしょ?というのをみんなで合わせていくのが面白いです。「風音」の振り付けで、手を掲げたポーズで前進する動きがあるんですが、気づいたら全然違う動きしてる人がいて。「風を箱の中に入れる」という解釈をしてたんです。風が抜けていくんじゃない?とか、いやいや風を腕にぶつけるんじゃないか、とか。そして、どれに合わせるか、というのは結構任せてくれています。
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任されるんですね。
うめい 
こういう意味なんでしょ?ってやってたら「それは違うぞ」って言われるんですけどね。でも意味の内容自体は教えられたことはありませんし、何を考えているのかも教えられてない。
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アンサンブルと演出で対等なんですかね。でも最初から、全部意味を教えてもらったら、他のもっと大事な部分に時間を割けるんじゃないか、と言われたら?
うめい 
自分たちで考えるという指向性が大事にされてるんだと思います。「手を掲げてその先を睨むポーズが『眩しい、でも狙う』でもいい。『ただ自分を大きく見せたい』でもいい。理由は人によってバラバラで良い、でも形を保ってほしい」と言われるんです。ストイックに追求し続ける、決まり事の中でのアンサンブルの自由度がVOGAの面白いところだと思います。
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確かに、全ての角度やタイミングがぴったりと揃ってるわけではないですよね。少しずつ動きの中に見出されている意味が違うということに着目すると俄然面白くなる。
うめい 
アンサンブルも人間、一人一人意思を持っているんですよね。例えば私は結構アンサンブルでいる時、楽しくて笑っていることが多いんですけど、それは別に何も言われないんですよね。

これから

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今後、どんな感じでやってくれますか?
うめい 
いま、演劇友達が少なくて寂しいんですよ。VOGA以外で演劇仲間もいない。ただ演劇見て、面白かったねって言える友達を探しています。

クリスマスのドライフラワー

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今日はですね、お話を伺えてお礼にプレゼントを持って参りました。
うめい 
ありがとうございます。見ていいですか?
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どうぞ。
うめい 
(開ける)めっちゃ可愛い。ありがとうございます。クリスマスですね。
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よければ毎年飾ってください。
うめい 
年中出しときます。
(インタビュー終了)